蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

終戦のエンペラー

2014年05月27日 | 映画の感想
終戦のエンペラー

主人公のフェラーズ准将は、マッカーサーから、天皇の戦争責任回避のための証拠を集めるように指示される。准将は天皇周辺の人物に事情を聞きまわるが、決定的なものは出てこない。しかし、マッカーサーは政治的な判断から天皇の責任を問うことはしない、と決め、天皇と面会する・・・という話。

上記の主筋に准将の(日本人女性との)恋愛話を絡めようとしているのだけれど、准将の恋愛感情と戦争責任に関する調査活動との関係性があまりうまくかみ合ってなくて、ストーリーを盛り上げる役にはたっていない感じだった。

宮城事件がクライマックス(の一つ)になっているのだけれど、アメリカの人にとっては(終戦直前にクーデター未遂があったというのは)意外感があるのかもしれないが、日本人的には周知の事実なので、謎解き的な興趣もイマイチだったかなあ。

と、いうことでちょっと退屈な映画でした。

あと、日本での上映を意識するなら、陛下のキャストはもう少し(日本で)高名な俳優にした方がよかったんじゃないかな。
申し訳ないけれど、陛下役の俳優さんから“majesty”は全く感じられなかった。それともわざとそういうキャスティングにしたのだろうか??
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ジェノサイド

2014年05月27日 | 本の感想
ジェノサイド(高野和明 角川文庫)

アフリカの奥地のピグミーの村で、人類の知性レベルをはるかに超えた新人類の出現を察知したアメリカ大統領は、その抹殺を計画して傭兵部隊を派遣する。
傭兵部隊の長、イェーガーは現地の任務終了後は自分たちも始末されることを知り、さらに新人類を助けることで難病に苦しむ息子を救えることがわかり、新人類を救出することにする・・・という話。
(脇筋(というにはかなりのボリュームだが)でイェーガーの息子の難病を日本の学生が(新人類のヘルプで)創薬するというストーリーもあるが、主筋との絡みがイマイチだった)

各種ランキングで上位を占めただけあって、ページターナー的な作品で、特にアフリカからの脱出行はとても楽しく読めた。
しかし、メインなストーリーとはあんまり関係なさそうな時事・歴史解説みたいな部分も多くて、そのあたりはかなりステレオタイプな見方がされていることもあって退屈だった。
(「こんな書き方したら炎上ものだよな~」と誰でも思うような内容もあるので、作者の確信犯なのだとは思うが)

最終盤で、新人類はアメリカのインフラシステムへ侵入してそれを狂わせることでアメリカ側を脅迫するのだけど、
「そんなことが出来るのなら、最初からそうすればいいのに・・・」と思ってしまった。

この例のように、物語の中で新人類は目的のために手段を選ばない。傭兵部隊を自分に都合のよい人物で編制するために他の候補者をテロリストに殺させたり、イェーガーたちを追いかけるゲリラや兵士たちもいとも簡単に殺させる。

人類存続の脅威として抹殺を計画したアメリカ大統領は、実は正しかったのでは・・?なんてね。
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