ナビル・シャアス パレスチナ特使 会見
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2018年2月1日 参議院 予算委員会 質疑者 辰巳孝太郎(日本共産党) 倉林明子(日本共産党) 浅田均(維) 片山大介(維) 山本太郎(希望の会(自由党)) 蓮舫(立憲民主党) 薬師寺みちお(無所属クラブ)
元特捜検事の弁護士がアキれた「暗黒裁判」
- 書名青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開
- 監修・編集・著者名郷原信郎 著
- 出版社名KADOKAWA
- 出版年月日2017年12月 8日
- 定価本体1500円+税
- 判型・ページ数四六判・248ページ
- ISBN9784041058138
2013年6月に行われた岐阜県美濃加茂市の市長選挙で、当時28歳の市議会議員、藤井浩人さんは自民党が推薦する候補を破って当選し、全国最年少の市長に就任した。若さと爽やかさ、語り口の歯切れの良さはクリーンなイメージを印象づけた。ところが、その1年後、藤井市長は市議時代に業者から賄賂を受け取った容疑で逮捕、起訴され、市長当選時と同じように全国ニュースとして大々的に報じられた。
藤井さんは無実を主張。裁判は一審無罪、控訴審で逆転有罪、そして17年12月11日に最高裁は藤井さんの上告を棄却する決定をした。『青年市長は"司法の闇"と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開』(KADOKAWA)は、逮捕直後から最高裁の決定が出される直前までの経過を、藤井さんの弁護人を務めた弁護士が振り返りまとめたもの。著者の郷原信郎さんは元東京地検特捜部の検察官で、弁護士になってからは、検察の在り方を厳しく批判してきた。藤井さんの無実を確信しており「万が一、上告が棄却されて有罪が確定したとしても、藤井市長の潔白という真実は、それによって否定されるものではない」と述べている。
最年少市長として就任、1年後に逮捕
藤井さんを逮捕したのは愛知県警で、起訴されれば公判は名古屋で行われる。郷原さんは東京に事務所を持っており「名古屋で逮捕された被疑者の弁護を行うのは容易ではない」のだが、逮捕当日に藤井さんをよく知るという知人からの弁護人依頼の電話がありスケジュールを確認すると偶然にも、翌日に仕事で名古屋に出張する予定になっていた。同日夕方に藤井さんと接見した郷原さんは「無実・潔白を確信し、弁護人を受任した」ものだ。
事件があったとされるのは13年4月。藤井さんはその3年前に初当選した1期目の市議で、災害対策のため浄水プラントの設置をめざし活動していた。そのなかで名古屋の浄水設備業者に機器納入の便宜を図り、その見返りに2回に分け現金計30万円を受け取ったとされる。
「警察が現職市長を逮捕した以上、不起訴となることは、まず、あり得ない」と著者。不起訴となれば警察組織は重大な責任を問われることになるだけに、愛知県警は名古屋地検と十分に事前協議を起訴の確約をとって逮捕したはずとみる。しかも「日本の裁判所は著しく検察寄りで有罪率99.9%」だ。これに対し著者は弁護人として「攻撃的弁護活動」を展開し、ツイッター、ブログ、インターネット番組などで容疑事実への疑問点や警察・検察の問題について発信を続けたという。その手法は「一般的な刑事弁護士の弁護活動とは大きく異なるものだった」という。
著者らのそうした活動により、現金授受の否定や、贈賄側の証言の信頼性に疑う余地が多いにあることなど、重要証言を寄せる支援者が現われたほか、裁判長が「一般的な刑事裁判官とは若干異なるタイプの裁判官」だったこともあり、名古屋地裁の一審では15年3月5日に「奇跡」ともいえる無罪判決を勝ち取ることができた。
発言の機会ないまま逆転有罪
そして検察側が控訴。名古屋高裁での控訴審で藤井さんは公判期日にすべて出廷したが、裁判所は被告人質問をすることもなく藤井さんに発言の機会が与えられなかった。公判は、贈賄供述者の取り調べを行った警察官の証言を聞いただけで16年11月28日に一審判決を破棄し逆転有罪判決を言い渡したという。
藤井さんは控訴審での有罪判決を受け市長を辞職。17年1月に行われた出直し選挙で80%を超える得票率で対立候補に圧勝、さらに同年5月の残任期満了に伴う市長選では対立候補はなく無投票で当選するなど市民からは高い信任を得ていることを示した。
そして同年12月、最高裁が藤井さん側の上告を棄却したのを受け藤井さんは市長辞職を表明。ツイッターで「冤罪が罷り通る世の中であることを、身をもって知ることとなりました」などと述べ悔しさをにじませた。
本書は藤井さん側の「主張」であり、バイアスを考えて読む必要があるだろうが、指摘される「司法の闇」は、怖さを感じさせる。現金を渡したと証言した贈賄側業者について信頼性を疑う問題が少なからずあったことや、現金授受を否定する証言者に対する威圧するような取り調べ...。近年は裁判員制度導入など司法制度をめぐって改革が行われ、また2010年に発覚した大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざんなどの不祥事を機に「刑事司法改革」も進められている。本書は、司法のもう一つの現実を学べる一冊。