蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

マンガのような

2014年05月18日 | 野球
マンガのような

日本ハムの栗山監督が、プロ野球の人気振興策として「マンガのような選手」を育成することが必要、という主旨のことを発言していたことがあったと思います。
「マンガのような選手」とは、常識を超えた、現実離れした素晴らしいプレーをする選手、という意味のようです。

私の記憶がおよぶ範囲で「マンガのような選手」といえば、長嶋、王、江夏、といったところでしょうか。
最近だと、腕を骨折していても出場し続けて片手でヒットを打った金本選手とか、シーズン1回も負けなかった田中投手とかもマンガちっくでした。
しかし、マンガ家でさえ、「さすがにそれはないよな~」と考えてしまうのが、プロ野球なのに“エースで四番”ではないでしょうか。私が見たマンガでは、それをマンガ内で実現していたのは「アストロ球団」くらいかと・・・(「アストロ球団」が野球マンガかどうかは微妙ですが)

ところが、今、栗山監督の下で“エースで四番”が現実のものになりかけています。
打っては4割近いアベレージ、先発で4勝して完封までしちゃう大谷選手は、交流戦では「四番、ピッチャー、大谷」と先発コールされる可能性が十分ありそうです。そもそも今年はパリーグ主催試合でDHを使わないルールにしたのは、これを狙ってのことなのかも??

栗山監督は、キャッチャー(近藤選手)をシーズン途中にサードにコンバートとか、かなり無茶というのか、違う意味でマンガちっくなことをする人なのですが、この辺はやっぱりTV(評論)の世界に長くいたので、技術論・常識論よりマーケティング意識が先にきちゃうのでしょうか。
まあ、そういう人でないとここに至るまで「二刀流」をさせたりしないですよね。普通なら、客寄せ的に1年くらいはやらせても、二年目からはどっちか見込みがある方に専念させそうなものです。

実際、大谷選手も今のペースで二刀流を続けたら、選手寿命が短くなってしまいそう。
でも、今年だけでいいから、“エースで四番”どころか“最多勝で首位打者”を見てみたいなあ。そんなことになったら「オレはあの年の大谷を見た」と死ぬまで自慢できそう(誰に?)。
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SHORT PEACE

2014年05月11日 | 映画の感想
SHORT PEACE

アニメーションは、絵が動く面白さがないといけないなあ、というのが個人的な所感です。
なので、ピク●―的、3D的、CG的な、コンピュータ画面上でオブジェクトがプログラム通りに動いているように見える作品はアニメーションとは言えないなあ、と個人的には思っています。

本作でも、おそらく、3D的、CG的な技法はたくさん使われていると思うのですが、出来上がったものを見ている分には、絵が動いているような感覚を得られる仕上がりになっていたのが気に入りました。

「九十九」は、切り絵細工が動いているような感じ、
「火要鎮」は、浮世絵が動いているような感じ、
「GAMBO」は、墨絵が動いているような簡易、
「武器よさらば」は、伝統的なセルアニメ(線が異常に多くて大変そう・・・)のような感じ、がしました。

特に「GAMBO」で鬼と白熊が戦うシーンが、アニメならでは、という動きに見えたのと、鬼が画面から溢れ出てきそうな迫力には感動しました。

***
本作のタイトルは、おそらく、大友克洋さんの作品集「ショート・ピース」にちなんだものだと思うんですが、ウイキを見ると、「ショート・ピース」が出版されたには1979年で(版元は奇想天外社・・・なんて懐かしいんだ)、オリジナルの「武器よさらば」がヤングマガジンに掲載されたのは1981年なんですね・・・。
それを両方とも出版・掲載時に買って読んでいるんだから、オレも年だよね・・・。
「武器よさらば」なんて雑誌から切り離してクリアファイルに保存してあるのを発見したよ・・・ヤンマガそのものを保存しておけば、今頃けっこう高値かも・・・。
しかし、30年以上前の作品なのに「武器よさらば」って古びてないよな~。今読むと、絵柄もストーリーもつい最近描かれたものといわれても信じちゃいそう。
「SHORT PEACE」版の「武器よさらば」は重装備のゴンクが特に良かった。
***

本作は、興行的にはさっぱりだったみたいだし、レビューを見ても評価は今一つのようだが、それがちょっと信じられないような出来の良さだと思う。
少なくとも絶大な人気を誇るジブ●の作品よりは、アニメとして段違いに高いレベルにあるとおもうけどなあ。
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虎と月

2014年05月11日 | 本の感想
虎と月(柳広司 文春文庫)

「山月記」の後日談。
「山月記」で虎になってしまった李徴の息子が、父親が虎になってしまった以上、自分もいつかは虎になるのでは?という疑念を晴らすために、父親が虎になってしまったとされる村を訪ねると・・・という話。

あとがきによると著者は「山月記」の相当に熱心な読者で、本書のタネ明かしも、そうした背景にふさわしい、格調高く、かつ、納得性が高いものとなっている。
と、いうか、漢文の素養や知識が相当に高くないと考えつきそうにない見事さに感じられたので、
「このタネ明かしは、著者オリジナルのものなのだろうか?」
と思ってしまうほどだった。
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