官邸のTV監視ここまで
出演者発言・ナレーション・見出し…詳細に
3月前半分 A4で700枚 本紙が記録入手
内閣広報室がテレビのニュース・情報番組の出演者の発言を詳細に書き起こした記録文書を、本紙は情報開示請求で入手しました。テレビでの発言を官邸が日常的に監視し、政権の意に沿わない報道に対抗措置を取る狙いがうかがえます。
![]() (写真)内閣広報室が作成する各報道に関する資料 |
開示された文書は大別して2種類で、「報道番組の概要」と、「新型コロナウイルス関連報道振り」。A4判で700枚にのぼります。その期間は安倍晋三首相(当時)が「一斉休校」を要請(2月29日)した直後の3月1日から16日まででした。「概要」に記載されているのは、分刻みの放送時間、ニュースの見出し、出演者の発言です。「一斉休校」「休業補償」など、政府の方針にかかわるテーマが話し合われた時に、“テープ起こし”をしたと思えるほど詳細に記録しています。
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閣僚や与党の重要議員、各党出席の討論番組などは“全文起こし”されています。VTRのナレーションやアナウンサーの発言も含め、徹底した監視ぶりです。常時監視の対象となっていたのは、平日の7番組と、土日の4番組でした(別項)。平日の日中の番組記録は同日中に提出され、平日夜の番組は翌日、土日の番組は月曜に提出されています。
安倍政権下では、徹底したメディア対策が取られました。特に影響力の大きいテレビに対しては、政権に批判的なニュース番組のキャスターを降板に追い込むこともしました。官房長官時代からメディアに対してさまざまな干渉・圧力を加え、日本学術会議人事への介入にみられるように強権をいとわない菅義偉首相のもとで、これが一層強化されることが懸念されます。
菅首相のベトナムでのスピーチが幼稚で恥ずかしすぎる! 静岡県知事の指摘「菅首相に教養がない」は事実だ
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首相官邸HPより
学術会議任命拒否問題の説明をせず、国会を開いて所信表明すらせず、外遊に出かけていった菅首相。しかし、初外遊でもさっそくそのポンコツぶりを露呈している。
たとえば、ベトナム・日越大学でスピーチを披露したのだが、それがひどかった。
冒頭ベトナム語でリップサービスしたのだが、その内容が「私はベトナムが好きです」「私はASEANが好きです」。現地の言葉で挨拶するのはいいが、芸能人の海外公演でももうちょっと気の利いたことを勉強してくるだろう。だいたい「ASEANが好き」って、意味がわからない。
言うまでもなく「ASEAN」とは「東南アジア諸国連合」という地域協力機構のことだが、菅首相は「ASEAN」を「ヨーロッパ」みたいな地域名か何かと勘違いしているのだろうか。今度はパリに行って「OECDが好き」とか、ブリュッセルに行って「NATOが好き」とか言い出すんじゃ……と心配になってくる。
そのあとは日本語でスピーチしたのだが、例の「雪深い秋田で私は農家の長男としてとして〜」という総裁選でも繰り返していた叩き上げ話を、出来の悪いロボットのように繰り返す。いちおう自身の立身出世譚を、日本の発展、そしてベトナムの発展になぞらえたりもしていたが、それにしても浅すぎるだろう。ベトナムについて、「世界の成長センター」という認識しかなく、ベトナムの文化や歴史に対する理解も興味もまったく感じられない。
おまけに「ASEAN(アセアン)」と言うべきところを「アルゼンチン」と言い間違える始末。機構名と国名でそもそもレイヤーが違うし、わざわざ「ASEANが好き」とか言っておいて、「ア」しかあってない。
ハッキリ言って、これは外交儀礼以前のレベルで、一国の総理大臣としてあまりにお粗末だ。恥ずかしすぎる。
しかも、菅首相の外交でのポンコツぶりはこれだけではない。たとえば、トランプ大統領がコロナに感染したときのツイートもひどかった。
〈Dear President Trump, I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19.〉
この英語が稚拙だと話題になっていたが、実は同時に投稿していた日本語バージョンはもっとひどかった。
〈親愛なるトランプ大統領へ、貴大統領とメラニア夫人がコロナに感染したとのツイートを見て心配しました〉
英語ツイートはまるで自動翻訳しただけみたいなどと指摘されていたが、日本語バージョンは「親愛なるトランプ大統領へ」「貴大統領とメラニア夫人」とか自動翻訳でもこうはならない。どうやったらこんな日本語が書けるのかというような、珍妙きわまりないものだったのだ。
もちろん、菅首相本人がすべてのスピーチを自分で考えたり、ツイートを投稿しているわけではないだろうが、菅首相自身がスタッフを決定し、このクオリティで問題ないと判断しているのだから、これはイコール菅首相に知性のかけらもないということだ。
日本学術会議 任命拒否と「学問の自由」【報道特集】