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イントレピッド海上航空宇宙博物館を訪ねる

2015-07-25 | 博物館・資料館・テーマパーク

西海岸では、昔海軍基地があったベイエリアのアラメダに、
博物館として係留されている空母「ホーネット」を二回見学し、
長年にわたって思い出したようにお話し続け、ようやく先日それが終了したばかりですが、
この夏は、東海岸で、またしても空母博物館を見てきました。

イントレピッド海上航空宇宙博物館(INTREPID SEA-AIR-SPACE MUSEUM)


です。
空母というのはキャパシティがあるため、係留しておく場所さえ確保できれば
それ自体が博物館として十分機能し、後世に残していくことができるものなんですね。
我が海軍の空母(たとえば加賀とか)だって、何かの拍子で生き残っていさえすれば、
かつての海軍の遺跡として係留展示され、立派に海軍博物館となっていたはずなのです。

・・・あくまでもどこかの平行世界での話になりますが。

ここ現実世界において、アメリカでは(しかも係留する場所がいくらでもある)
ホーネット、サンディエゴのミッドウェイ、テキサスのレキシントン、と、
ざっとかぞえあげたら4つの空母が博物館となって残されています。
空母でない船の博物館を入れると、その数はほぼ無数、ってほどたくさんあるわけです。 

戦争の勝ち負けはこんなところにも如実に表れてるってことですね。


今回、東海岸といっても今までと違ってニューヨーク寄りに宿を取ることになったとき、
わたしが真っ先に検索したのは、軍事博物館があるか、でした。
そこで真っ先に検索にかかってきたのがニューヨークのハドソンリバーに係留されている
空母イントレピッドの博物館、というわけです。

ニューヨーク観光やミュージカルは、あくまでもこの後に思いついたという(笑)

というわけで、満を持して?ニューヨークに向かったわたしたちですが、
勘違いしていたのは、イントレピッドがこんなに市街中心部と近いとは思わなかったこと。
そもそもハドソンリバーとダウンタウンの近さを全く知らなかったためですが、
こんな軍事博物館がある意味マンハッタン観光の目玉の一つになっているのも驚きでした。

「さすが軍事国家って感じ」

TOがこんなことを言っていましたが、軍事国家ならずとも、自国の軍事遺産を、
国が公開し、国民が興味を持つのは当たり前のことではないかと思うんですけどね。



さて、インテレピッド博物館に行くのはとても簡単でした。
ニューヨークへはハドソンリバー沿いの4車線道路をくだってくるのですが、
イントレピッドのあるピアの少し前で高速道路が終了します。
イントレピッドが繋留してあるのを右手に見ながら、駐車場を探すのですが、
機械式の駐車場の順番を待っていると、

「中国大使館か?」

と聞かれました。
そんなわけないだろうが、とムッとして違うといったのですが、
そのパーキングの同じビルに大使館が入っていたようです。 

料金をいきなり38ドル取るし、係員は横柄で、おまけに

「チップよこすなら俺に渡しな」

と当たり前のように要求するし・・。
駐車事情の悪さは大都市の負の面とはいえ、アメリカの場合
これにサービス業のいい加減さが追い討ちをかけて、旅行者には不快感倍増です。

しかし、今日はそんなことをいいにニューヨークくんだりまできたのではありません。
ピア86に向かって歩いて行くと、イントレピッドの姿が見えてきました。



 ファイティング1、とは第一戦隊という意味でしょうか。

空母イントレピッド(USS Intrepid, CV/CVA/CVS-11)はエセックス級空母の5番艦です。
進水は1943年4月といいますから、大東亜戦争真っ最中、対日戦のために投入された空母です。

日本との戦いにおいて魚雷を受け大きな損傷を受けただけでなく、
複数回にわたり特攻機の攻撃を受け、大小の損害を受けました、

西海岸の「ホーネット」と違うのは、終戦となった後も任務を続け、朝鮮戦争、そして
ジェミニ計画への参加を挟んでベトナム戦争にも参加していることです。



艦橋には航空隊の徽章が記されていました。
常時90から100機の艦載機を稼働させていました。



お台場の「宗谷」もそうでしたが、稼働していない船というのは錨を降ろさないんですね。
これを見てわかるように、錨は固く引き上げられたままとなっています。

それにしても空母って、真後ろから見るとものすごくトップヘビーというか、
これはこれなりにバランスが取れているのかもしれませんが、とにかく下すぼまりな感じ?

