さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

レチタティーヴォとカデンツァ

2009-10-16 | 歌のおけいこ



 だいだいリート Vol.6 番外編 です 
 

今回悩んだひとつが、

「なんだかテレてしまって
 早く 通り過ぎたい(歌いきってしまいたい)感」

ありありの これらの部分 


「Think of me」

の 最後のカデンツァ。


ミュージカル「オペラ座の怪人」で、
クリスティーヌが 
はじめて ヒロインに抜擢され、
その清楚で若々しい歌声を
舞台で 美しく響かせる。

そして 最後は、

アア アッハッハッハッハ~

アア アッハッハッハッハ~

アーアアアアアアアアアアアア…

ア ア~ of me !

と 高らかに歌いあげる。


めちゃかっこいい…はずのところ 


  「。。。ココは、どういう部分なん?

   どういう気持ちで歌ってますか?
   喜怒哀楽やったら どれ??

   なんで、わたし困りましたわ~ 
   みたいに歌うのっ!」


  「はあ…

   なんだかテレるもんで、はよすませたいなーと。。。」


  「もうっ!
   そんなんやったら 歌わせへんで!! 


   オペラでいうたら、アリアで歌姫がいっちゃん聴かせたいとこ、

   ”わたしのええ声を みなさん聴いてちょうだい!”

   っていうところやろ」


  「はいぃ~。。。


  「フレーズごとに ニコッ♪

   そこで ニコッ!

   手もつけて 歌ってみ。

   家でもそんな感じで 練習しといてね」


  「はい~ 



「Lascia ch'io pianga」

の歌いはじめのレチタティーヴォ。


ほとんどピアノ伴奏もなくて、
ある程度 歌い手さんの歌いたい(語りたい)ように
自由に演奏する部分。

リズム音痴で
気持ちばかりが 先走るわたしは、
こういうのが てんでダメなんだな。


  「ここやなあ 問題は。

   もうちょっとなんとかしようや。

   まず、リズム。 
   1拍目がぜんぜん感じられないよ。
   拍! わかってますか??

   直らんかったら ここ省いて歌わすよ! 

   さっ 手の動きつけてやってみよか。

   ほらっ ペットボトル持って!」


  「ひぃぃ~


たった 何小節かの、
その曲のなかではわずかな部分に悩まされ、
なかなかできなくて、
そこだけの練習に かなりの時間を割いて…

っていうことは よくある。

よくあるが…


これだけの部分ですら、 
なんだか 
自分がまるはだかになってしまったような
はずかしさがとれなくて、
さっさと歌ってしまおうとしてしまうのだから


オペラなんて とても。。。

と思ってしまうわたしのキモチ、

なんとなく わかります…よね。


さて、

これからも 課題は山積みです 


ほんとに次は なに歌おう。。。




  
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

だいだいリート vol.6 その3

2009-10-13 | 歌のおけいこ


そして もう1曲歌ったのが、

ヘンデルの

「Lascia ch`io pianga」 

~わたしを泣かせてください~ 

である。


「Think of me」

は、英語の歌に初挑戦。

「Lascia ch`io pianga」

は、イタリア語の歌に これまた初挑戦。

はじめてづくしで、
慣れない発音や アクセントの位置に 悩まされ、
さんざん 注意を受けた。


英語では とにかく

th と r の発音がなってなくて、
ずーっと 師匠に言われつづけ。

またコレばっかりが出てくるんだ この歌ときたら。
英語の歌って みんなそうなのかな 


イタリア語は、
いちおうローマ字読みでなんとかなるよと
きいていたものの、
語句のアクセントの位置が 思わぬところにあったりして
歌うときに気を配る必要があったし、


ドイツ語がかんたんだなんて 絶対思わないけど、

今回のだいだいリート(発表会)のあと
ドイツリートの定期の会が再開されて、
ひさしぶりにドイツ語の歌を歌ったときには


  ああ、これよ コレコレ♪ この感じ…


と、なんだか ほっとしたものだ。


で、発音のことは さておき

この 「Lascia ch`io pianga」は、

オペラの中のアリアでありながらも
いわゆるオペラのアリアのイメージの曲とは
かなりちがう、
歌曲として とりあげてよいような、
静かで澄んだ 賛美歌のような曲だ。

