9月14日
○自民党総裁選が告示され、5氏が立候補した。どのような結果になるのかは分からない(私個人は安倍元首相だけはごめんだが)。これについて『東京』新聞は社説で、「政権転落の反省を忘れてもらっては困る」と言い、さらに
「政権奪還の可能性が出てきたのは、自民党自身による党再生の努力が評価されたからではなく、民主党のマニフェスト破りや政権運営の稚拙さが嫌われたためだ。民主党が政権交代後に直面している困難な課題は自民党政権時代の「負の遺産」がほとんどだ。
日本経済の長期低迷、国と地方合わせて一千兆円に上る膨大な財政赤字、原発事故を招いた厳格さを欠く原子力行政、天下りに代表される政官業癒着と強固な官僚主導政治。沖縄に過重な基地負担を押し付けることで成り立つ日米安全保障体制、などなど。
三代にわたる民主党政権を擁護する必要はないが、かつての自民党政治に対する自省抜きで、いくら政策を訴えても空疎に響く」と述べているが同感だ。
谷垣総裁は口を開けば「解散、総選挙」と言っていたが、民主党政権がいかに頼りないものではあっても、『東京』紙が指摘するように、それまでの自党の政策がさまざまな歪みをもたらしたことを忘れてもらっては困る。巷ではあの東北大震災が自分たちが政権を担っていた時に起こらなくて良かったと、自民党の連中は思っているのではないかという陰口もあった。
9月15日
○尖閣諸島問題に端を発した「反日デモ」は、中国では北京初め各都市に広がっている。北京では日本大使館前に2万人が集まって、石、卵、トマト、ペットボトルを投げて大使館に押し入ろうとした。武装警察隊が出動して制圧を図ったがデモ隊は引き下がらずに殴られる警官も出たとのことだ。参加者は20代、30代の若者がほとんどだったそうだ。
湖南省長沙市では、5千人規模のデモ隊の一部が興奮し、日本車を見るたびに取り囲み、運転手に「中国製に替えろ」と迫り、そのうちの1台はすべてのガラス窓を割られた後に「倒せ、倒せ!」という掛け声とともに裏返しにされたと言う。このような行動はすべて「愛国無罪」とされるのだからまさに狂気の沙汰だ。中国政府は、11日に外務省報道官が「日本の誤ったやり方に対する義憤は理解できる」などと発言するなど、抗議デモを容認するかのような姿勢を見せていたから、お墨付きを得たように暴れ回っているのだろう。中国政府はデモも日本への圧力として利用する意向だという見方もある。
しかし、この中国政府の思惑を超えてデモ隊の行動は過激になる一方で、果たしてどこまで抑えきれるのか。北京でのデモ隊のある20代の女性は「対日開戦」と書いた紙を持っていたと言うし、「沖縄を回収せよ」や「日本人を抹殺しろ」などということばも目立ったそうだ。最近とみに対外的には大国主義的な傾向のある中国という国家にして、この人民だと思う。
かつての江沢民主席は、自身が日本に対して反感を持っていたこともあって愛国教育を、普及、強化したが、「愛国教育」は「反日教育」に転化されたと言う。その頃の学校での愛国教育はテレビでも紹介されたことがあるが、異様な雰囲気だったそうだ。「愛国」と言うことばは、私が幼い頃の日本にも溢れていたが、その行きついた先は周知の通りだ。偏狭なナショナリズムがもたらす弊害は大きい。中国もこのような民衆の偏狭で程度の低いナショナリズムに依拠していれば、やがては大きな反動に直面するのではないか。
このような世界的には恥ずかしい民衆の行動は、中国は果たして先進的な文化国家なのかと疑わせるものだ。