公明党が教団被害者救済法案に保身の横やり…自民党の“下駄の雪”いまや大衆の敵に
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案が今国会成立に向け、前進の兆しだ。与野党協議が膠着し、立憲民主党と日本維新の会が攻勢をかける中、岸田首相が動いた。
8日、「政府としての考え方を法律としてまとめ、国会に提出したい」と表明。不当契約の取り消し権の要件を緩和する消費者契約法改正案の成立を期す一方、野党が共同提出した救済法案はうっちゃり、「閣法」を出すという。
野党案は(1)マインドコントロール下で高額献金などを求めることを「特定財産損害誘導行為」と定義づけ、罰則付きで禁止(2)家族らが返金を申し出られる「特別補助制度」の創設──が目玉。ただ、家族が献金返還を請求できる仕組みは、憲法が保障する財産権に抵触するとの指摘がある。自民党も懸念を示していたものの、野党案潰しに奔走したのは公明党だ。
救済法案の成立を確実にするため、立憲の岡田幹事長が6日に与野党党首会談を提案すると、すぐさま山口代表が反応した。「与野党4党の実務者協議で真摯な議論が続いており、合意できたところから法案を順次出すという姿勢は確立されている。あえて党首会談をやらなければならないという状況ではない」と猛反発。
「憲法の人権に関わる立法は法案作成の慎重さと精緻さの観点から、政府が責任を持って提出する方向で検討することが望ましい」と注文をつけていた。
■迫る「財務」の書き入れ時
公明が神経をとがらせるのは、支持母体である創価学会への影響にほかならない。学会の収入は「財務」と呼ぶ寄付、聖教新聞などのメディア事業、全国展開する墓苑事業が3本柱。暮れの財務は恒例で、書き入れ時が迫っている。
「政権浮揚ありきの岸田総理は野党案の丸のみも選択肢に入れていましたが、公明の激しい巻き返しにあって断念。そもそも、公明は寄付規制そのものに反対ですが、一連の救済法の早期成立を求める世論を敵に回す度胸はない。政府提出法案であれば公明の要望も多少は盛り込めるし、学会に対しても顔が立つ」(与党関係者)
官邸と自民執行部が公明サイドに根回し。山口代表が岸田首相との党首会談で「配慮」を念押しし、岸田首相の閣法提出表明に至ったわけだ。
献金トラブルはなにも旧統一教会のお家芸ではない。学会でも珍しくないし、訴訟沙汰にもなっている。公明が自民の下駄の雪と化して20年あまり。立党精神「大衆とともに」は虚飾と化している。
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