経済秘密保護法案 プライバシー丸裸
自衛隊員の身辺調査では
同級生・釣り仲間まで…
衆院で審議中の経済秘密保護法案には、民間人への身辺調査「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」が盛り込まれています。個人のプライバシーがどこまで丸裸にされるのか―。防衛省・自衛隊による職員隊員への身辺調査の一端を見てみました。
「政治、経済等の団体及び出身学校関係の親睦団体からスポーツクラブその他あらゆるものについて、現在過去問わず記入する」「あなたの交友関係の中で、あなたのことをよく知っている人を記入すること。関係については、『高校同級生』『元上司』等具体的な表現(とすること)」「関係は『高校時代の同級生』『釣りクラブの仲間』のように記入する」
これは日本共産党国会議員団が2013年に入手した防衛省・自衛隊の「身上明細書」と、その記入方法を記したマニュアル文書(記入要領)です。
この文書は、2009年から国の行政機関で行っている「秘密取扱者適格性確認制度」という職員の選別制度で使われていました。
この制度は、13年に国会で強行成立した特定秘密保護法に盛り込まれた身辺調査「適性評価制度」の参考となっています。
身上明細書は、職員に書かせた19項目の個人情報をもとに、身辺調査の基礎資料とします。
項目には「配偶者」「親族」「同居人」「外国人交友者」「負債」「所属団体」「精神面を原因とする治療又はカウンセリングの有無」などとなっています。
配偶者が外国人の場合は「外国人登録証の両面の写しを添付する」とまで求めています。
調査対象のあらゆる人間関係を書かせる内容です。一方で「記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する」とマニュアル文書は明記。自身が他人の身上明細書に書き込まれる危険があります。
この身上明細書をめぐっては、日本共産党の赤嶺政賢議員が13年3月の衆院内閣委員会で取り上げました。当時の左藤章防衛政務官は「ご指摘の文書は、防衛省としては対外的に明らかにした文書ではないので、真贋(しんがん)を含め、お答えすることは差し控えたい」とのべ、否定しませんでした。
自衛隊 身上明細書と記入要領
交友関係
(1)自衛隊員及び親族欄に記載した者以外の者で、「交友関係にある者で申請者のことをよく知る者」を記入する。外国人の場合は、外国人交友者欄に記入する。
(2)記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する。
(3)親密な関係にある親族欄記載対象外の親族を記入することができる。
(4)関係・交友程度欄は、次により記入する。
ア 関係は「高校時代の同級生」、「釣りクラブの仲間」のように記入する。2親等以外の親族の場合「父の弟」、「妻の母の妹」のように記入し、叔父、叔母等とは表現しない。
イ 交友交際の程度は、次の表の記号を記入する。
なお、複数の記号を記入してもよい。また、その他の場合は、程度の内容を簡単に記入する。
所属団体
政治、経済等の団体及び出身学校関係の親睦団体からスポーツクラブその他あらゆるものについて、現在過去を問わず記入する。
精神面を原因とする治療又はカウンセリングの有無
アルコール依存症を除き、精神障害又はそのおそれがある状況(医師の診断がある場合に限る。)のほか、精神障害に関する治療を受けた経験がある場合は、その時期及び治療の有無等を記入する。
書類の添付
身上明細書に、(1)パスポートを保有している者については、パスポートの写し(白紙部分を除く全ページ)及び(2)配偶者が外国人の場合は、外国人登録証の両面の写しを添付する。
また戸籍謄本、全事項証明の写しの添付を推奨する。
※本紙入手の記入要領から作成
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