蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

SHORT PEACE

2014年05月11日 | 映画の感想
SHORT PEACE

アニメーションは、絵が動く面白さがないといけないなあ、というのが個人的な所感です。
なので、ピク●―的、3D的、CG的な、コンピュータ画面上でオブジェクトがプログラム通りに動いているように見える作品はアニメーションとは言えないなあ、と個人的には思っています。

本作でも、おそらく、3D的、CG的な技法はたくさん使われていると思うのですが、出来上がったものを見ている分には、絵が動いているような感覚を得られる仕上がりになっていたのが気に入りました。

「九十九」は、切り絵細工が動いているような感じ、
「火要鎮」は、浮世絵が動いているような感じ、
「GAMBO」は、墨絵が動いているような簡易、
「武器よさらば」は、伝統的なセルアニメ(線が異常に多くて大変そう・・・)のような感じ、がしました。

特に「GAMBO」で鬼と白熊が戦うシーンが、アニメならでは、という動きに見えたのと、鬼が画面から溢れ出てきそうな迫力には感動しました。

***
本作のタイトルは、おそらく、大友克洋さんの作品集「ショート・ピース」にちなんだものだと思うんですが、ウイキを見ると、「ショート・ピース」が出版されたには1979年で(版元は奇想天外社・・・なんて懐かしいんだ)、オリジナルの「武器よさらば」がヤングマガジンに掲載されたのは1981年なんですね・・・。
それを両方とも出版・掲載時に買って読んでいるんだから、オレも年だよね・・・。
「武器よさらば」なんて雑誌から切り離してクリアファイルに保存してあるのを発見したよ・・・ヤンマガそのものを保存しておけば、今頃けっこう高値かも・・・。
しかし、30年以上前の作品なのに「武器よさらば」って古びてないよな~。今読むと、絵柄もストーリーもつい最近描かれたものといわれても信じちゃいそう。
「SHORT PEACE」版の「武器よさらば」は重装備のゴンクが特に良かった。
***

本作は、興行的にはさっぱりだったみたいだし、レビューを見ても評価は今一つのようだが、それがちょっと信じられないような出来の良さだと思う。
少なくとも絶大な人気を誇るジブ●の作品よりは、アニメとして段違いに高いレベルにあるとおもうけどなあ。
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虎と月

2014年05月11日 | 本の感想
虎と月(柳広司 文春文庫)

「山月記」の後日談。
「山月記」で虎になってしまった李徴の息子が、父親が虎になってしまった以上、自分もいつかは虎になるのでは?という疑念を晴らすために、父親が虎になってしまったとされる村を訪ねると・・・という話。

あとがきによると著者は「山月記」の相当に熱心な読者で、本書のタネ明かしも、そうした背景にふさわしい、格調高く、かつ、納得性が高いものとなっている。
と、いうか、漢文の素養や知識が相当に高くないと考えつきそうにない見事さに感じられたので、
「このタネ明かしは、著者オリジナルのものなのだろうか?」
と思ってしまうほどだった。
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