
「石油の支配者」 浜田和幸著 (文春新書) 定価:730円
【この本を読んだ理由】
ガソリンが値上がりするたびに石油資源のない国・日本の悲哀を感ずる。
「石油の支配者」がどのように石油資源をあやつっているのかを知る上で、この本に興味を持った。
【読後感】
過去に3度の石油ショックがあった。
1973年はアラブ諸国とイスラエルの間の第四次中東戦争の影響で第一次石油ショック。
この時「トイレットペーパーが無くなる」と言うウワサに翻弄された。
1979年はイラン革命(ホメイニ師)によるイラン原油の急減で第二次石油ショック。
1990年はイラクによる湾岸戦争で第三次石油ショック。
これらの過去の石油ショックは原油供給が中断するという目に見える形で納得できる原因があった。
しかし、今回の第四次石油ショックと呼ばれる2007年から2008年にかけての原油高は明らかな前兆が何もないのだと著者は言う。
この本では、今回の第四次石油ショックの原因を探るため、原油高騰の背景を探り、背後で原油高を演出、謳歌している「石油投機筋」と呼ばれる勢力とその手口に迫っている。
私は石油の埋蔵量は有限であるとずーと思ってきた。
つまり、原油は古代生物が地中に埋まって化石燃料に変化したものと教えられていたから。
すなわち、「石油有機説」で「石油有限説」である。
これがいわゆる「ピークオイル説」といわれている。
でも、この本を読んだら、上記「石油有限説」とは別にロシアが唱える「石油無限説」があることを知った。
原油は地球のマグマに近い超深度地帯で自然発生的に形成された資源であるというのがロシアが唱える「石油無機説」。
この説だと石油の埋蔵量は無限に大きくなるらしい。
らしいというのは、いずれの説が正しいか、まだ結論が見えていないとのこと。
それともう一つ、気になることが書かれていた。
それはロシアの石油探査と石油掘削技術であり、石油掘削技術の「切り札」を握るのがロシアであるということ。
石油資源について、この本には、なかなか興味深いことが書かれているがもっと詳細を知るにはこの本だけでは不十分のようだった。