神奈川県に住む西安出身の曹渓が、友人の李真から「剩女」を日本語で何と言うかと尋ねられたと言った。曹渓と李真は西安外国語大学日本語科の同級生で、仲がいい。そんな言葉は知らないなと私は言ったら「負け犬」と曹渓は言ったのでああそうかと思い当たった。曹渓は賢い女性で、日本のこともいろいろ勉強しているようだ。
「剩女(ションニュイ)」は直訳すると「余った女性」ということになるが、要するに結婚適齢期になっても機会を逃した女性のことで、最近の中国にはとても多い、「剩女」は最近の流行り言葉ですと曹渓は言った。「余った女性」と言っても、学歴も高く仕事もできる優秀な女性を言うようで、それが却って結婚するのをためらうことにもなるのだろう。曹渓は「裸婚」に妥協したくないから、経済的に良い条件の持ってる男を求めているうちに、自分が年になって結婚できなくなるのも珍しくないですとも言った
日本語の「負け犬」については大雑把なことしか知らなかったので調べてみると、ベストセラーになり講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞したエッセイストの酒井順子さんのエッセイ『負け犬の遠吠え』で有名になった言葉ということだ。未婚女性が自分は幸せだと言うと世間の反感をかうことに配慮し、「どんなに美人で仕事ができても、30歳代以上・未婚・子なしの3条件が揃った女は負け犬」だと甘んじてレッテルを貼られておいたほうが世間とうまくやっていける、と未婚女性の処世術を説いたことから来るのだそうだ。転じて30歳代以上の未婚の女性を指すこともあるとのこと。これを文字通り受け取って反発する向きもあっただろうが、酒井さんは30歳代超で子どもを持たない未婚女性を指してこう表現することで逆説的にエールを送ったとされていて、共感者も少なくないようだ。
「家庭よりもやりがいを求めて職業を全うする女性が1980年代以降増加の一途を辿っており、結果、気が付いた時には「浮いた話の一つもない30代」という女性が、職場では相応の地位を獲得しつつも結婚できないというジレンマに陥ることもあるという」(Wikipedia)。私はいわゆるアラサーやアラフォーが社会的に地位を得て活躍しているのは素晴らしいことで、結婚の有無は問題ではないと思う。要はその人の生き方の問題だろう。
中国の「剩女」は、前に紹介した「八〇后」に多いようだが、この世代は女性の学歴が高く、社会的にも地位を占めているから、その自負が北京や上海などの大都市では離婚が増えている原因にもなってはいるようだ。