医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

国内でがんにかかる人の3・2%は、医療機関での放射線診断による被ばくが原因の発がんと推定される

2005年09月04日 | 総合
Lancet. 2004;363:345からの報告です。
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

この研究は、各国のエックス線、CT(X線断層撮影)など放射線検査の頻度や、検査による被ばく量、さらに年齢、性別、臓器ごとに示した放射線の被ばく量と発がん率の関係についてのデータなどを基に、検査に伴う75歳までの発がん者数を推定しました。日本は年間7,587件で、がん発症者の3.2%として、調査が行われた英米など15か国の中でも最も高かったそうです。日本以外では、英国、ポーランドがともに0.6%で最も低く、米国0.9%、最も高いクロアチアでも1.8%でした。日本は、1,000人あたりの年間検査回数が最多の1,477回で、15か国の平均の1.8倍。発がん率は平均の2.7倍で、1回の検査での被ばく量が他国より高いことがうかがえました。本論文は、通常のエックス線検査より放射線量が多いCT検査の日本での普及が影響していると指摘しています。

CTは、エックス線を使ってコンピューターで画像にする装置。国連科学委員会報告によると、日本は人口100万人あたりの普及台数が64台で、2位のスイス(26台)を引き離し、世界一多いそうです。CTには年間の検査回数や撮影枚数に制限がなく、機器の精度や技師の腕により被ばく量が異なります。

日本放射線技師会は2000年、医療被ばくの指針を定め、撮影部位ごとの目標値を策定。さらに見直し作業を進め、来年度にCT検査の実態調査を行う予定です。今後、検査のあり方を巡り波紋を広げそうです。

日本の医療を問いなおす―医師からの提言
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1 コメント

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Unknown (陽子)
2005-09-04 23:27:51
いつもブログを愛読している、あなたのファンの一人です。毎回正確で為になる情報をありがとうございます。

CTの被爆量は医師自身もよく知らないものです。見落としが恐くてつい検査過剰になりがちですが、こういうデータや指標があると大変参考になりますね。

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