「父親―100の生き方」 深谷昌志著 (中公新書) 定価:740円
【この本を読んだ理由】
本のタイトル「父親―100の生き方」に興味があった。
【読後感】
著者は、昭和8年、東京都生まれで、教育社会学専攻の大学教授である。
本書の「はじめに」に書かれていた著者の本書に託した思いを紹介する。
“長年にわたって子どもの生活史を追いかけてきたので、手許に400冊を超える自伝がある。
自伝の一冊一冊には子どもの目を通しての、父親一人ひとりの人生が書き込まれている。
自伝を一冊読んではその父親の生き方に思いを馳せ、次の自伝でまた新しい父親に出会う。
そうした形で100人の父親の生き方を読み取り、それをまとめたのが本書である。
本書が、父親としての自信を喪失しがちな父親へのエールとなれば、そして、それと同時に、多くの女性たちに弱い父親の心情を理解してもらうきっかけができれば、望外の幸せである。”
この本の中には、「ホームレス中学生」で有名になった漫才の田村裕をはじめ、武田鉄矢、北野武などの父親も出てくる。
しかし、殆んどが戦前の父親であった。
有名人の父親がどんな人であったかを知るには、楽しい本である。
が、現代のサラリーマンたちの模範となるような父親の例は少なく、残念ながら、あまり参考になるような父親像はなかったように思う。