さて、首都圏のある地方に実在するここ航空教育群隷下の航空教育隊。
P-3Cで訓練を行う教育隊を抱えるこの基地で、ついにP-3Cのコクピットに座ったあと、
わたしたちはまたしても隊員の運転してくれる車で、歩いても3分くらいの距離を移動し、
次の見学場所に向かいました。
それが、前回も予告したように、運航隊の地上救難班が運用する「基地内消防署」です。
おそらく正式には何かもうちょっとちゃんとした名称があるのだと思われますが、
そこまでわからなかったので一応わかりやすくこう言っておきます。
車から降りて歩いて行くと、遠目に見てもシャキッと姿勢の良い3名が、
こちらを向いて直立不動の姿勢で待機しているではありませんか。
いったいどこでどうオペレーションを行っていたのかは最後まで謎のままでしたが、
もしかしたら移動何分、見学は何分で切り上げて、ここの到着するのは1130ごろ、
みたいな予定がきっちり立てられていて、わたしたちは知らずにその予定に添って行動していたのか?
何より、誰か基地を表敬訪問することになったときの行程表が、どうやら昨日今日決まったのではなく、
おそらく基地開設以来自衛隊の内規みたいなのできっちりと定められていたらしいことが、
この、どこにいってもちゃんと担当隊員が待機しているのを見て確信した次第です。
しかし、直立不動の3人に見つめられながら結構な距離を歩いて行くのはなんだか照れくさかったなあ。
わたしたちが20メートルの距離に近づいた時、一番左の色の違う制服の隊員が掛け声をかけ、
「敬礼!」
∠(`・ω・´)ビシッ! ∠(`・ω・´)ビシッ! ∠(`・ω・´)ビシッ!
と敬礼でお迎えしてくれました。
ふおおおお~。かっこいい。
嗚呼しかし、これは写真に撮らねば!とカメラを構えた途端終わってしまったので、
「あの、スミマセン、もう一回敬礼していただけませんか」
と無理やりもう一度ポーズをさせてしまった、空気読めないわたしです。
せっかくびし!と決めたのに、こんなこと言われたら士気も下がりますよね。
すみませんでした反省してます。
ところで、この3人、松本龍三日大臣のいうところの「長幼の序」通り(笑)
左から階級順に並んでいるわけですが、青い制服の二人が左が2曹、右3曹。
一番左の方の階級は「准士官」、つまり旧軍の特務士官だと思われます。
この紺色の作業服が他であまり見たことがないのは、これがどうやら
次世代型難燃防災服上衣 8,762円(税込9,462円)
次世代型難燃防災服ズボン8,762円(税込9,462円)
という(値段が書いてあるのは販売サイトを見つけたから)、消防隊の特別衣服であるからと思われます。
ちなみにこのサイトは
消防人のための服装アイテム専門店 消防ユニフォーム 火の用心
というものでした。
彼らに近づきながら抜かりなくずらりと並んだ消防車の写真も撮るのだった。
ふとフィールドを眺めやると、遠くに訓練中らしき隊員たちと消防車、給水車が止まっています。
右側に見えているのは模擬火災を起こす消火練習用のダミーですが、今日の訓練は終了したのでしょうか。
アップにしてみる。
作業着の上にたすき掛けの白いパンツを着用しているのが練習生でしょうか。
上記サイト「消防人のための(中略)火の用心」では見つからなかったのですが、
これも難燃性の防火仕様がされている衣装なのかもしれません。
ところで、消防車に書いてある「第三術科学校」という文字。
この基地には、航空機の整備、基地運用、施設工事に関する技術を学ぶ「第三術科学校」もあります。
この練習生たちは術科学校生で現在「運用」の「基地救難」を勉強しているんですね。
そして、第3術科学校で学んだ後、運航部隊基地救難班に配属された場合、
同じこの基地に勤務するという人もいるわけです。
イベント用のパネルをここでも出してくれていました。
近隣消防との合同訓練も行っているんですね。
万が一天災などで大規模火災が起こったとき、消防と連絡をとって対処するためです。
真ん中の「夜間救難消火訓練」では、夜間に特化して訓練を行っている様子。
昼と夜では色々と違うこともあるのでしょう。
素人考えでは、夜の火事の方が恐ろしいような気がします。
そして除籍機を使って、機体を切り刻んでの訓練。
「これはいつもできるというわけではないんでしょうね」
「はい、除籍した飛行機が手に入った時だけですから、何年に一回かですね」
「そんなでしたら隊員はさぞ盛り上がりそうですね」
「そうですね(笑)」
もしかして無茶苦茶やっていいのでひゃっはー状態?
