★党首討論より数段不要論がささやかれるG7だが「コロナ禍からの経済の回復」とそれにつながる「中国の『一帯一路』構想に対抗し、途上国に対して健康・医療やデジタル技術など4分野が軸となる巨額のインフラ投資」を行うという議論は、今年のG7に本当にふさわしいだろうか。当然中国に対しての各国の距離感はまちまちだ。ここでは米バイデン大統領からオリンピック(五輪)開催賛成という一言が欲しくて首相・菅義偉が米国の代理としての役割を発揮したようだ。
★首相は東・南シナ海での一方的な現状変更の試みや新疆ウイグル自治区での人権侵害などは「G7の価値観」に反するとして「深い懸念」を表明。各国も民主主義になじまないということは理解できるが慎重な対応が求められるのも事実。イタリアやドイツはバイデン大統領や菅の対中国急進派に懸念を示した。一方、首相は「世界が新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と五輪開催の決意を示したが中国問題があるからこそ、五輪開催に各国首脳は賛意を示し、来年2月4日に始まる北京冬季五輪をけん制したと思える。だが首相がことのほか中国に対して厳しい対応をしたことは今後の我が国の対中政策や経済・貿易関係のみならず、親中派の自民党幹事長・二階俊博との関係も懸念される。調子に乗って強い発言をしすぎたのではないかとの懸念はないか。
★日本のメディアは五輪開催をG7が賛成したことばかりを大きく扱うだろうが、隣国中国に対して首相が「深い懸念」を打ち出したことの重みを感じることになろう。中国は既にこのG7を「“グループ政治”による偽の多国間主義」と批判していて溝を深めただけの場合、そのツケは日本が払うような気配だ。(K)※敬称略
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