さくら・たわわにたわごと

四季折々、愛しきものたちとの日々と思いを綴ります。

新しい人生のはじめかた…Last Chance Harvey

2010-03-11 | 映画ほか芸術鑑賞記



ひさしぶりに映画をみに行った。


なんといっても ダスティン・ホフマンがすきなのだ。
ずっとむかしから。

ハリウッドでもいちばん、
というより、
だれよりもすきだといえる俳優が、
わたしにとっては 彼。 


仕事が遅くなり、
とくに予定のなかった週末
カフェで のんびり遅いお昼を食べていたとき
なにげなく ひらいた雑誌に
この映画の紹介が載っていた。


すぐにみに行きたくなって、
上映時間も調べずに映画館へ向かう。

たどりついたら…残念。
午前中に2回しか 上映されていない 


翌日の日曜日、
夫は休日出勤。 
わたしもとくに予定なし。
これは行かねばと、また 出かける。

この、すきなひと すきなものにあうための
まっしぐらな感じ 

わくわくする。


いつもいつも 思っているわけではないけれど、
ダスティン・ホフマンは
わたしをそれほどひたむきにさせてくれる存在なのだ。
何年ぶりかの スクリーンでの再会。


もちろん、雑誌の紹介欄で読んだ映画のストーリーにも
こころ魅かれていた。

いつもタイミングをはずしてしまうことが多い映画だが、
絶対観なきゃ! という思いでいっぱい。


冒頭は、
主人公ふたりそれぞれの、

自分の肩にかかる、人生の荷 であったり
受けなければならないわずらわしさであったり

そこに 自分の居場所はない、
ここは自分のいる場所ではない という
なんともいえないいごこちのわるさ、疎外感、孤独感…

みたいなものを描いたシーンが
かなりの時間続き、
みているこちらも 自分におきかえれば
身につまされる思い。


ある程度 年を経て、
人生をかさねてきた人間なら
たいがいは経験し、味わっている思い。

けれど、

それらがあるからこそ、
他者へのいたわりや いつくしみ、
むりをすることなく、偽善でもなく
誠実に接するということを 知ってゆくのだと思う。

そして ここぞというときには
思いきった決断をし、行動に出る。


  「楽しかった、夢物語でいいの。
   明日からは またおたがいふだんの日常に戻る。

   あきらめて生きるほうが楽なの。

   傷つきたくないから。。。

   いまはよくても、
   ずっと一緒にいれば、イヤな面がみえてきて
   こんなはずじゃなかったって きっと思う日がくるわ。


   ねえ、わたしたち うまくいくと思う?」


泣きじゃくりながら 自分の思いを語り、
たずねるケイトに、

ハーヴェイ…ダスティンは 答える。


  「まったく 見当もつかないよ。

   でも、がんばるよ。 約束する」



  「きっと うまくいくさ」

なんて 無責任に言わないところが いい。


ケイトが、

  「こんな格好じゃ 行けないわ」

と、ハーヴェイの娘の結婚披露パーティーへ一緒に行くことを
ためらったときに、

  「わかった。ドレスを買えと言うんだな。
   よし、買いに行こう。

   だけど、ドレスに200ドル以上は使わないよ」


なんて ぬけぬけと言ってのけるあたりも、
イヤミがなくて かえって笑える。

  「一緒に行ってくれるなら、どんな高いドレスだって買うよ」

などと言われるより、わたしにはこのましい。


そんなふうに思えるのは、
わたしも 年をかさねたからかな。


まあ、ひとつには
ダスティンの人間味が、
あたたかいものを感じさせるから 
ゆるせてしまうし、

わたしが 彼をすきだから

というのも あるのだが。 


期待どおりの、期待以上の映画で
しあわせな贈りものをもらった気分で
映画館を出た。


それにしても この映画、

  「新しい人生のはじめかた」

と訳されているタイトルの原題が

  「Last chance Harvey」

だというのも、なんだか 考えさせられる。





コメント (2)
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