の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

カオ・タモーラットの石仏に参拝する

2015年01月23日 | ペッチャブーン




メトロポリタン博物館の「消えた王国 -5世紀から8世紀の東南アジアのヒンドゥー、仏教彫刻」展の解説書を見ていると、シー・テープの環濠遺跡の西15km程のカオ・タモーラット山頂付近の洞窟に彫刻された、9世紀のドヴァラヴァティー時代の仏陀立像が載っていました。
ラーチャブリーのカオ・グーの洞窟「タム・ファー・トォー」の仏陀像とよく似ているので参拝に行くことにしました。

前日はロッブリーで宿泊し早朝にカオ・タモーラットに向かうことにします。
サラブリー、ロッブリー、ナコーンサワンの丘陵一帯には広大なひまわり畑があります。特にロッブリーはバンコクから近くて訪れる人も多く有名ですが、見渡す限りのひまわりはナコーンサワンに軍配が上がります。
訪れたのは1月17日、やはり花の満開は11月、12月でほとんどの畑が種になっていました。それでも花を探し求めてやって来た車に出会います。
種になった畑もそれなりに趣向はあるのですが・・・。





市内の遺跡は西洋人ツアーであふれており、午後3時に「ロッブリー・イン・リゾート」へ行くが満室になっています。
第二ロータリー近くの運河沿いにある「ロッブリー・レジデンス・ホテル」に宿泊します。
朝食付きで600バーツです。宿泊料がロッブリー・イン・リゾートの半額で、あまり期待していなかった朝食ですが、全く問題がない朝食でした。





ホテル敷地内にあるレストランです。ステーキを注文しましたが、柔らかい肉で焼き方も文句なく美味しくいただきました。
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午前7時20分スタートです。第二ロータリーから運河沿いに国道3196号線を北上、バン・ミーで国道205号線を東へ7km走り、国道3326号線を再び北上して国道1号線を横断、国道は2219号線に変わりシー・テープへ北東に延びています。約110kmのコースです。

ロッブリーの県境を越えシー・テープまで20kmぐらいから、進行方向左手に高い山が見え始めました。個人経営の小さなガソリンスタンド「トーン・カセット・タイ・オイル・ステーション」に寄り店先にいた女性に裏山の名前を訪ねると、達者な日本語で話しかけられ「カオ・ヤイ」(大きな山)との返事です。石仏の写真を見せて、山の上に仏像があるか尋ねても知らないとの答えです。
念のためガソリン・スタンドのレジに座っている娘さんに山の名前を尋ねると「カオ・タモーラット」、行ったことはないが山の上には仏像があるとの答えです。
一帯には山がいくつかあって、その中で一番高い山を地元の人は通称「カオ・ヤイ」と呼ぶようです。ちなみに高さは1500m(標高:1550m)です。
娘さんには山までの道順を教えてもらい出発です。

国道2219号線をそれてカオ・タモーラットが近づいてきました。道端の民家で揚げバナナを売っている老婆がいました。仏像の写真を見せて最終確認しますが、彼女が教えてくれたのはシーテープ環濠遺跡でした。

カオ・タモーラットの麓近くまで迷うことなくやってきました。

初めて目にする標識です。表通りにも立てておいてほしいものです。



山火事があった後のようで、一帯は黒く灰になっています。
麓の民家の娘さんが歩いているので、登坂路を尋ねると、道らしきものはなく、山の裏に回り込むため1人で行くのは難しい、との答えです。
暇なら一緒に登ってくれるように頼むが、用事があるため登れないと言うことで、村長に電話し案内人を探してくれました。



20分程待つと村長がパットさんという男性を連れてやってきました。







 「マームイ」と言う蔓性のマメ科の植物です。

竹に絡まって、いたる所にサヤがぶら下がっています。このサヤは繊毛に覆われていて、触れると体に刺さり痒くて痒くてたまらない代物です。
パットさんはマームイの少ない登り道を選んだり、道を塞ぐマームイを鉈で切り落として進みますが、後から歩くと繊毛が舞い上がったり、体を伏せて通ってもリュックがマームイに当たって腕や露出した身体が痒くてたまりません。
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マームイの花です。
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パットさんです。70歳を超えているそうで、こちらのペースでゆっくりと登れると思ってましたが、とんでもない健脚でどんどん先を進んで行きます。