それから艦尾に突き出した二本のツノのようなものは、どんな機能的な役目があるのでしょうか。



フェンスに書かれたのは、

ハッブル@25 制作に130億年かかった展示です。

というイントレピッド宇宙博物館の宣伝文句だと思います。
ハッブル望遠鏡で見た宇宙の映像のことを言ってるんじゃないかな。
おりしもハッブル望遠鏡は打ち上げから25年周年を迎えたと言いますから。



チケット売り場からは潜水艦が係留されているのも見えました。

どうやらこれも内部を見学することができるようです。



船に沿って入り口を入っていくと、イントレピッドの字の上にブラックバードが・・・・。



と思いながらふとその真上を見上げると・・・・!

これは見間違えようもない、ブラックバードではないですか。
わたしは本物とたまごヒコーキ、どちらものバージョンでブラックバードの模型を持ってます。(自慢)

なんと甲板にブラックバード置いてるってことなんですね。(空母艦載機でもないのに)
これは期待が高まるなあ。



左からスペースシャトル、クルセイダー、ミグ、ブラックバード、ヘリ、コンコルド。
RとEの中段にもなにかいますが、不鮮明でわかりませんでした。
これらは、ここにある展示機のなかの「目玉」とでもいうべきラインナップです。




下から見ると、主にヘリの尻尾が見えてますね。

とこRで、甲板から降りる5段くらいの階段が二つありますが、
これは甲板が離発着で使用中に避退している場所でしょうか。

見学はチケットを買って、船の甲板の高さに作られた階段を登っていき
(もちろんエレベーターもある)甲板レベルから始めることになっています。



階段途中から見る甲板上のブラックバード。
こんな端っこにギリギリに乗っけられていることといい、
後ろの高層ビル街との組み合わせといい、実にシュールです。

イントレピッドがいかに街中にあるかお分かりでしょうか。
ここをまっすぐ行くと、ニューヨークセンタービルがあり、ブロードウェイがあります。



やはり階段途中から見た甲板と艦橋。



甲板レベルに上がってきました。
黒いおにぎり型のヘリ、「チョクトー」がいますね。



甲板に上がってみました。
いまでは完全にここは軍用機展示場となっています。

対空銃座には観光客がいっぱい。
4連装56口径40mm機関砲であろうと思われます。
イントレピッドにはこれが8基換装されていました。




そのすぐ後ろには単座の機銃が。

単装38口径5インチ砲か78口径20mmのどちらか(適当)



甲板に立って見上げる艦橋。
ホーネットの艦橋ツァーのご報告が終わったばかりですが、
またここの見学記も気長にお伝えしていきますのでお付き合いください



柵で覆われてしまって、人間しか出入りできなくなっていますが、
これはわたしの判断に間違いがなければ、艦載機のエレベーターだったのでは・・・。
エレベーターのスイッチが最近できたかのように新しいのは、今ある艦載機を
甲板に乗せるためだけにこれを近年作ったのではないかと思われました。

後からわかったのですが、わたしたちがこのとき見学できたのはラッキーで、
1982年に除籍されてすぐ、「イントレピッド」は航空博物館としてここマンハッタンで
観光名所となっていたのですが、その後まずこの86ピアそのものが老朽化しており、
崩壊の危険があると判断したため、改修工事を行うと同時にインテレピッド内部も
長らく閉鎖していたのです。

工事のためもう少し河口近くのドライドックに満潮の日を狙って移動させようとしたのですが、
長年の係留で土砂が堆積していて、スクリューが川底の泥に引っかかり、座礁してしまいました。

お手上げ状態のなか、船体を解体するという案まで飛び出したのですが、
もう少し泥を浚渫(しゅんせつ)すれば大満潮時に曳航出来ることがわかり、
その後「イントレピッド」はドライドックに無事移送されて、
甲板の改修や未公開部分の改造を経て2008年にようやく再オープンし、現在に至ります。




艦橋横から甲板を後尾に向かって望む。
平日にもかかわらずこの見物客の多さも驚きですが、
甲板越しに見えるマンハッタンの高層ビル街との取り合わせが不思議な光景です。

同時多発テロののときに倒壊したワールドトレードセンターは、
この地点から前の道を15分車で河口に向かって降りたところにありますが、
事件発生後、当博物館は閉鎖され、同事件に関わるFBIの臨時指揮所が置かれていたそうです。