NHKが美空ひばりさん映像を一挙蔵出し 20番組約230歌唱を復刻
故・美空ひばりさんが5月に生誕80周年を迎えることを記念し、過去にNHKで歌唱した映像・音声を集約したDVDボックス『永遠の美空ひばり 紅白のすべてと伝説のNHK番組』が3月29日に発売されることが7日、わかった。『紅白歌合戦』の16回分の歌唱シーンをはじめ、NHKに現存する1953~2003年放送の全20番組、約230歌唱が復刻される。『紅白歌合戦』には第5回(1954年)に当時17歳で初出場。大トリを11回、紅組トリを2回務め、第21回(70年)は史上初の紅組司会と大トリを兼任するなど、国民的歌手として大役を担ってきた。本作には、ひばりさんが2回目の出場を果たした第8回(57年)から、7年ぶりに特別出演した第30回(79年)まで、NHKに現存する紅白での全歌唱シーン(ラジオ音声6本+テレビ映像10本)を一挙蔵出し。中でもテレビ史上最高視聴率となる81.4%を記録した誉れ高き第14回(63年)や、レコード大賞を受賞した直後、紅白で絣(かすり)の着物に袴姿で歌った第16回(65年)の「柔」、紅組司会と大トリを務めた第21回の「人生将棋」は圧巻。第17回(66年)の「悲しい酒」は発売直後のためか、間奏のせりふが入っていない珍しい映像となっている。このほか、大物歌手・俳優との豪華共演や宮田輝・高橋圭三・山川静夫アナウンサーら名司会の曲紹介など盛りだくさんの内容となっているが、初出場の第5回だけは、当時ビデオテープが非常に高価で上書きして使い回すのが通例だったため、映像も音声も残っていなかったという。本作はDVD6枚+CD2枚+書籍(96P)が化粧箱に同梱され、4万5360円(税込)。CDにはNHK最古のひばりさんの歌声となる、NHKラジオ第1の音楽番組『黄金(きん)の椅子』(1952~55年放送)に16歳で出演した当時の音源などを収録。NHK年鑑によると、軽音楽界の第一線で活躍する歌手、作曲家、作詞家を迎え、作品を中心として、半生を伝記的に紹介する歌謡番組だったという。書籍には、プロデューサーや親交の深い著名人が語るひばりさんへの想い、NHKアーカイブスに眠る希少な初公開写真などが掲載される。ひばりさんの長男で、ひばりプロダクション代表取締役社長の加藤和也氏は「このたび美空ひばりの生誕80年を記念して、NHKに残された貴重な番組の数々が発売されるとのこと大変感謝しております。なかでも『紅白歌合戦』は何度もトリで歌わせていただき、また1970年には司会も務めさせていただくなど母にとっては大変思い出深い番組だったと思います。美空ひばりの懐かしい歌声や映像で皆様の青春時代を思い出していただけると幸いです」とコメント。NHK出版の制作担当者は「NHKのアーカイブスにはひばりさんの数多くの音声と映像が残されていましたが、権利関係などの様々な課題が存在したため、出版化されることなく眠っていました。ご生誕80周年にあたり、特に出版化が渇望されてきた紅白歌合戦をはじめとする“伝説の番組”の、貴重な映像・音声をまとめることができました。ひばりさんの足跡を活写した、秘蔵映像満載の“生きた歌謡史”です」と資料価値の高さにも自信をにじませている。
☆美空ひばり