山火事の灰の上に、熱で枯れた竹の葉が積り、油断をすると滑ってしまいます。

侵食で出来た、石灰岩の自然の階段です。

1kmを過ぎたあたりからもう足が上がりません。心臓は破裂寸前です。とにかく休憩です。呼吸が整い歩き出しても10m進まないうちにダウンです。
パットさんは「あと500m、心配するな。頑張れ、頑張れ。」と励ますけれど、僕は「頑張れな~い、歩けない。心配はしていない、山は無くならな~い。」と腰を下ろしたっきり。
その間もパットさんは、手ごろな太さの竹を探しては鉈で切り倒し、何かを作っています。
何を作っているのか聞く元気もありませんでした。、



最後の急斜面です。上から「到着した。」と呼ぶパットさん声が聞こえます。
写真では分かりませんが、急勾配で写っているロープを手繰り寄せながら登ります。



やっと到着です。大きく口を開いた鍾乳洞です。洞窟内の面積は1.5ライ(2400㎡)となっています。
午前10時20分にスタートして、12時46分に到着です。2時間26分も費やしています。




鍾乳洞の中央に出来た石柱に、蓮の花の上に立つ、説法印の仏陀立像が彫られています。

仏陀のお顔は西洋人の蒐集家が持ち去ったそうです。



石柱の右側にも3体の像と仏塔が彫られています。







洞窟の奥にも3体の菩薩像と仏塔が刻まれています。
やはりお顔は削り取られています。
仏教徒である日本人には仏像のお顔を削り取ることは考えられないことですが、西洋人にとって信仰の対称でない仏像を傷つけるのは問題ないようです。

洞窟内から外を見ます。

入口の右にも横穴があって、何か彫刻に痕があるようなので登って行きます。
パットさんは何もないと言っています。





午後1時58分に下山します。洞窟内には1時間12分の滞在でした。



麓の礼拝堂も燃えたようです。
午後3時7分に麓まで戻って来ました。下山は3回休憩して1時間9分でした。

パットさんの話では1時間30分で登坂できるそうです。休憩は1回に30秒で十分だそうです。
僕は1回に10分以上腰掛けていました・・・。
彼は、これからバンコクへ戻るのかと心配してくれますが、とてもそんな元気はありません。汗とマームイで身体が痒くてたまりません。一刻も早くシャワーを浴びるため、シー・テープでホテルを探すことにします。
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シー・テープから国道21号線をバンコク方面へ7km進んだところの国道沿いに「ピチャ・ワリー・リソート」がありました。外観も新しく一泊600バーツで、朝食にお粥とコーヒーがあると言うことで、即決です。午後4時15分チェック・インです。



リゾートの入り口で従業員が休んでいます。横に腰をおろし、「カオ・ヤイへ登って、マームイに触れて身体が痒くてたまらない。」と話すと、全員大爆笑です。「シャワーを浴びて、天花粉を何度も塗りまくれ。」とアドバイスをしてくれます。結局皆さんマームイの洗礼を受けているのです。

シャワーを浴び、さっぱりしたところで、まだ宿泊客がいないのをいいことに下着一枚で廊下に出て、穿いていたGパンとリュックに付いたカオ・タモーラットの埃を叩いたのが大失敗でした。付着していたマームイが、山では痒くなかった脚や上半身に刺さって大変なことになりました。

午後5時17分、晩飯を買いにシー・テープ方面へ戻ります。国道21号線の正面に靄に霞んだカオ・タモーラットが見えます。

焼き飯とスープを買ってリゾートまで帰ります。



開放的だろうと二階に部屋をとったのですが、この階段を上るのもたいへん苦痛でした。