「〈勝負脳〉の鍛え方」 林 成之著 (講談社現代新書) 定価:700円
【この本を読んだ理由】
“北島康介絶賛!
スポーツにビジネスに
勉強に、勝てない脳を
劇的に変える!”
“新聞・雑誌で話題沸騰”
この帯の宣伝文句でイチコロに。
【読後感】
驚いたことに著者は富山県出身。
著者は、スポーツドクターとか心理学者ではなく、脳外科医であって、スポーツとは無関係だが、スポーツを見ることもやることも大好きだそうだ。
この本で言う「勝負脳」というのは、著者独自の造語である。
「勝負脳」とは、勝負に勝つための戦略を練る知能とのこと。
そして著者は以下のように解説している。
“みなさんが幼いときであればあれほど、つまり本能に忠実であればあるほど、ひたすら勝負に勝ちたい一心であの手この手と、相手の意表をつくような作戦を考えたのではないでしょうか。
これが勝負脳です。勝負に勝ちたいと願い、相手を上回る戦略をあれこれと考えることは、人間にそなわった本能のひとつなのです。
そしてこの勝負脳は、みなさんのふだんの生活、仕事、あるいは勉強など、必ずやりとげなくてはならないことに立ち向かう上でも必要なものなのです。”
主に説明の対象として取り上げられているのはスポーツである。
特に本番での勝負に役立つ心構えという点では興味深い。
また、脳の動きについて専門的な説明も時々あるが、わかりやすく書かれていてそれほど難しくはない。
「勝負」に無縁な人間など一人もいないのではないだろうか。
その勝負の結果、自分は実力に見合った結果が得られなかったと思ったことがあるのでは・・・。
つまり、それは勝負脳が弱いためである可能性が高いと言うことらしい。
“相手の長所を打ち砕くことこそが勝負脳が求める究極の姿であり、そのための練習は、勝負脳をますます強くするのです。”
と著者は言う。
また、脳の「疲労」は体の疲労と違って簡単に回復しないそうだ。
脳が疲労すると手足の微妙な動きが制御できなくなるとのこと。
この原因は、神経伝達物質のドーパミンが、ストレスで発生する活性酸素の影響を受けやすいことによるらしい。
一方、疲労解除の命令を出す機能もまた脳は持っていると言うことで、前頭眼窩野の機能を高めるために好きな匂いを嗅ぎながら楽しい話をすればいいとのことである。
「勝てない脳を劇的に変える!」という帯の文句ほどの効果があるかどうか、過度に期待せず自分に必要だと思うところがあれば取り入れてみればよいのではないかと思った。