蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

the Team

2013年03月12日 | 本の感想
the Team(井上夢人 集英社)

霊能者を名乗る能城あや子は、テレビ番組で相談者の過去や秘密を正確に的中させて人気者になる。彼女の背後には3人のチームがいて、相談者の身辺をこっそり調査することによりその「能力」を支えていたのだが・・・という話。

雑誌に連載された8つの短編で構成された連作集だが、冒頭の「招霊」がとてもまとまりよく終わっていたので、もともとはこの「招霊」単発の短編だったのが、好評だったので書き継いだのかも・・・と思った。
しかし、読み進んでいくと、ただ同じ主人公が出てくるだけの凡庸な連作集とちがって、長編として読んでも楽しめるような筋立て(通して読むと、インチキ霊能者能城あや子の一代記のようにも読める)になっているのに感心した。
まあ、著者のようなテクニシャンなら、後付でもこの程度の芸は軽々とこなすのだろうけど。
同じ登場人物でどんどん連作を書けそうな感じなのだけど、最後さっぱりと終わらせたのもよかったと思う。

「招霊」のほか、インチキを暴こうとする雑誌記者との対決?を描いた「隠蓑」もよかった。
コメント
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