整形前夜(穂村 弘 講談社)
粒ぞろいの穂村さんのエッセイ集の中でも、私の読んだ中では最も良かった。
特に印象に残ったエッセイは・・・
「普通列車「絶望」行き」
著者がSEだった頃、常駐先に行くのが嫌だった。ある朝、常駐先へ行く時、少し前を歩いていた先輩社員が突然しゃがみこみ、「数秒間、先輩はそのまま、じーっとしゃがみこんでいた。それから、ふらりと立ち上がって、何もなかったかのように歩き出した」。
著者は「まずいものをみてしまった、と思う。会社を「休む」のではなく、どこかに「逃げる」のでもなく、通勤の途上でただ「しゃがむ」というところが、悲しくて怖かった」と言う。
たぶん、これフィクションだろうな~と思いながら、フィクションであっても「絶望」を的確に表現していて見事だとも思った。
「整形前夜」
マリリン・モンローが慰問先の兵士たちを前にして「雪が顔にかかりながら、大歓声をあげている兵士たちの前に立ったとき、生まれて初めて何も恐怖を感じなかった」と言ったというエピソードの分析がよかった。
「来れ好敵手」「異変への愛」
江戸川乱歩の書く「ああ」に関する考察がよかった。ちょっと考えすぎのような気もするが。
引用された文章を読む限り、明智小五郎がとてつもない悪人に思えてくる。
「共感と驚異」
エンタテインメント小説は共感を求め、文学は驚異(ワンダー)を追求するという。ちょっと異論がないでもないが、最近年のせいか、虚構性が強い物語(ハード目のSFとか)が読めなくなったのは、この文章に書いてあることが原因なのかも、とも思った。
「二十一世紀三十一文字物語 その1 リモコン」
あ~わかる、わかる、その感覚、って内容だった。
粒ぞろいの穂村さんのエッセイ集の中でも、私の読んだ中では最も良かった。
特に印象に残ったエッセイは・・・
「普通列車「絶望」行き」
著者がSEだった頃、常駐先に行くのが嫌だった。ある朝、常駐先へ行く時、少し前を歩いていた先輩社員が突然しゃがみこみ、「数秒間、先輩はそのまま、じーっとしゃがみこんでいた。それから、ふらりと立ち上がって、何もなかったかのように歩き出した」。
著者は「まずいものをみてしまった、と思う。会社を「休む」のではなく、どこかに「逃げる」のでもなく、通勤の途上でただ「しゃがむ」というところが、悲しくて怖かった」と言う。
たぶん、これフィクションだろうな~と思いながら、フィクションであっても「絶望」を的確に表現していて見事だとも思った。
「整形前夜」
マリリン・モンローが慰問先の兵士たちを前にして「雪が顔にかかりながら、大歓声をあげている兵士たちの前に立ったとき、生まれて初めて何も恐怖を感じなかった」と言ったというエピソードの分析がよかった。
「来れ好敵手」「異変への愛」
江戸川乱歩の書く「ああ」に関する考察がよかった。ちょっと考えすぎのような気もするが。
引用された文章を読む限り、明智小五郎がとてつもない悪人に思えてくる。
「共感と驚異」
エンタテインメント小説は共感を求め、文学は驚異(ワンダー)を追求するという。ちょっと異論がないでもないが、最近年のせいか、虚構性が強い物語(ハード目のSFとか)が読めなくなったのは、この文章に書いてあることが原因なのかも、とも思った。
「二十一世紀三十一文字物語 その1 リモコン」
あ~わかる、わかる、その感覚、って内容だった。