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加藤周一『『羊の歌』余聞』2011・ちくま文庫-「今、ここで」を冷静に視ること

2024年02月07日 | 随筆を読む

 2019年のブログです

     *

 加藤周一さんの『『羊の歌』余聞』(2011・ちくま文庫)を再読しました。

 いい本なのに、久しぶりになってしまいました(加藤さん、ごめんなさい)。

 しかし、やはりすごい本です。

 加藤さんの本は結構読んでいるのですが、ご紹介はこれがたぶん2回目。

 『羊の歌』『続羊の歌』(1968・岩波新書)の思い出については、前回のブログにも書きましたが、わたしが大学2年生の時に授業の宿題で読んだのが最初で、もうかれこれ45年のつきあいになります(うちの奥さんより長いつきあいですね)。

 その時の衝撃は強烈で、戦争中にこんなに冷静に状況を分析している人がいたんだ、とびっくりしたのを覚えています。

 以来、加藤さんはじーじの思想の「灯台」のような大切な存在です。

 本書は、『羊の歌』の頃の思い出とそれ以後の加藤さんの歩みについて書かれています。

 これを読みますと、戦争中に冷静な状況分析ができたのは、大学の教師の存在が大きかったことがわかります。

 特に、フランス文学の渡辺一夫さん。

 渡辺さんは戦争中、特高に読まれないようにと、外国語で日記を書いていたそうで、それもすごいことです。

 そういう冷静な教師のもとで、加藤さんら自由な学生も思想をていねいに育てていたんだと思います。 

 若者にとって、いかにきちんとしたおとなが大切かということがわかります。

 その時の経験と蓄積をもとに戦後の加藤さんは大活躍をします。

 しかし、その時でもあくまでも冷静に、謙虚に発言をされる姿が印象に残っています。

 加藤さんも語学力が抜群です。

 世界で活躍し、広い視野を持って冷静な判断ができるために、語学が大切なようです。

 若いみなさんへの教訓になるのではないでしょうか(語学が苦手だと、じーじのようになってしまいます(?))。

 こんな世の中の時にこそ、本書のような本が多くの人に読まれてほしいな、と思います。     (2019.1 記)

     *

 2021年4月の追記

 その後、渡辺一夫さんの本を読んでいたら、戦争中の日記はラテン語で書いていた、といいます。

 ラテン語!

 語学だけは苦手な(?)じーじには夢のようなお話。

 若者よ!語学はやはり大切ですよ。     (2021.4 記)

     *

 2023年1月の追記です

 すみません、ラテン語は引用部分で、日記はフランス語でした。

 それにしてもすごいです。     (2023.1 記)

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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コメント、ありがとうございます (どさんこじーじ)
2021-04-24 05:23:44
わぁ!じーじと同じですね。
博学なケセランパサランさんと同じだなんて、自慢できますね。
大学の時の先生に感謝です。
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Unknown (ケセランパサラン)
2021-04-23 21:25:25
加藤周一は、読み続けました。
きっかけは『羊の歌』です。
返信する

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