JR東日本が「自然に行儀よく座ってしまう」新しい通勤電車用の座席を開発し、今月から東京の山手線の1車両に試験的に導入し、乗客の評判を聞いたうえで、本格的な導入を検討することにしているというニュースを見た。 人間工学の専門家と共同開発したもので、乗客が座る部分の両側を最大8.5センチ盛り上げることで、太ももを閉じた状態にさせ、足を広げた状態では座りにくいようになっているのだそうだ。また座る部分のへこみを奥にずらし、背もたれを垂直近くすることで、乗客が自然に深く座るように促し、浅く座って脚を前に投げ出す姿勢がとりにくいようにした。座席に定員どおりの人数が座れるようになるほか、脚を投げ出す人がいなくなることで、立っている人のスペースも広がり、マナーの向上だけでなく、ラッシュ時の混雑の緩和も期待できるということだ。
私がよく利用する電車は、最近映画化もされた阪急電車の今津線という路線だが、近頃は傍若無人に脚を広げたり投げ出したりしている姿はあまり見かけない。私のような時代遅れの短足の者は、脚を広げることも投げ出すこともしないが、最近の若者のようにあれだけ脚が長ければ、投げ出したくなるのも無理はないとと思ったりもするが、やはり迷惑な姿勢ではある。この路線で見る限りでは、マナーの面ではあまり問題が無いように思うが、東京あたりの通勤電車では、まだまだラッシュ時のマナーに問題がある乗客がいるから、このような座席を考えようとしたのだろう。
それにしても、考えることが日本的と言うか、芸が細かいというか、座席の形を工夫して乗客に行儀よく座ってもらおうなどとは、よその国では考え付くことなのだろうかと思う。人によっては要らぬおせっかいだと謗るかも知れない。JR東日本研究開発センターでは「座る人のことだけ考える従来の発想を転換し、座っている人と周りの人がどちらも快適に過ごすにはどうしたらいいかを考えて開発しました」と言っているそうだが、さて反応のほどはどうか。