(わたしのイメージ ですが)


だから、

すっと まっすぐに立って 
あまり感情的な表情や 手の動きはつけずに

(といっても 勝手に動いてしまうんだけど…
 リズム音痴のわたしは 
 つい手の動きやからだで拍子をとろうとしてしまって。
 緊張やあせりも、すぐ顔や声に出てしまうし)

シンプルに まっすぐに歌いたかった。
これまた この曲のわたしのイメージである、白のドレスで。

ただ、

おなじ歌詞でおなじ旋律のくり返しが多いので、
それだけに、
まったくおなじに歌ってしまえば
退屈で つまらない曲になってしまう。

だからといって、
ことさらに変化をつけるのも 
この曲の雰囲気ではないし
だいいち そんな表現力もないし…

ああ、なんてむずかしい 


結局、

それとわかるかわからないかくらいの
強弱のつけかた、ブレスの位置、感情のこめかた…
それらで 変化をつけようとこころみる。

師匠のレッスン内容も
くりかえしの部分、
歌いかたを変えるというよりは
呼吸やブレスの使い分けで強弱の変化をつけるという、
わたしには

  すごくまっとうで 王道だ!
  この歌は こうでなきゃ。

と思える方向だった。


しかし、
そんな繊細な作業が必要となると、
それをクリアするには 繊細なテクニックが必要で 


つくづく感じたのだが、
まったく技巧的にみせず 
ただ 
まっすぐ素直に淡々と歌っているように
聴いてもらうには、
実は とても技巧的な作業が必要なのだと。


あんまり考えすぎても ドツボにはまって
できない自分がつらくなり、
どんどん音色が暗くなってしまうだけ なので、

ある程度 悩みもし、努力もしたあとは

  ま、いいか 今回はこれで
  また 次につなげれば 

と ひらきなおることも必要なのだが。


そのある程度まででも、
とにかくクリアして 満足できるように歌えるようになるには…


とても まにあわなかった。

それはもう 今後の課題としてかまわないとしても、


かなしいのは、
せめてこれとこれだけは、と思っていたことの
ふたつともが、本番でできなかったこと。

これまた、
練習では できていたことなのに。

緊張で、息がたりなくなる。

思わぬところで ブレスしないではもたない状態におちいる。

それが 起こってしまって…

まず、

  ここだけは ノンブレスでつなげよう!

と レッスンで はじめから師匠にも言われ
自分でも練習していたところが できず、
切れてしまった。


そのうえ、
最後の部分は 思いきりたっぷりとゆったりと…
後奏もなく歌で終わるんだからと 
そのつもりでいたところが、
やはり息がたりず あろうことか
一語の途中で ブレスするはめに。

 la liberta~

たったこの一語が 歌いきれなかったのだ。

 la liber(ブレス!)ta~

なんて歌ったやつは あんまりいないだろう、きっと。

でも、このときのわたしは
なんたる息のむだづかいをしていたのだろう。

最後の ta~が切れずにしぼまないためには
ここでいったん息を入れるしかなかった。

ああ、またしても メチャクチャやなあ。。。


本番で 練習以上に歌おうなんて はじめからのぞんでいない。

練習どおりに歌えたら それだけでいいやと
毎回毎回思っているのに、
歌えたためしがない。

それどころか、

今回は 練習でクリアできていたことさえ
ことごとくできなかった本番だったので、
わたしとしては ちょっとガックリ 

なのである。


あのレッスンは、あの練習は なんだったの???

