主にオートバイ。時々クルマ。
なんだかんだと永年のブログです。
風に向かう刻
がんばるカブ。
毎年思うのですが、マン島TTは本当に凄いですよね。
コケたら一発で大惨事になるようなコースで
チューニングされたリッターSSをブン回すというような事は
技術もさることながら、精神的に悟りの境地に達していないと無理です(笑
GTカーを遙かに超え、F1並の加速を見せるバイクですから恐ろしいものです。
そうそう、コケたといえば。
今日、随分久方ぶりにコケました。
バイクでというわけではないのですが、バイク整備中に
自宅前のちょっとしたコンクリートの坂に勢いよく踏み出したところ、
ここの所の雨で急に育ったらしいコケに足を取られまして
ズルッ・・・べしゃっ。となんともマヌケなコケかたをしました^^;
数分後、何気なく脛に手をやると『ヌルっ』とした感触が・・・。
うーむ、なにやら結構出血しておりますですよ?あいたたた。
そんなコケも含みつつ、
本日は、朝方の豪雨が止んだあとの晴れ間を利用して
SuperCUBのクラッチ回りのメンテナンスをすることにしました。
私のSuperCUB 70DXは、もう少しで70,000kmに達しようとしていますが
(内、約60,000kmは農家のおばちゃんが農作業に使用)
基本的にオイル交換以外はノーメンテだったものですから
ある意味、ここまでよくも走ったりという感じもあります。
ところが、私が激しく乗り回すに至り
流石に最近になってクラッチの滑りを感じて来たので
先日交換用の純正パーツを入手しておいたのです。
実は、自分でパーツリストから洗い出したわけではなく、
店頭でHONDAのオンライン発注システムを見せて頂いての注文だったので
実際は色々と足りなかったりしたのですが、それはまぁそれでということで。
早速分解です。
ここの所の雨で、汚らしい状態ですが実用車なので気にしません。
実はカブに関しては、サービスマニュアルなどは持っておらず
作業のしかたもわからないので、とりあえずバラして考える事にします(笑
Rクランクケースカバーのボルトを抜こうとするも
早速エキパイに干渉して外れない状態です。
NSR250Rの用な、レース前提での合理的なマシンと違いこの辺は仕方ないです。
それにしてもNSRは凄いバイクでした。
車載のままクラッチプレート交換などは当然で、
ミッションもクランクさえも、そのまま交換整備が出来たものです。
観念して、レッグシールド、ステップ、エキパイを外しました。
クラッチユニットとリフタ、ドリブンギア、スターターギアなど。
カブって、シリンダーはド鉄なんですね・・・凄い錆具合です。
赤い矢印の+ネジ部分を8本緩めます。
私はインパクトツールの類を持っていないので、
車載状態で力のかけられるうちに、緩めてしまうようにしています。
ドリブンギアを抑えている工具は、NSR時代に使っていたクラッチホルダーです。
プーリーホルダーの類も持っていませんので、今回は工夫してこの工具で凌ぎます。
クラッチアウターカバーを外し・・・
「あー、このタイプか・・・。」残念ながらここで中断です。
HONDAの小さいバイクに多い、4本爪のセンターロックナットが使われています。
そういえばこのパーツも注文しそびれてるなぁ。
工具を自作しようにも、鉄パイプすらないので大人しく買いに行くことにします。
雨上がりなのと、最近RZに乗っていなかったのでRZでお出掛けです。
まずは自宅最寄りの工具専門店。
あまり期待してなかったのですが、案の定土建屋向けの店なので扱い無しでした。
東京湾沿いの道路に出て暫く走ると・・・
軽く見ても4kmほどの大渋滞。
はみきんエリア以外はすり抜けて行ったのですが
途中から現れた追い越し禁止エリアのカーブ先で事故車を発見。
緩い右カーブで最後に下る構成の道路なのですが、
トラックが対向車線に突っ込んだようです。なにやってんだか。
結局、ドラスタでモンキー用の新品ロックナットとワッシャー。
南海部品で、ロックナットレンチを購入しました。
ドラスタにもレンチの扱いはあったのですが、
キジマ製の3,000円近くするもので、品質の割に高かったのでやめました。
STRAIGHTのものならば、店によっては900円で買えますので・・・。
ナットとワッシャー・ガスケットはパーツNo.を控えていかなったので
