五輪強行の代償 ワクチン遅れで都内感染“8月10倍増”の衝撃
「一大感染イベント」になりかねない東京五輪の開催強行に、相変わらず菅政権が血道を上げている。選手やコーチらは入国後、毎日検査を受けることなどを条件に14日間の「隔離」を免除。選手へのワクチン優先接種まで浮上し、大会組織委員会はコロナ禍に看護師500人の「動員」さえ要請した。度を越した「アスリート・ファースト」の代償に、都内では未曽有の感染爆発が起きる可能性がある。
徳田安春・群星沖縄臨床研修センター長らが21日に公表した論文は衝撃的だ。日本のワクチン接種が現状のノロノロペースのままだと、大会期間の8月には、東京の1日当たり感染者数が7991人にまで拡大するという。27日の都内の新規感染者は828人だから、実に10倍にも膨れ上がるのだ。
論文では、現状のペースを「1日に日本国民の1000人に1人が接種」と定義している。日本の人口は約1・2億人だから、単純計算で1日当たり約12万人。実際の国内の接種ペースは直近1週間(20~26日)で1日平均約13万4000人だから、論文はおおむね現状を反映していると言えよう。その上で、仮にペースが現状の2倍に加速しても、都内の新規感染者は4470人に拡大する可能性があり、4倍でも2128人にまで増加するという。過去最多の2520人(1月7日)に匹敵するレベルだ。実際の国内の接種ペースは、3月中は1日平均約3万1000人。4月は同7万7000人と2倍超に加速してはいる。しかし、今後、2倍、3倍速でペースが上がっても、論文に基づけば「8月危機」は免れそうにない。大会のために接種を担当する看護師500人を“連行”したり、選手に優先接種している場合ではないのだ。
菅政権はシャカリキになってワクチンの「確保」と「接種」を加速させるべきだが、お先真っ暗だ。
確保の見通しこそ、河野担当相は「5月の連休明けから週1000万回分が(国内に)入ってくる」と胸を張り、菅首相は「9月までに全対象者分が供給されるメドが立った」と豪語するが、肝心の接種ペースは絶望的である。
高齢者接種「7月末に終了」は単なる願望
菅首相は高齢者3600万人への2回接種を「7月末に終わらせたい」と発言したが、どう考えても無理筋だ。26日時点で、2回接種を終えた高齢者はゼロで、1回接種者が9万人超。残る約7190万回を7月末までに終わらせるには、週平均で約553万回のペースで接種しなければならない。直近の実に41倍だ。
菅首相はペースアップのため、自衛隊が接種を進める「大規模接種センター」を東京と大阪に設置する方針。1日1万人規模の接種が可能というが、焼け石に水である。「終わらせたい」とは菅首相の個人的願望に過ぎない。
東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏が言う。「夏に東京の感染者が数千人にまで拡大する恐れがあれば、組織委の看護師“動員”や、選手への優先接種などといった話は許されないでしょう。もはや『五輪開催』と『コロナ対策』は両立できません。国民を守るなら、五輪開催を諦め、多くのリソースをコロナの抑え込みに回すしかない状況です。政府はそろそろ決断すべきでしょう」菅首相の「国民の命と暮らしを守る」という言葉が本気なら、異様なまでの“五輪ファースト”は捨てるべきだ。
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【政界地獄耳】国内死者1万人、政府の場当たり的対応は人災だ
★新型コロナによる国内での死者が1万人を超えた。世界規模で見れば少ないかもしれないが、この1年足らずで1万人も亡くなられた方がいるのは残念でならない。メディアは感染者数ばかりにこだわるが、無症状や回復される方も多いだけに、この1万人という数を軽んじてはならない。よくインフルエンザの死者と比較される向きがあるが、インフルエンザで重症になっても病院にお見舞いにもいかれるし、亡くなった場合も葬式も出せるが、コロナではいずれもかなわない。それぞれの人生や家族がどんな思いかと考えると政府の場当たり的な対応は人災と言わざるを得ない。