ああもう、

「わたしを泣かせてください」

だわ、ホント 


うーん、ほんとに次は なに歌おう。

なに歌ったらいいんだろう。

歌いたい、すきな曲はいっぱいあるんだけど
どれが いろいろな意味で
いまの自分の思いにぴったりくる曲なのか
よくわからなくて 考えあぐねている。


  「なんでもアリだよ!」

と師匠が言われてるのに、

なぜ かえって悩んじゃうんだろうねえ 
 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

だいだいリート vol.6 その2

2009-10-10 | 歌のおけいこ


さて、今度は 

自分の歌った歌を振りかえりつつ反省を。


今回 わたしは本番中にあせりまくりながら、
脳内の記憶、組み立て、感情のコントロールetc…

を 総動員させなければいけないような大失敗をした。


それは…歌詞の大マチガイ。


思えば、伏線??はあったのだ。


本番前のひととき…

ピアノを弾いてくださる先生がたも、
むかしはわたしたちのかわいい妹分(いまもかな?)、
が、いまは それだけでなく
ジュビラーテの合唱指導もしていただいている先生であり
ソプラノの歌姫であるKかちゃんも
おなじ楽屋内で にぎやかに華やかに
わいわいガヤガヤ。


先生がたの会話が 耳にとびこんでくる。


  「たっちぃ師匠との本番は ドキドキするのよね~。

   前なんか、楽譜2ページ分くらい
   ナニ語かワカランような大ウソの歌詞で
   オレさまが正しい! って顔して
   堂々と歌ってんの。

   ピアノ弾きながら、

   ドコですかぁ それは!? ナニ歌ってんですかあ
   きゃー助けて~!! だれか止めて~!!

   状態だったわよ」


  「…そうなんですよ!
 
   相手役で歌う身の苦労が わかります??」


   そうなんだあ…


ココロのなかでわたしは 考えていた。


   まちがえても、ワケわかんなくなっても
  
   え? ワタクシなんかまちがってます??
   これが正しいのよ!!

   って顔して歌えるようでないといけないんだなあ。

   
   いや、モチロンその前に
   まちがえずに歌う努力をしてから だけど。


   フンフン、わたしも 万が一のときには
   そうできるように がんばろ。


数十分後、その万が一のときが訪れるとも知らずに。 


そして、その万が一のときは 訪れた。


  Think of me

   Think of me fondly,

  when we 've said good bye…


プログラム8曲目、
わたしの1曲目の歌 「Think of me」がはじまる。


緊張はまぬがれないし、声も練習どおりにはのびないけれど、
歌詞はうまく流れてくる。

このまま どうかぶじに最後まで…


と思ったら、あろうことか、

曲の途中で 最後のフレーズの歌詞を歌いはじめてしまったわたし。


待て待て待て待て! 

このままいってしまえば、

アア アッハ ハッハッハ~♪

曲さいごのカデンツの部分に突入して、
歌が終わってしまうではないか!

まだ 半分弱残ってるのに。

どうしよう。

ええい、つなげるしかない。

ツジツマあわない大ウソの歌詞でも、
おなじ歌詞くり返してでも、
次のとこにつなげなくては!

音楽を止めるな。


そう考えながら、アタマの中で早回しが起こった数秒。

カオ、ひきつってなかったかなあ。。。

おなじ歌詞をくり返したところ

(最初にまちがえて歌ってしまった歌詞を 
 本来歌うべき部分にきて
 もういちど歌ったところ)

は、ことさらに


  合ってるのよ! この歌詞で!
  なんか モンクある??