見た目と機能で判断して、『駄目だったらいいや』程度に購入です。
自宅に戻り確認すると、目論見通りナットとワッシャーはOK。
残念ながら、ガスケットはやはりモンキー用ということで駄目でした。
ロックワッシャーのカシメを外し、
専用工具にてロックナットを外します。
クラッチセンタホルダの使い方は、本当はこういうものではありませんので
良い子はマネしないでくださいね(笑
外れたクラッチユニット。
矢印部分の、Cリングを適当なドライバーで外すとプレート類を取り出せます。
ユニットを分解。なるほどなぁ、こういう構造か。
世界一売れているバイクの中身は実にシンプルかつ工夫に満ちたものでした。
カブの荷台はここでも大活躍です。
クラッチアウターの状態。
私の所有になってから、レブまで引っ張りまくってガツンガツン乗っておりますが
まったく段付き摩耗などもなく・・・信じられないぐらい状態がよいです。
70,000km走ってこれというのは、驚愕ですね。
新品のプレート類とスプリングをハウジングに組み付けました。
組み込み済みの左が新品、右に出ているのが使用済み。
ともにオイルを塗布してありますが、表面の荒れ具合で摩耗の程度がわかります。
厚みに関しても、コンマ3mm程度は減ってみえました。
注文する時も、受けとる時も大して気にしていなかったのですが
エンジン側のクラッチディスクの品番も形状も変わっています。
最近のカブはこのタイプなのかしら。
因みに、こんな感じになっております。
22321-041-000(旧) → 22321-046-020(新)
各部摺動部に、エンジンオイルを塗りながら組み上げてゆきます。
この状態で、クラッチハウジングはひとまず完成。
矢印の箇所には、遠心力で飛ばされたらしいスラッジが満遍なく溜まっていました。
クラッチセンターロックナットを締め、クラッチカバーを取り付けます。
マニュアルがないので、ロックナットの締め付けトルクが不明ですが・・・
構造上、40Nm程度だと思いますのでその位で(笑
画像の行程は、+ネジを締めているところ。私は+ネジが嫌いです。
それというのも、適切なトルクをかけようとすると
構造上どうしても迫り上がる方向に力が働くので
セオリーとして垂直方向に押す力を強くすると思うのですが、
それが締め付けトルク感覚を鈍らせるので嫌なのです。
画像のように、押しとトルク管理は別の腕で行うと解りやすいのでこうしています。
ついでにオイルストレーナースクリーンをチェック。
平たくいうと、オイル漉しなのですが流石は純正状態だけあって
漉し捕られるサイズの内部の異物は、ほぼありませんでした。
ただ、私が整備している場所は砂埃なども多い場所なので
次にあけるときにはそれなりに汚れが詰まっていると思います。
最後に、クランクケース側にこびりついた紙ガスケットを削り
カバー側のガスケットも同様に削り落として綺麗にしてゆきます。
私は、スクレーパーではなく厚手のカッターの刃を使うことが多いです。
新品のガスケットをとりつけ、
クラッチアジャスタパーツを落とさないように気を付けながら
クランクケースカバーを取り付け、バランス良くボルトを締めます。
あとは外したエキパイやらステップやらを取り付けて完成です。
それにしても、ド鉄シリンダーの錆が気になりますね・・・。
手でクランキングすると、
明らかに圧縮が漏れている音がしますので、次行は腰上OHですね。
流石にシリンダー交換は勿体ないかなぁ。
開けて摩耗が進んでいれば、交換する口実にはなるのですが(笑
最後に、エンジンを暖機して僅かに走ってみました。
排気ポートあたりから煙が出ているようですが、
囓り防止に塗布したモリブデングリスが焼けているのか、
排気漏れかは現段階では判然としません。
おそらく前者だと思いますが、これは経過観察ですね。
残念ながら、エキパイ用のガスケットはこれまた発注していなかったので
今度、互換品がないかバイク用品屋で見てこようと思います。
ともあれ、これでクラッチ回りのメンテナンスは完了です♪
サービスマニュアルも無かったので多少不安はありますが(笑
構造上問題はないかと思いますので、あとは走行テストだけ。
それにしても、
そろそろ屋外で整備するには辛い季節ですね。
あまりにも暑すぎます^^;