★首相・菅義偉はワクチンさえ打てればと言い続けたが、そのワクチンの供給は世界の中でも遅いほうで、ワクチンが手に入ってからも国民にワクチン接種が進まないのは、市区町村が悪いのではなく、90%以上が国側の「人災」ではないか。自治体関係者が言う。「市区町村や医療現場に耳を傾けず、その原因を改善することなしに、頭ごなしに『ワクチン接種に自衛隊投入』と言っても、目くらましにしかならないのではないか」と問題を指摘する。
★ワクチン接種が進んでいない理由は何か。自治体関係者が続ける。「最大理由はV-SYS(ブイシス)という極めて使いにくいコンピューターシステムに厚労省はじめ政府が固執していること。最大の問題点は、ある接種会場でワクチンが余ったときに他の会場に持って行けない。これではシステムが大事なのか、接種が大事なのか、よくわからない対応になってしまう。単純にシステムが悪いのか、厚労省の『美学』でそうさせたのかはわからないが、ファイザーがそこまで『追跡』させているのか、まったく理由の説明もない。そしてそのシステム入力を、個別の接種会場で慣れない市区町村職員にさせている。これこそコンピューター会社に委託すべきものではないのか」と憤慨する。そして「ワクチン太郎が自由自在の振る舞いで事務方も市区町村も翻弄(ほんろう)されている」。間違いなく人災だ。(K)※敬称略
吉村知事が“批判逃れ”に必死! 明石市長への反論では病床問題をスルーし私権制限にスリカエ、援軍の橋下徹と宮根誠司は“同情作戦”
大阪府公式チャンネルより
本日28日の新規感染者数が1260人となり、過去最多を更新した大阪府。重症病床の使用率が141.1%というだけでなく、看護師のみならず呼吸器や麻酔薬も足りないという状況で、深刻さは日に日に増すばかり。さらに本日からはがん治療を専門におこなう大阪国際がんセンターもICUをすべてコロナ専用病床に切り替え、一部手術が延期されるという。
だが、こんななかにあっても吉村洋文知事はテレビ出演をつづけ、25日に出演した『Mr.サンデー』(フジテレビ)では「誰かが(ウイルスを)家庭に持ち込んだら、だいたいその家庭内感染は一家全滅みたいな状況」などとコメントした。
「家庭に持ち込んだら一家全滅」って、いま大阪では「自宅療養」ならぬ「自宅放置」の状態となっている患者が1万人を突破しており、自宅内で二次感染が起こっているのが現実だ。また、SNS上では大阪府内で家族を相次いで亡くした人の悲痛なツイートも投稿されている。にもかかわらず、吉村知事は「一家全滅」などと口にしたのである。「一家全滅」と言ったあと、すぐに「全滅というのは全員感染(という意味)」だと言い直していたが、こうした無神経な言葉が出てくること自体、神経を疑わざるを得ない。
さらに、23日におこなわれた会見では、「いまコロナに罹患したら適切な治療を受けられない状況にある」と自ら述べておきながら、記者からの「医療崩壊を招いた責任についてどう思うか」という質問には「僕自身が『医療崩壊だ』と言うことではないと思っている」などと抗弁。「治療を受けられない」という事実こそ医療崩壊している証拠だというのに、相変わらず自身の責任を認めようとはしないのである。
いや、この23日の会見で吉村知事は、責任逃れをするばかりか、ついに府民や国会に責任転嫁まではじめた。現行の制度では十分に対応できないとし「個人に義務を課す法令が必要だ」と言い出した件だ。
おい。感染力が高い変異株の存在を無視して前回の緊急事態宣言を前倒し解除の要請をおこない、挙げ句、病院に重症病床を減らす要請まで出していたのは、一体どこのどいつだ。しかも、現行の制度でも首長として医療提供体制や検査体制を強化することは十分にできるのに、それをおろそかにし、この間、力を注いでいたのは「都構想」住民投票の結果を骨抜きにする「広域一元化」条例の制定だ。にもかかわらず、職責を果たすこともせず医療崩壊状態に陥ると、法制度の問題にすり替えて「私権制限」を言い出すとは、出鱈目にも程がある。
2021/04/29 朝のご挨拶🅱️①宮口はるこさん初登院 ②言葉を壊すものは正義も社会も壊す ③誰が起案したのか?誰が責任者なのか?