医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

医療費の一定額を保険対象外に

2005年10月16日 | 総合
医療費抑制のため厚生労働省が今週公表する医療制度改革試案の全容が明らかになった。高齢者などの患者負担増や生活習慣病対策を実施。もう一段の医療費圧縮の追加策として、通院などの際にかかる医療費のうち、一定額までを保険適用の対象外として患者の自己負担とする「保険免責制度」の導入を盛り込んだ。(日本経済新聞)以上引用

これに対して日本医師会などは「症状が重くなるまで通院を避ける人が増え、かえって医療費が増える」と反論しています。患者が減り自分たちの収入が減る事に対する相変わらずの保身です。それならそう言えばいいのに、「かえって医療費が増える」と反論してしまうのは偽善です。

保険の対象外となるのは1,000円だそうです。よく考えてみて下さい。例えば診療代に5,000円かかったとすると、これまではその3割の1,500円が自己負担でしたが、最初の1,000円が保険の対象外となれば、残りの4,000円の3割の1,200円と最初の免責の1,000円の合計2,200円が自己負担額で差額は700円となります。しかし診療代に五万円かかった場合の差額は700円、十万円の場合も700円です。診療代が高くなるほど制度導入で増える自己負担の割合は少なくなります。診療代が5,000円というのは風邪で受診し抗生剤を処方されたぐらいの病状で、そういう方が通院を避け症状が重くなり国の医療費を押し上げる可能性はほとんどありません。アメリカでは、風邪で病院にかかっても「薬局で薬を買い(自己負担100%という意味も含めて)自宅で安静にしていて下さい」と言われるだけです。

それでは診療代に十万円かかる場合はどうか。この場合は重症の疾患もかなり含まれているかもしれません。しかし結果的に自己負担が約三万円かかるのに700円をケチって通院を止めるでしょうか。そういう方には診療代以外の理由があると考えるのが妥当です。

確かに軽微な症状に重大な疾患が隠れている場合もあります。しかし、それはむしろ予防医学の世界であり、それを主張するなら健康診断も保険でする必要がある事になってしまいます。

日本医師会の主張は、論理学では「二分法」という有名な詭弁法で、すべてを白か黒かに分類して割り切ろうとする論法です。すなわち、二つにきっぱりと分けることなどできない複雑な母集団を二つに分けてしまい(免責制度を採用すると通院を避ける人が増える。採用しないと避ける人は増えない)、話を過度に単純化して都合のいい結論を導こうとする方法です。

日本の借金を減らすため、国民一人一人が国のことを考えないといけない現在、医師会も国民もしっかりと考えてもらいたいものです。

ドキュメント日本医師会―崩落する聖域

論理学がわかる事典

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