旧統一教会関連団体イベント、岐阜県内40市町村が後援「関係把握できず」
岐阜新聞社は今月、岐阜県内42市町村長に対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やその関連団体との関係を尋ねるアンケートを実施した。関連団体が共催し、県も後援していたイベント「ピースロード」について40市町村が後援していたことが分かった。多くの首長が「旧統一教会との関係が把握できなかった」「事業目的について特定の思想や宗教などに関する事業でないことが確認されたため」と説明した。また、大垣市は昨年、同家庭連合大垣家庭協会(同市)から約6万円の寄付を受けていたことを明らかにした。 ピースロードは世界平和と日韓友好を訴える名目で、若者らが自転車で走行するイベント。公式ウェブサイトによると、実行委員会が主催して全国各地で実施しており、同家庭連合の関連団体である天宙平和連合(UPF)が共催に名を連ねている。岐阜県内でのイベントは「岐阜県実行委員会」が運営・管理する、とされている。 アンケートでピースロードを後援したことを明かしたのは加茂郡川辺町と大野郡白川村を除く40市町村。うち各務原、大垣、海津、関、可児、多治見、恵那、土岐の8市は昨年と今年の2年連続で後援していたと答えた。岐阜、山県の両市も2年連続で後援したことが各市への取材で分かった。 市町村は特定の宗教のための活動や公序良俗に反する事業の後援申請は許可しないルールを設けているが、ほとんどが「イベント内容を確認し、政治活動や宗教活動を目的にしていないと確認できた」「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関連があるという認識はなかった」などと答えた。 一方で美濃加茂市は「後援の審議段階で、過去に霊感商法や高額の献金などが問題となった旧統一教会の流れをくむ団体であることは認識していた」としたが「現在の報道で取り沙汰されている問題を今なお抱えているとの情報は持ち合わせていなかった」と回答。羽島郡岐南町は「後援申請について『宗教に関連している可能性がある』との認識はあったが、事業そのものに宗教的な感じがなかったため」と理由を示した。 「(後援)申請者である実行委員会の構成員に多くの県議会議員や市町議会議員がいて、信用があった」とする回答もあった。 また、大垣市は昨年6月3日に同家庭連合大垣家庭協会から、医療従事者支援として現金5万8391円の寄付を受けていたと答えた。市によると、大垣家庭協会の関係者が現金を持参し市役所窓口を訪れたため、寄付を受け付けたという。担当者は市として返還の意思はないとした上で「今後は寄付の申し出についてその都度、慎重に対応を判断する」と話した。 全国霊感商法対策弁護士連絡会の神谷慎一弁護士=岐阜市=は「旧統一教会は反社会的活動を繰り返し、判例でも違法性が何度も認められている団体。議員だけでなく自治体に対しても広範にアプローチし、多くの自治体が協力したのは大変深刻な状況だ」と話した。
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