いや、「士気が上がる」とでも言っておきますか。
ちなみにこの消火作業訓練用の建屋ですが、
後で登った管制塔の途中階からみたこの部分。
下からバーナーかなんかで火が出せる仕組みにでもなっているのかもしれません。
説明は2曹くんがしてくれました。
こういう「広報活動」も自衛隊にとって重要な任務の一つですから、
外部の人に自分の任務と運用についてわかりやすく説明するというのも、
修行の一環として一番若い人にやらせるという方針なのかと思われました。
わたしたちに見せてくれるために、2台の消防車が駐車してあって、
小さい方がこの
救難機材運搬車。
直接放水する機能はありませんが、ホースや必要な用具の数々を搭載して、
消防車と共に行動します。
搭載しているのは、
高所救助機材
空気呼吸器
レスキューツール カッター、スプレッター
スペースジャッキ
などの他、12名の人員も輸送します。これは大事ですね。
そしてこちらがいわゆる放水車。
救難消防車 IB型
というのが正式名称です。
なんかその辺の消防車よりスタイルがモダンなような・・・・。
「なんだかデザインとかオシャレな気がするんですが・・」
「デザインはイタリア製でエンジンはドイツ製です」
それははっきり言って最強の組み合わせ?
それを日本の自衛隊が運用しているんだからこれはもう怖いものなしだ(何が)。
そして巷の消防車には決して付いていないのが、おなじみ桜に錨のマーク。
しかし、海上自衛隊の所属であることが嫌でもわかるという位置にありますね。
放水ノズルは二つ装備しています。
メインのノズルがこれ。
もう一つがこんなところに。
そしてここにもでかでかと存在を主張する桜に錨。
車体の脇にあるホース収納場所を見せてもらいました。
車から放水するだけなく、人力でホースを現場に持っていくということももちろんするようです。
下の方には拡声器も用意されていますね。
この車体が運用され始めてまだ間もないそうですが、それでも掃除が行き届いているのか
昨日買ってきたようにどこもかしこもピカピカに磨き上げられ、整理されていました。
「粉末ホースリール」という文字がありますが、
このタンク、化学物質対応の(つまり消火器の中身)粉末が貯蔵されています。
ここまで説明を受けた時に、
「乗って見られませんか」
と願っても無いご提案をいただきました。
乗る乗る、乗りますとも。
消防車の運転席に座ったのはもちろんのこと生まれて初めての経験です。
運転席は正確には2曹の座っている席ですが。
内部からフロントガラス越しに見える放水ノズルを見ながら説明を受けます。
「最大射程(ターレット)は87mとなっていますので、だいたいここから撃てば
あの辺まで水をかけることができます」
「撃ってみた~い」
わたしが何気なく発した一言。
その瞬間2曹くんは待ってましたとばかりに
「撃ってみたい、ですか。(厳かに)それでは実際に撃ってみましょう」
(大変いいノリの隊員さんでした。素晴らしい)
しかしわれわれにとっては思ってもなかったプレゼント。
ええ~ほんとですか~やった~など、いい大人がはしゃぐはしゃぐ。
わたしの席の右側に、大きな丸いレバーがありました。
赤いボタンが見えていますが、レバーで向きを操作、赤いポッチで放水です。
まず、作動の際、前面パネルを操作して準備を行ってから。
まだ保護シールが剥がしていないモニターには、今水がどこまで来ているか?
みたいなことが図で示されます。
準備完了ですかね?
「はい、動かしてみてください。それでは、押してください」
WOOOOSH!
デタ━━━━m9( ゜д゜)っ━━━━ッ!!
散々あちこちに飛ばしてみましたが、車より後ろにはかからない模様(そらそうだ)
「それでは、今度は下のノズルから水を出してみましょう」
さっきの大きな丸いレバーの後ろに小さめのレバーがありました。
デタ━━━゜(∀)゜━━━!!
心なしかこちらの方が放水が広がっているような、と思ったら、
これも調整できるのでした。
わたしが散々遊んだ後、こんどはTOに席を交代することに。
「あ、ちょっと待ってください、外から写真撮りたいので」
座席から降りて、TOの放水作業を妻として見守ることに。
水を出す前に、必ず隣の2曹くんがアナウンスで報告をするのですが、
外では上司がこうやってOKマークを出していたことが判明しました。
上から出してる出してる。
下からも出してる出してる。
この日は暑かったのですっかり打ち水気分です。
「おかげさまでちょっと涼しくなった気がしますね」
と隊員さん。
というわけで、すっかり地上救難班への理解を深めた基地見学です。
消防車から水を出すのは理屈抜きに爽快でした。
ところで当基地では、サマーフェスタが近々予定されているはずですが、
そこではこの消防車の試乗も過去行われていたようですので、これに行けば
わたしがやらせてもらった放水ももしかしたらできるかも?
興味のある方はぜひサマーフェスタに足を運んでみてください。(お礼代わりに広報活動)
続く。