ここしばらくの間に
いくつかの絵画展に出かけた。
映画でも個展でも、
行きたい行きたいと思いながら、
いつも期間が過ぎて見逃してしまうことが多いので、
このところちゃんと、見たいものがみられ、
行きたいところに行けていることに気をよくしている。
やりたいことがあるなら、
なにごともタイミングをのがさず、
まめに動かないといけないなと感じているこのごろ。
<誕生50周年記念 ぐりとぐら展>
多くの人びとに愛されている、野ねずみのふたご・ぐりとぐら。
おねえさんである中川 李枝子さんが文を書き、
いもうとさんの山脇 百合子さんが絵を描かれている、
おふたりの絵本の数々。
お料理がだいすきなぐりとぐらのつくったカステラを、
草食動物も肉食動物も、
みんな楽しくなかよくおいしくたべているこの絵が、
とてもすきだ。
絵本を読んだこども時代を思い出す人、
一生懸命子育てしていた頃を思い出す人…
それぞれの思い出の日々に、ぐりとぐらに親しんだひとは多いようだ。
わたし自身はというと、
おとなになるまでぐりとぐらを知らなかった。
自宅からも近い美術館。
休日がわたしとおなじ水曜日である友人と、
この個展とそのあとのランチをゆっくり楽しんだ。
<山本 容子展 「アート・イン・ホスピタル」>
年若い友人ふたりとの何年かぶりのランチ会。
そのレストランでふと目にとまった、
ビバルディの絵の、きれいな色使いのチラシ。
歌のお仲間・ぬっくさんにもあげよう、と1枚よぶんにもらって帰る。
チラシを渡したぬっくさんは、
この山本容子さんがスウェーデンの病院のアートを訪ねられたときの
TV番組をみたことがあり、
それがとても印象に残っていたのだそうで、
開催期限のせまったこの個展にすばやく出かけた。
とてもよかったとの感想をきいて、
わたしもぜひ行ってみたくなり、最終日にかけこむ。
行ってよかった。
ぬっくさんに教えてもらわなければ、
バタバタしている日の空き時間に、あえて出かけることはしなかっただろう。
優しい色使いの自然の風景。
人がいて動物がいて、そのなかに音楽がとけこんでいる。
風を感じさせる。こころ癒される絵。
実際に、音符やら歌詞やらが、いとも自然に絵のなかに描き込まれている。
Art in Hospital
という言葉、概念も、はじめて知り、触れた世界だった。
これからも注目したい。
<堀 文子展 「一所不住・旅」>
開催中半ばと、最終日、2回も行ってしまった。
20代から90代の現在にいたるまで数々の旅をし、描きつづけられ、
たえず変化、進化しつづけている絵もすばらしいが、
このかたの生きかた、人生そのものがすばらしく、
胸をうたれる。
旅をつづける、定住しない というのは、
そのままの意味だけでなく、
こころのありようについても、そうなのだ。
破壊と再生のくりかえし。
わたしは、今年になってから
勤務先のナースさんであり院長夫人でもあるかたに
堀 文子さんの画文集「命といふもの」をかしていただき、
ファンになったひとりである。
それからまもなく、
これまた近くの美術館で個展が開催されるという幸運。
一堂に集められた絵の数々をゆっくり眺め、味わうことができて
幸せだ。
ますます堀 文子さんがすきになった。
群れない、慣れない、頼らない。
おごらず、誇らず、うらやまず。
捨てなければ、次の感動は得られない。
こころに深く感じ入る、堀さんの言葉の数々。