中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

「愛国教育」の行きつく果て

2012-09-29 08:10:38 | 身辺雑記

 26日付『朝日』の読者の投書欄「声」に64歳の女性が「中国人を嫌いにならないで」として投稿していました。この女性は20年間中国四川省成都の外資系ホテルに勤務していたとのことですが、その投稿を引用します。 

 「日本人男性と上海人の友人夫妻が、5歳の長男を「貴族幼稚園」(学費が大学並み)に通わせていた時のお話です。寄宿舎に迎えに来た母親の顔を見て、泣きながら訴えたそうです。『僕の血の半分はお父さんのなの?お母さんの分だけでいい、お父さんの分をお父さんに返して』盧溝橋事件記念日に先生のお話を聞いたのが原因でした。

 中国では早朝から深夜まで日中戦争や国共内戦をテーマにしたドラマがあふれています。『この屈辱を忘れるな』終わります。

 今、暴徒化した人たちは、学生や失業青年でしょう。残酷な戦争ドラマがあふれる日常と、早すぎる愛国教育が、暴挙に駆り立てているように思えます。彼らは中国人民の一部に過ぎません。中国人を嫌いにならないで上げてください。」 

 幼稚園児にも無配慮に、ただひたすらにかつての日本軍の暴虐さを教えるとは、「貴族幼稚園」か何か知りませんが、教員の感性は劣悪に思います。

 私がよく中国に行っていた頃に、夜することがないとテレビを点けましたが、中央電視台(CCTV)のあるチャンネルではしょっちゅう戦争ドラマをやっていて、多くは日中戦争のものでした。ほとんどのものはその出来は粗末なもので、三流以下のちゃちなものでしたが、そこで描かれている八路軍(中国共産党第八路軍)の兵士は皆キリリとして、「イケメン」もかなりいて、感動的で愛国的な行動を見せるのですが、日本軍は皆何とも下品な顔つきの俳優を集めていて、特に将校はこれでもかというほど下卑て粗野に描かれています。こんな映画を「愛国教育」として垂れ流していては、「日本人は悪い」と洗脳されるのは当然でしょう。幼い時に植え付けられたことは長じてもなかなか消えず、それが場合によっては、今回の中国の反日暴動のような形で噴出するのです。 

 「愛国教育」は、自身が反日的傾向のある江沢民が主席の時に全国的に実施され、それは「反日教育」に転化しました。西安の李真は30代半ばですが、「愛国教育」は受けたことがないと言っていましたからその後の世代でしょう。一人の指導者の考えで、今に至るまで多数の国民が洗脳されていることは、一党独裁の国家なればこそだと思います。次の最高指導者に予定されている習近平は江沢民のお気に入りの人物らしいようですから、日本に対する強硬な姿勢はしばらく続くのではないでしょうか。 

 上の投書の婦人が言うように「中国人を嫌いにならない」ようにはするのは望ましいことですが、100年経っても「反日」を叫ぶ中国の指導者や人民を考えると、真の「日中友好」は、今の中国の国家体制が変わらない限り程遠いように思われます。