と アピールする気で歌ったりして。

ああもう、メチャクチャやなあ。。。


でも、楽屋でのお話があって 
それがこころに留まったことで、
わたしは 救われたのかも。

とにもかくにも 止まらずに歌いきったという、
ただ その一面だけにおいて…だが。


それにしても、
こんなドキドキものの失敗は、
これからさき あまりしたくないなぁ。

前日のリハーサルでもまちがえなかったし、
その夜から 本番の朝にかけても
くり返し百本ノックの勢いで 歌いこんだのになあ。

「まちがっても止まらない練習」

も したけど。

よりによって本番で こんなまちがい。。。

あるんだなあ。


今回は、目にみえる大きな失敗ばかりやらかしてしまった。

そう、もう1曲のほうも。


続きはまた次回に 



そうそう、今回の記事、

楽屋での先生がたの会話は
多少 色づけ(さくらの脚色)が入っており、
事実どおりに再現したものではありません。

たっちぃ師匠はじめ先生がた、どうかおゆるしを。 





コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

だいだいリート vol.6 その1

2009-10-07 | 歌のおけいこ


9月さいごの日曜日。

われらが師匠・橘 茂門下生の歌の発表会である
だいだいリートも はや6回目を迎えた。

今回は、
オペラ・ミュージカル・バラエティー限定で
歌曲は 1曲もない形式のコンサート。


歌曲のない(選択できない)発表会は お初だったので、

もともとオペラやミュージカルがすきで
あれも コレも歌ってみたい という曲を
たくさんイメージできるひとはともかく、

わたしも含め、
曲選びの段階で悩んだお仲間さんは 多かったと思う。

自分では曲もよくわからないし、

  えーい 師匠に丸投げして 決めてもらっちゃえ!

というひとも多かったと思う。

多かったと思うが。。。


いざ 開催されてみれば、
これがまあ なんと楽しいコンサートだったこと。

(聴いているほうも だが、
 なにより 歌っている本人が??)

いや もちろん 歌に加え
その役になりきった踊りや動き、演技らしきフリまでつけて
人前で演奏するには、
たいへんな過程や努力が要る。要ったはず!

前日のリハーサルでさえ、
そのたいへんさがよくみえる、
たどたどしさの残る状態だったもの。


ところが、いざ本番になってみれば
リハーサルとは見違えるような
踊りや 動きを 表情をみせてくれたみんな。
(もちろん歌もよ)

うーん さすがだ!

みんなこの発表会で、
ひとつ 自分のカラをやぶっちゃったような感じ。

その曲を歌うキャラクターになりきって
演じる楽しさ みたいなものを味わったことで…。


  また こんなのやりたい!

と やみつきになったらしいお仲間さんもちらほら。


と、ひとごとみたいに書いているのは、

わたしの場合
オペラと ミュージカルに分類される曲を
1曲ずつ選んだとはいっても、
2曲とも
踊りや振り付けのいらない
歌曲といってもいいような曲 だったから。

お仲間さんたちの
舞台での生き生きとした姿は 
ホント すてきだった。

楽屋では、
ピアノの先生や お仲間さんのひとりに

 「オペラも 歌ってみればいいのにー」

と すすめられたりしたが、

いまだに わたしは

 ”えーっ ムリムリ” 状態。。。

きっと、これをやれ!

って つきつけられるまで 選べないにちがいない。

でも、ミュージカルは 
いろいろ 歌ってみたい かも♪

な気分になっている。


それにしても、

わたしの親友であり、 
お酒と尾瀬と漢方と その他いろいろ…な世界に
わたしをみちびいてくれたぶるうぴーたーさんは
すごかった。

師匠とともに
オペラの男声二重唱を歌われたのだが、

これがまあ きちんと歌い、演じているからこそ
笑いなしに見られない(聴けない)ほど
みごとで。

リハーサルのうちから
ブラボーの声があがって、

本番では コレを聴かなきゃと
お仲間さんが ぞくぞく会場入りして

最後には 手拍子まで出た。


彼というキャラクターをよく知っている
わたしたちには、なおさら
彼の努力の大きさがわかるし
そのギャップ??のおかしさが 
ダイレクトに伝わる。

ま、いざとなればひらきなおりも得意で
お楽しみもだいすきな彼の一面も知っているし
それでいて 基本的には
ものごときちんとやりたい性格の彼であるがために

きっとこうなるだろう…
みたいな気持ちもあったのだが。

でも、
まったく彼を知らないお客さんにも
楽しさが伝わったと思う。

題材が またよかったよね。

師匠とのコンビで
あのキャラの組み合わせ。
役柄が もうぴったりで♪

がんばっていたお仲間さんたちの刺激を受けて、

わたしも これからジャンルにこだわらず
機会があれば、ご縁があれば
いろいろ 歌ってみよう。

そうそう、
絶対的ニガテ意識のあるオペラも いつか♪ 

と、遠い目をして つぶやいてみたり 
 




コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする