■叱ってもへこまないのになぜ辞める?ゆとり社員が厳しい先輩に抱く本当の不満
リンク先との直接の関係はないのですが、最近職場で「叱る」ネタに遭遇したので便乗してみる。
あとリンク先は、たまたま今日付けで更新されてたので張っただけで、特に賛同も反対もしません。
内容は大外れとは思わないにしても物凄く微妙、な感じ。
本題ですが、「人は褒めた方が伸びる」のか「叱った方が伸びる」のかの話。
結論から書いてしまえば、教育学の立場では前者で終了。
ただ、経験的に「叱った方が伸びる」と感じる人が多いのも事実だと思います。
で、何でそのギャップが出るのかをうちの職場の人が知らなかったので書いてみる。
まず大前提として、「サンプルが増えると平均値に近づく」法則(?)があります。
まぁ当然です。
データが増えるほど、真の平均値に近づくもんだ。
次に「運不運で結果は上下する」。
同じ能力の人が、似たようなことをやっても、その時々で結果にばらつきは出ます。
これも当然です。
この二つの組み合わせで、「叱った方が伸びる」という錯覚が起きる。
例として、美翔さん(仮名)が数学のテストを受けたとします。
彼女の平均点は80点とします。
微妙な点数ですね。
そして同程度の難易度の数学の試験を、例えば月に1回のペースで受けたとします。
話を単純化するため、本人の学力具合は一貫して変わらないと仮定します。
学力は変わらないのだから、毎月のテストの平均点は80点になります。
でも毎回完璧に同じ点数を取るわけはなく、たまたま苦手な問題に出会って運悪く80点以下になる場合もあります。
逆に偶然正解すれば、80点よりも高くなる。
ですが、「たまたま悪い点数をとった」のはただの偶然なのだから、その次のテストでは「より平均に近づく点数(前回の不運なテストよりは良い点数)」を取る確率が高い。
これは「不運の後には幸運が来る」という意味ではなく、平均に近い値を取る確率が単純に高いから。
同様に、「ラッキーで高得点を取った場合」、次のテストは極めて妥当に「より平均に近づく点数(前回の幸運のテストより悪い点数」を取る確率が高い。
そういったわけで見かけ上は、「点数が良くて褒めた後は下がる」「点数が悪くて叱った後は上がる」という現象が発生する。
もちろん見かけ上そうなるだけで、叱ったことや褒めたことや、あるいは本人の性格や考え方とはまるで関係ない。
叱ろうが褒めようが、そんなこととは関係なく偶然に点数は上下するし、その結果「良くなった(悪くなった)ように見える」だけ。
本当に「悪い時に叱ると伸びる」かどうかは、「悪い時に褒めた場合」と比較しないと確かなことは言えません。
でも昔の企業風土ですと、「悪い時に褒める」ということはあまりやってなかったんじゃないかな。
その結果、「叱った方が伸びる」「迂闊に褒めるとダメになる」という迷信が生まれたのだろうと思う。
ちなみに簡単な実験でも確認できます。
サイコロを振って、「5」「6」が出たら「褒める」、「1」「2」が出たら「叱る」というのをやってみると分かる。
「褒める」と次は4以下が出る確率が高く、「叱る」と3以上が出る確率が高いから。
どうもサイコロさんは、褒めると慢心して油断し、叱ると気持ちを改めて真面目になるらしい。
現実には個々人の性格は無視できない要素なので、本当に「叱った方が伸びる」子もいるでしょうけど、単に「叱ったら伸びた。だから叱る方が良い」とだけ考えることがいかに暢気かは、このサイコロの場合で考えれば分かると思う。
…というのが、「平均への回帰」というやつで、日常生活に直結する数学(算数?)ネタだと思ってる。
意識して生活してると、身近に遭遇する機会は多いです。
例えば「不運があったけどお守りを買ったら改善した」というのもこれの一種。(プラシーボ効果も影響してるでしょうけど)
「業績の悪い部門に○○システムを導入したら改善した」とか「○○を飲むと血圧が下がった」とかも、この影響を考慮しないと酷い誤解を招きます。
逆にこれを逆手に取れば、実際には効果がなくてもあるように見える資料も作れます。
相手によっては一発で見抜かれて信用を失うので、お勧めはできませんけど。
知ってる人にとっては「何を偉そうに」と思うでしょうけど、知らないと損することなので、参考までに。
