つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

南部の女傑~風と共に去りぬ。そして英雄は去りぬ。

2016年06月05日 23時57分22秒 | 手すさびにて候。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載の第二弾は、
映画「風と共に去りぬ」の主人公「スカーレット・オハラ」。

作品は1939年に製作された、全編テクニカラー方式の総天然色。
アカデミー10冠に輝く名作にして大作。
南北戦争が巻き起こす鉄と血の嵐が過去の価値観を奪い去る様を捉え、
与えたタイトルが「GONE WITH THE WIND.(邦題:風と共に去りぬ)」という訳だ。
これもまた秀逸である。

作品の舞台はアメリカ最南部。
いわゆる“ディープサウス”の1つ、ジョージア州アトランタ。
北軍に敗北する以前、主人公「スカーレット」は、
プランテーションを営む大地主の娘として、何不自由ない毎日を送っていた。
ワガママで、自己中で、プライドが高く、気が強い。
典型的な「南部貴族」のお姫様である。
しかも、美しい容姿に恵まれたお蔭で自分磨きに余念がないのだが、
その根性はかなりのものだ。

…僕が好きなシーンは、イラストのモチーフになった身づくろいのカット。
寝台の柱に掴まって歯を食いしばり、
黒人の使用人にペチコートを締めあげてもらったウェストのサイズは47センチ!
苦しさよりも美しさを優先して創り上げたプロポーションは意地の賜。
更に、3度の出産を経て50.8センチになった時、
もう太くならないように「もう子供は生まない」と決心。
充分に細いと思うのだが「スカーレット」は納得しない。
何としても美しくありたいという「執念」には、一種の凄みを感じるのである。

…さて「スカーレット」の優雅な暮らしには、勿論、理由があった。
彼女の代わりに汗を流し支えたのが、アフリカから強制連行された奴隷の末裔だったのは、
よく知られた歴史である。
昨日、その不条理に抗い戦った英雄が死んだ。

アリ氏逝く 20世紀象徴する英雄 差別と闘い、鮮やかな復活劇も
まず「モハメッド・アリ」は、ボクシングの英雄だった。
防御は二の次、ベタ足、ブルファイトが定着していたヘビー級に、
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」アウトボクシングを導入して常識を覆した。

そして「モハメド・アリ」は、新しい時代を切り拓いた英雄だった。
鍛え挙げた肉体と明晰な頭脳を誇示して、
長年、黒人を見下してきた白人社会に反抗の狼煙を上げ、
黒人公民権運動右派組織・ブラックムスリムに帰依。
更に、ベトナム戦争の徴兵を回避。
プロライセンスを剥奪されるも、法廷で星条旗に勝利。
見事にカムバックを果たした。
強大な敵に臆しない「信念」は、カリスマの真骨頂である。
コメント
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