優先順位おかしい菅政権の大盤振る舞い/政界地獄耳
政府与党連絡会議であいさつする菅首相
★久しぶりに行われた首相・菅義偉の記者会見。原稿の棒読みだとか、いろいろと文句もあるが、今首相が何を考え、国民が気になっていることにどう答えるかが見えるチャンスだった。首相は新型コロナウイルス対策を筆頭にワクチンの安全性、感染拡大抑止の特措法改正について説明し、追加経済対策の予備費について言及。首相の政策の1つ、不妊治療については保険適用を22年度からスタートし、男性も対象にするとした。
★こちらも政策の1つ、温暖化ガスゼロでは2兆円の基金の創設を宣言した。自慢のデジタル化は来年秋のデジタル庁新設を目指すために1兆円の予算と覚悟を述べたが、そのころ日本のコロナ禍はどうなっているか、政治や政局はどうなっているのか。総選挙は行われているはずだが、菅自身は首相の座にとどまっているのだろうか。この会見は国会閉会とともに開かれたが、掲げた内容について国会で大いに議論して欲しいものばかりではないか。ことにコロナ関連については、Go to トラベルやイートなど、専門家から世論までが一時停止を訴える中、早々と来年の5月までの延長を決めるなど、いささか政治の優先順位がおかしいのではないか。
★ましてGo to トラベルの運用は「地域の感染状況を踏まえ知事の意見を聞きながら国が最終判断する」と玉虫色の説明の一方、地方創生臨時交付金は1兆5000億円に増額される。「各自治体の事業者支援など独自の事業に加え、営業時間短縮を要請した場合の『協力金』を国として支援する」名目だ。携帯電話の料金値下げやGo to トラベルは自慢の政策のようだが、本人の満足顔に対して国民はメリハリや優先順位を求めているのではないか。意地になって自画自賛の政策を進めるだけでは裸の王様でしかない。大盤振る舞いの前に、立ち止まる勇気を。(K)※敬称略
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