リンク先との直接の関係はないのですが、最近職場で「叱る」ネタに遭遇したので便乗してみる。
あとリンク先は、たまたま今日付けで更新されてたので張っただけで、特に賛同も反対もしません。
内容は大外れとは思わないにしても物凄く微妙、な感じ。
本題ですが、「人は褒めた方が伸びる」のか「叱った方が伸びる」のかの話。
結論から書いてしまえば、教育学の立場では前者で終了。
ただ、経験的に「叱った方が伸びる」と感じる人が多いのも事実だと思います。
で、何でそのギャップが出るのかをうちの職場の人が知らなかったので書いてみる。
まず大前提として、「サンプルが増えると平均値に近づく」法則(?)があります。
まぁ当然です。
データが増えるほど、真の平均値に近づくもんだ。
次に「運不運で結果は上下する」。
同じ能力の人が、似たようなことをやっても、その時々で結果にばらつきは出ます。
これも当然です。
この二つの組み合わせで、「叱った方が伸びる」という錯覚が起きる。
例として、美翔さん(仮名)が数学のテストを受けたとします。
彼女の平均点は80点とします。
微妙な点数ですね。
そして同程度の難易度の数学の試験を、例えば月に1回のペースで受けたとします。
話を単純化するため、本人の学力具合は一貫して変わらないと仮定します。
学力は変わらないのだから、毎月のテストの平均点は80点になります。
でも毎回完璧に同じ点数を取るわけはなく、たまたま苦手な問題に出会って運悪く80点以下になる場合もあります。
逆に偶然正解すれば、80点よりも高くなる。
ですが、「たまたま悪い点数をとった」のはただの偶然なのだから、その次のテストでは「より平均に近づく点数(前回の不運なテストよりは良い点数)」を取る確率が高い。
これは「不運の後には幸運が来る」という意味ではなく、平均に近い値を取る確率が単純に高いから。
同様に、「ラッキーで高得点を取った場合」、次のテストは極めて妥当に「より平均に近づく点数(前回の幸運のテストより悪い点数」を取る確率が高い。
そういったわけで見かけ上は、「点数が良くて褒めた後は下がる」「点数が悪くて叱った後は上がる」という現象が発生する。
もちろん見かけ上そうなるだけで、叱ったことや褒めたことや、あるいは本人の性格や考え方とはまるで関係ない。
叱ろうが褒めようが、そんなこととは関係なく偶然に点数は上下するし、その結果「良くなった(悪くなった)ように見える」だけ。
本当に「悪い時に叱ると伸びる」かどうかは、「悪い時に褒めた場合」と比較しないと確かなことは言えません。
でも昔の企業風土ですと、「悪い時に褒める」ということはあまりやってなかったんじゃないかな。
その結果、「叱った方が伸びる」「迂闊に褒めるとダメになる」という迷信が生まれたのだろうと思う。
ちなみに簡単な実験でも確認できます。
サイコロを振って、「5」「6」が出たら「褒める」、「1」「2」が出たら「叱る」というのをやってみると分かる。
「褒める」と次は4以下が出る確率が高く、「叱る」と3以上が出る確率が高いから。
どうもサイコロさんは、褒めると慢心して油断し、叱ると気持ちを改めて真面目になるらしい。
現実には個々人の性格は無視できない要素なので、本当に「叱った方が伸びる」子もいるでしょうけど、単に「叱ったら伸びた。だから叱る方が良い」とだけ考えることがいかに暢気かは、このサイコロの場合で考えれば分かると思う。
…というのが、「平均への回帰」というやつで、日常生活に直結する数学(算数?)ネタだと思ってる。
意識して生活してると、身近に遭遇する機会は多いです。
例えば「不運があったけどお守りを買ったら改善した」というのもこれの一種。(プラシーボ効果も影響してるでしょうけど)
「業績の悪い部門に○○システムを導入したら改善した」とか「○○を飲むと血圧が下がった」とかも、この影響を考慮しないと酷い誤解を招きます。
逆にこれを逆手に取れば、実際には効果がなくてもあるように見える資料も作れます。
相手によっては一発で見抜かれて信用を失うので、お勧めはできませんけど。
知ってる人にとっては「何を偉そうに」と思うでしょうけど、知らないと損することなので、参考までに。