ダンスホール(佐藤正午 光文社)
語り手は、競輪が趣味で文章に拘りがあるという、著者自身を思わせるような小説家。一方、主人公は九州に実家があり、離婚した妻が再婚しようとしている男の現在の妻が実家の近くにいるらしいので、実家に帰ったついでに離婚届を貰ってきてほしいと頼まれる。現実にはこんなことを引き受ける人はいないと思うが、物語なので主人公はあっさり引き受けて2回もそのために東京から九州へいくが、なかなか元妻の再婚希望相手の現配偶者(ややこしいな)に会うことができない・・・という話。
「死に様」というテーマで作家が競作するという趣向のシリーズ。
妻との離婚等があってスランプに陥った小説家は、死を考えるが、競輪で万車券を取って立ち直る・・・というのはウソ(そういう場面はあるが、著者の願望っぽい。もっとも著者は本命党のはずだが)で、主人公の人探しに付き合ったり、昔からの知り合い(護国寺さん)の死に立ち会ったりしているうちに、再度小説創作への意欲がわいてくる。
物語の中で死に様をさらすのは護国寺さんだけなんだけど、この人に関するエピソードは謎めいたほのめかし程度なので、「死に様」というテーマにはそぐわないような気もしたが、佐藤さん愛読者としては、いつものように、几帳面でハードボイルドなのにどこか破綻している登場人物たち(作家、主人公)が若干のミステリ風味の物語で、気怠く活躍?する小説に十分満足できた。
語り手は、競輪が趣味で文章に拘りがあるという、著者自身を思わせるような小説家。一方、主人公は九州に実家があり、離婚した妻が再婚しようとしている男の現在の妻が実家の近くにいるらしいので、実家に帰ったついでに離婚届を貰ってきてほしいと頼まれる。現実にはこんなことを引き受ける人はいないと思うが、物語なので主人公はあっさり引き受けて2回もそのために東京から九州へいくが、なかなか元妻の再婚希望相手の現配偶者(ややこしいな)に会うことができない・・・という話。
「死に様」というテーマで作家が競作するという趣向のシリーズ。
妻との離婚等があってスランプに陥った小説家は、死を考えるが、競輪で万車券を取って立ち直る・・・というのはウソ(そういう場面はあるが、著者の願望っぽい。もっとも著者は本命党のはずだが)で、主人公の人探しに付き合ったり、昔からの知り合い(護国寺さん)の死に立ち会ったりしているうちに、再度小説創作への意欲がわいてくる。
物語の中で死に様をさらすのは護国寺さんだけなんだけど、この人に関するエピソードは謎めいたほのめかし程度なので、「死に様」というテーマにはそぐわないような気もしたが、佐藤さん愛読者としては、いつものように、几帳面でハードボイルドなのにどこか破綻している登場人物たち(作家、主人公)が若干のミステリ風味の物語で、気怠く活躍?する小説に十分満足できた。