死んでいない者(滝口悠生 文藝春秋)
服部春寿の父が亡くなり、その葬儀に妹や弟(5人兄妹)、子(3人のうち2人)、故人の孫(春寿の子を除いて7人)、故人のひ孫(1人)が集まる、という話。
140ページくらいの作品で、上記のようにやたらと登場人物が多いので、系図を書いてみたくなった。実際書いてみると、(多分故意に)系統的に記述されていないので謎解きみたいな楽しさがあった。まさかそれが本書の目的ではないのだろうけど、まあ、系図作りは面白かった。
故人は85歳で、私の父と同じくらいなのだが、子が5人以上いる家庭がザラだった最後の世代になるだろう。子が5人いて孫が10人いて80年以上生きていればひ孫もいて・・・となると葬儀は親戚が来ただけでも老若男女交えて相当ににぎやか?になりそう。
そういう、一族郎党皆集ってみたいな儀式は今後は少なくなってしまうことは間違いないところで、本書はそうした集いへのノスタルジーを語ったものなのかもしれない。