どこまで下がるのか。「円」が急落している。28日の東京市場の円相場は1ドル=124円台まで下落し、さらにロンドン市場では1ドル=125円台をつけた。6年7カ月ぶりの円安水準である。
急激に円安が進んだ原因は、日銀が「指し値オペ」を実施したことだ。円相場は朝方、122円台前半で推移していたが、日銀が、10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる「指し値オペ」を決めると一気に124円台まで下がった。
さらに日銀が29日から3日間「連続指し値オペ」を実施するのは、長期金利を0.25%に抑えることに執着したためだ。0.25%は日銀が自ら“上限”として設定している水準である。米国はインフレを抑えるために金利を引き上げているが、日銀は0.25%という低金利を死守するつもりらしい。
しかし、日米の金利差が拡大すれば、当然、円安も進んでいく。黒田日銀は、円安が加速することを分かりながら、低金利を優先した格好だ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「岸田政権と黒田日銀の間に亀裂が生じているということです。夏の参院選を控えた岸田政権は、絶対にインフレを抑えたい。そのためには、円安をストップさせる必要があります。輸入物価が高騰しますからね。なのに日銀の黒田総裁は、インフレを招くと承知しながら円安を容認している。いまだに『円安は経済にプラス』と公言しています。恐らく黒田総裁は、いまさら“低金利”と“円安”というアベノミクスをやめるわけにはいかないのでしょう。アベノミクスの失敗を認めることになりますからね」
円安はどこまで進むのか

しかし、このまま円安が進行したら、インフレも加速してしまう。すでに4月に値上げが予定されている物品は500品目を超えているという。黒田日銀の都合によって、さらに国民生活は圧迫される恐れがある。
この先、円安はどこまで進むのか。
「いわゆる“黒田シーリング”の水準は、1ドル=125円でした。125円が円安の下限だとみられてきた。なのに、あっさり125円の壁をロンドン市場で突破してしまった。マーケットは125円の壁を突破したことに戸惑っているはずです。壁を突き抜けたことで、さらに円安が進む可能性があります」(斎藤満氏)
どこまで国民を苦しめるつもりなのか。
★27日、日本維新の会は大阪市内でオンラインの党大会を開いた。今夏の参院選では「改選6議席を倍増の12人以上の当選」を目標に、来春の統一地方選では全国の地方議員を現在の約400人から約600人に、次期衆院選で野党第1党の獲得を目標にした。確かに維新は昨秋の衆院選挙で大阪を中心に大躍進した。今の野党第1党・立憲民主党の体たらくを見れば当然の目標だろう。
★確かに首都圏でも議席を持ち全国区の政党としての力はつけつつある。党創設者の元大阪市長・橋下徹が代表のころの勢力に戻りつつあり、現在は第2期黄金期といってもいい。ことに大阪での衆院選挙の躍進はめざましく大阪府、大阪市、兵庫県と関西の主要自治体と議会は維新が絶対的優位の状態だ。
★だが結党当初から掲げてきた都構想は2度の住民投票で否決され、税金は1円も使わないが自慢の大阪カジノ構想は大阪市の調査で建設予定地から基準値を超えるヒ素やフッ素が検出され、土壌汚染対策や液状化対策に790億もの公金が大阪市の予算に計上された。25日にはカジノ誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める署名集めが始まるなど、維新の政策や改革路線に陰りも見える。党大会の夜に投開票された兵庫県西宮市長選では大阪府外で初の公認首長誕生を目指したが、維新の候補は現職にダブルスコアで負けた。自民党議員が言う。「維新は国政では野党としての改革が売りで予算案こそ反対しているが、ほとんどは自民党に賛成している。もし野党第1党になっても与党と握るわけにもいかず、自由に動けるのは実は野党第2党の今の環境が好都合。大阪で勝ちすぎて自民党も警戒している。岸田政権は安倍・菅政権ほど維新びいきではない」と厳しい。潮目が変わるか参院選が1つの目安になる。(K)※敬称略
日大闘争 1968年、税務調査で大学に約20億円の使途不明金が発覚したことをきっかけに、約3万人が参加した学生運動。東大全共闘運動とともに60年代の学生運動の象徴として知られる。日大全共闘は68年5月に結成。6月の決起集会では、大学側の体育会系右翼学生が机や椅子を投げ落とし、大学の要請を受けた警察機動隊も参入。学生側は校舎をバリケード封鎖した。運動は翌年まで盛り上がりをみせ、学生と警官各1人が死亡、1500人以上が逮捕された。
◆「逆らってたたかれるのは怖い。それでも…」
「逆らうことをためらうべきではない」と話すSEALDs元メンバー福田和香子さん
安保法案への抗議デモを続けた学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバー福田和香子さん(28)は、SNSで激しい誹謗中傷を受けた。「心身共に苦しかった」と振り返るが、今も活動したことを誇りに思うという。「たたかれるのは怖いし、目の前の就活が大切なのは分かる。でも、声を出さずに将来失うものの大きさを考えると、ためらうべきではない」