まさか教団も教義に基づいた独自の「養子縁組」のあっせん行為が墓穴を掘ることになるとは思いもよらなかっただろう。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者同士で行われている養子縁組について、厚労省と東京都が共同で週内にも実態を調べることになった。民間の養子縁組のあっせんを反復継続して行うには都道府県への届け出が必要となり、教団が許可を得ずに一定の目的をもってあっせんを続けていた場合、「養子縁組あっせん法」に違反する可能性がある。
教団は信者向けの動画で〈天から子宝の恵みを受けた祝福家庭は、子女の授からない祝福家庭とその恩恵を分かち合う使命と責任があります〉と養子縁組を推奨している。
さらに1981年以降、教団内で745件の養子縁組があったことを認めた上で「ここ20年は信者さん同士で養子縁組を行っていて、決まったら報告だけしてもらっています。教団側にあっせんをしていた自覚がなかったので、法律にそういう条項があることを認識できないままここまできました。これまで行ってきた教団の養子縁組についてはつまびらかにして、厚労省の指示に従うつもりです」(家庭連合広報部)。
「言われてみれば…」と教団内で広がる戸惑いの声
教団の養子縁組の実態はどうなっているのか。
自身も元信者で37年間、脱会支援活動を続けている日本基督教団白河教会牧師の竹迫之氏が「成人してから初めて役所に請求した書類を見て養子に出されたことを知り、ショックを受けるケースもあります」とこう続ける。
「宗教2世は、生まれた時から罪のない神の子とされます。アダムとイブが最初に犯した原罪のない、つまり無原罪の血統の子どもを増やすことが、世界平和につながるというのが統一教会の考えです。教祖が先祖代々まで霊視して祝福結婚式の相手をマッチングしているわけですから、結婚すれば神の子ができて当然です。そこで子どもを授からない家庭が存在すると、教祖の威厳を損ねる事態になりかねない。養子を子どもに恵まれない家庭に捧げることで、家系を絶やすことなく、後世に信仰を受け継がせようという意図があると思います」
女性信者が妊娠した時点ですでに受け入れ先が決まっていたり、あらかじめ養子に出すことを前提にして子づくりするケースもあるというから、明らかな人権無視だ。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の川井康雄事務局長は「今回の一件が切り口になるかもしれません」と、こう指摘する。
「あっせん行為があれば明らかな法令違反ですから強力な援護射撃になると期待しています。法に触れることを意識していなかったのか、教団内で『あー、言われてみれば……』という声が上がったという話も聞きました。問題意識が欠けていたというか、今まで教団側が指摘されることを準備してこなかった部分だと思います。この件をきっかけに、いろいろなことが明らかになるはずです」
教団側は今回も高額献金同様、「養子縁組はあくまでも信者の自由意思」と強調し、言い逃れするのだろうか。⇔もういい加減に観念すべし。
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