核兵器禁止条約 日本政府はすみやかに署名・批准を
NGO討論会 志位委員長の発言
日本共産党の志位和夫委員長が5日、広島市で開かれた討論会「核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議に向けて」(主催・核兵器廃絶日本NGO連絡会)で発言した内容は以下の通りです。
日本共産党は、核兵器禁止条約が発効したことを心から歓迎し、日本政府がすみやかに条約に署名・批准することを強く求めます。
日本政府が、禁止条約への参加を拒む最大の理由としているのは、これに参加すると「核抑止力の正当性が損なわれる」ということです。
そこでこの問題にしぼって発言させていただきます。
核兵器の非人道性を批判するなら、核抑止論から抜け出すべき
ここにおられるすべてのみなさんは、核兵器の非人道性を批判するという立場に立っておられると思います。
それでは核抑止とは何か。それはいざという時には核兵器を使用することをためらわない、ということを前提とした議論です。
米国の国務長官を務めたジョージ・シュルツ氏はこう言いました。「核抑止というのは、いざという時に(核兵器を)使えなければ抑止にならない。それでは、何十万、何百万人の市民がいるところに核兵器を落とせるか。文明国の指導者だったらそんなことはできない。落とせないのだったら抑止にならない」。私はその通りだと思います。
核抑止とは、端的に言えば、いざという時には広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことをためらわないという議論です。核兵器の非人道性を批判するならば、核抑止という議論から抜け出す必要があるのではないでしょうか。
核抑止は誰の安全も保障するものではない
「それでも安全保障のために必要だ」という議論もあるかもしれません。
しかし、核抑止とは、今述べたように核の使用を前提としています。
一方が核を使用するならば、他方は、核の報復でこたえるでしょう。その結果は、ニュークリア・ホロコースト――核による大虐殺です。核抑止は、誰の安全も保障するものではありません。
私は、真剣に人類の安全保障を考えるならば、核兵器を禁止し、廃絶するしかないのではないか、こう考えるものです。ありがとうございました。
核兵器禁止条約の義務を履行するなら安保条約のもとでも参加は可能
(討論を踏まえて志位氏は以下のように発言しました)
日本政府は、核兵器禁止条約に参加しない理由として、「法的理由で入らないということではない」とし、「入らないのはわが国の方針である」――つまり政治判断だとのべています。
わが党は、日米安保条約に反対する立場ですが、日米安保条約は核兵器禁止条約に参加することを法的に禁止しているわけではありません。安保条約には「核兵器」という言葉が一言もないわけですから。
核兵器の使用や威嚇を「援助、奨励、勧誘」しないなどの核兵器禁止条約の義務を履行しさえすれば、すなわち、今日、私が発言したように、核抑止力論から抜け出しさえすれば、安保条約のもとでも禁止条約に参加することは可能です。
そうした政治決断を日本政府に強く求めたいと思います。
同時に、野党が力をあわせて、そういう政治決断ができる新しい政権をつくりたい、これが私たちの考えであります。
核禁条約批准の見解 各政党が示す
5日に広島市で開かれた核兵器廃絶日本NGO連絡会主催の討論会「被爆76年、核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」で、各党の代表が核兵器廃絶に向けたそれぞれの取り組みについて発言しました。日本共産党、社民党、れいわ新選組は、今年1月に核兵器禁止条約が発効されたことを受け、日本政府は核兵器禁止条約に批准すべきとの立場を示しました。
れいわの舩後靖彦参院議員は、核兵器禁止条約に批准しないことは不名誉だと批判し、「(批准すれば)世界の旗頭として日本は称賛される」と主張しました。社民党の福島みずほ党首は、唯一の戦争被爆国である日本は核兵器禁止条約を批准すべきだと述べました。
立憲民主党の枝野幸男代表は「オブザーバーとして参加し、唯一の被爆国として、被爆の実相を世界に発信することで本当の意味の核保有国と非保有国との橋渡しができる」と主張。国民民主党の玉木雄一郎代表も、日本政府はオブザーバー参加すべきとの認識を示しました。
自民党の寺田稔衆院議員は、核兵器禁止条約の批准に言及しませんでした。公明党の山口那津男代表も批准について触れず、当面は締約国会議にオブザーバーとして参加すべきだと述べました。
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