2018年夏のブログです
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川上未映子さんの小説『あこがれ』(2018・新潮文庫)を読みました。
これも旅先の旭川の本屋さんで見つけて買いました。
川上さんの小説を読むのは、これが初めて(川上さん、ごめんなさい)。
美人ちゃんなので、美人恐怖症(?)の傾向があるじーじは、なんとなく近づかなかったのですが(川上さん、ふたたびごめんなさい)、昨年、村上春樹さんに果敢にインタビューをした対談集『みみずくは黄昏に飛びたつ』(2017・新潮社)を読んで、すごいな、と思い、いつか小説も読みたいな、と思っていました。
いい小説です。
小学男子と小学女子をめぐる物語ですが、世間の見方と少し違うものの見方をするこの二人を、周りのおとなたちが限界を抱きつつも、よい距離感を持って接してくれて(今どき、こんないいおとなたちはいないかもしれません)、そんなある意味、「抱える環境」(ウィニコット)の中で成長をしていきます。
当然、苦しいことのほうが多くなりがちです(なぜなら、周りに流されて、何も考えずに動くほうが楽ですから…)。
泣いたり、あきれたり、怒ったりしながら、それでもお互いや周囲の友達の存在に勇気づけられて、時々、笑いにも誘われます。
具体的なあらすじはあえて書きません。
しかし、やはり苦しいことにたびたび出会います。
決してハッピーエンドではありません。
苦しい中での小さな救いや小さなほほえみがいかに大切か、を考えさせられます。
そして、読後感はすがすがしいです。
こんな小学生たちを少しでも守り、応援できるようなおとなでありたいな、と思いました。 (2018.8 記)