「産経」「読売」 終戦の日に
「核抑止」「大軍拡」あおる
「首相は核抑止の重要性語れ」(「産経」)「抑止力強化が侵略を未然に防ぐ」(「読売」)―。終戦から78年の15日付の社説に、異様な見出しが並びました。
「産経」は論説委員長名の社説で、被爆地広島、長崎両市が今年の平和宣言で「核抑止」破綻論、脱却論を訴えていることに対し「国民の命と安全を脅かしかねない危うい主張」だとかみつき、両市の平和宣言を肯定的に報じたメディアまでも「核抑止の手立てを放棄」する「危うさに政治家やメディアはもっと敏感になったほうがいい」と攻撃。その上で、「中国が核威嚇してきたらどうするのか」とどう喝し、「核抑止」を受け入れるよう求めています。
「核抑止」とは、実際に核兵器を使用し、新たな被爆者を生み出すことを選択肢として持つことです。原子爆弾の業火の中で家族を奪われ、苦しみの中で戦後を生きてきた被爆者に対して、「同じ苦しみを他国に与える覚悟をもて」と迫る社説には、強い怒りと憤りを覚えざるを得ません。
「読売」は、「脅威に対処するには、平和を唱えるだけでなく、相手に侵略や攻撃を思いとどまらせるような抑止力や反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つことが不可欠」と主張。軍事費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げる国の方針などにも言及し、軍事力強化を「着実に実行しなければならない」としています。
大軍拡が軍部の膨張を招き、破滅的な戦争に突入した戦前の歴史を、いったいどう総括しているのでしょうか。
両紙の社説の論自体はとるに足らない暴論ですが、このような論を、終戦記念日に「社説」として掲げるメディアが現れること自体に、「新しい戦前」の影を色濃く感じ、慄然(りつぜん)としてしまいます。(司)
2023年8月17日(木)
- マイナカード/使用不能 40万件超/保険情報の登録に遅れ
- 住民「県の支援早く」/鳥取豪雨 党県議ら被害調査
- 「産経」「読売」 終戦の日に/「核抑止」「大軍拡」あおる
- 前例ない女性の権利攻撃/UNウィメン/タリバン批判
- 座談会『日本共産党の百年』を語る(下)
- 国会ジェンダー質問特集 リーフできました
- 京都府綾部・福知山 共産党が調査/被災者“住み続けたい”/倉林氏、見舞い 支援制度紹介
- 犠牲認定と賠償を/台湾2・28事件 遺族が支援要請/沖縄県に
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます