アメリカ南部フロリダ州の高校で銃の乱射事件が起きて、これまでに17人が死亡し、警察は、19歳の元生徒の男を拘束して事件の動機や背景を詳しく調べることにしています。現地時間の14日午後、(日本時間けさ早く)フロリダ州最大の都市マイアミから北に70キロほど離れたパークランドの高校で、男がライフル銃を乱射しました。当時、高校には多くの生徒と教師がいて、地元の警察や病院によりますと、この事件で生徒と教師の合わせて17人が死亡したほか、10人以上が病院で手当てを受けていて、このうち3人は重体だということです。警察は、高校の近くにいたニコラス・クルーズ容疑者(19)を事件に関わった疑いで拘束しました。クルーズ容疑者は、この高校の元生徒で、トラブルを起こして、退学処分を受けていたということで、警察は、事件の動機や背景を詳しく調べることにしています。事件があったとき、教室にいたという生徒は、地元のメディアに対して、「教室のドアに鍵がかかっていたため、男は窓から10発以上発砲して生徒が撃たれた。乱射はしばらく続いた」と話していました。アメリカでは、銃を使った事件があとを絶たず、去年10月、西部ネバダ州のラスベガスで、58人が犠牲となるアメリカ史上最悪の銃の乱射事件が起きたほか、11月にも南部テキサス州で26人が犠牲になる事件が起きています。
拘束された元生徒
現地の警察によりますと、事件に関わった疑いで拘束されたニコラス・クルーズ容疑者(19)は、事件があった高校の元生徒で、退学処分を受けていたということです。クルーズ容疑者は拘束された際、抵抗しませんでしたが、ライフルと大量の銃弾を所持していたということです。現地メディアによりますと、クルーズ容疑者は、銃に強い関心を示し、よく銃やナイフの話をしていたということで、自宅に銃を持っていることは生徒たちの間でもよく知られていたと伝えています。また、学校からは、リュックサックを持ってキャンパスに入ることを禁じられていたということです。日ごろはもの静かでおとなしいものの、怒ると性格が一変することがあったということで、在学中にたびたびほかの生徒を脅すなど、問題行動を起こしていたことから、こうした行為が退学処分の原因になったのではないかと伝えています。
容疑者がSNSに銃の写真
現地の複数のメディアは、容疑者の元生徒の男が、事件前にSNSのインスタグラムに、銃やナイフを持った自分の写真を投稿していたと伝えました。また、こうした武器を使うことを男が周囲に話していたとも報じています。CNNテレビは、生徒の話として、男がいつも銃を持ち歩いて見せびらかしていたため、いつか事件を起こすのではないかと、多くの生徒が心配していたと伝えています。男のインスタグラムのアカウントは事件後、非公開となり、その後、削除されました。FBIは、ネット上に専用のホームページを立ち上げ、事件に関連する情報の提供を呼びかけていて、詳しい動機などについて調べています。
学校で起きた主な銃乱射事件
アメリカでは、学校での銃の乱射事件があとを絶たず、大勢の児童や生徒などが犠牲になってきました。1999年には、西部コロラド州のコロンバイン高校で、生徒2人が銃を乱射し、13人が死亡しました。この事件は、社会に大きな衝撃を与え、映画にも取り上げられました。また、2007年には南部バージニア州のバージニア工科大学で男子学生が銃を乱射し、学生寮や教室にいた学生など32人が犠牲となりました。2012年には、東部コネティカット州の小学校で男が銃を乱射し、児童20人を含む26人が死亡しています。さらに、去年は、4月に西部カリフォルニア州で男が小学校で銃を発砲して、8歳の児童が死亡したほか、12月には西部ニューメキシコ州で、生徒にふんした21歳の男が以前、通っていた高校に侵入して発砲し、生徒2人が死亡しています。ことしに入ってからは、先月、南部テキサス州の高校で男子生徒が銃を発砲して、女子生徒にけがをさせる事件が起きたほか、南部ケンタッキー州の高校で、男子生徒が銃を乱射し、生徒2人が死亡、17人がけがをしました。
アメリカの銃規制を推進するNPOによりますと、自殺なども含めた学校での発砲件数はことしに入って、この事件で18件目になるということです。アメリカでは、銃の乱射による凶悪な事件があとを絶ちませんが、銃規制の強化に反対する声が依然として根強く、銃規制への道筋は見えていないのが現状です。