「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが監督したヒューマンドラマです。
リアル・ペイン 心の旅 (A Real Pain) 2024
先週、夫から「夜に飲み会が入った」と連絡があったので、「久しぶりにひとりで映画でも見に行こうかな」と、仕事帰りに映画館に寄り道しました。
夜の渋谷、スクランブル交差点はまさにカオスな賑わい。半ば後悔しつつ、映画館シネクイントの入っているパルコへと向かいましたが、その頃には人もだいぶバラけていて、ほっと一安心。
この日観たのは、公開時から気になっていて「観に行きたい」と思っていた表題の作品です。
『ソーシャル・ネットワーク』は15年前の作品ですが、当時観たときはスピード感のある展開と、アイゼンバーグのマシンガントークに圧倒され、一種のハイ状態に。興奮が2週間ほど冷めなかったという、忘れがたい体験をしました。
そんなアイゼンバーグがどんな作品を作ったのか、気になっていました。監督デビュー作『僕らの世界が交わるまで』(When You Finish Saving the World)は知らずに見逃してしまったのが悔やまれます。
意外な組み合わせですが、本作も前作『僕らの~』もエマ・ストーンが製作に参加しているそう。これはやはり、『ゾンビランド』での共演がきっかけでしょうか。エマ・ストーン、よく分かってるな~と、そのこともうれしくなりました。
さて、本作は、ニューヨークに住むユダヤ系のデヴィッド(アイゼンバーグ)と、従兄弟のベンジー(キーラン・カルキン)が、亡くなった祖母の祖国であるポーランドを訪ねるツアーに参加する物語。
冒頭からデヴィッドのマシンガントークに、「この人大丈夫?」と思ってしまうのですが、実は彼は社会ときちんと折り合いをつけて生活している常識人。一方のベンジーは、周囲の空気を読まず、自分の主張を決して曲げない不器用な人間です。
ベンジーは行く先々でツアーの集団行動(といっても8人ほど)を乱す発言や行動をしますが、結果的には彼の自由奔放な言動が人々を楽しませ、魅了し、考えるきっかけを与えていきます。
そんなベンジーを誰よりも気にかけているデヴィッド。しかし彼は、ベンジーに対して「誰よりも大好きで、誰よりも大嫌い」という、相反する感情を抱いています。その気持ちに、私はとても共感しました。
私自身、どちらかというとデヴィッド側の人間なので、ベンジーのような人をうらやましく思う反面、「できればあまり関わりたくないな...」と感じる部分もあるのです。
映画がポーランドを舞台にしていることもあり、ショパンの音楽が多くの場面で使われていたのがうれしかった。ただ、ひとつ欲を言えば... 私はショパンが好きすぎるあまり、音楽のほうに気を取られてしまった部分もあったかもしれません。^^
派手な作品ではないですが、私はこういう繊細な作品が大好きです。