セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

リアル・ペイン 心の旅

2025年02月21日 | 映画

ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが監督したヒューマンドラマです。

リアル・ペイン 心の旅 (A Real Pain) 2024

先週、夫から「夜に飲み会が入った」と連絡があったので、「久しぶりにひとりで映画でも見に行こうかな」と、仕事帰りに映画館に寄り道しました。

夜の渋谷、スクランブル交差点はまさにカオスな賑わい。半ば後悔しつつ、映画館シネクイントの入っているパルコへと向かいましたが、その頃には人もだいぶバラけていて、ほっと一安心。

この日観たのは、公開時から気になっていて「観に行きたい」と思っていた表題の作品です。

『ソーシャル・ネットワーク』は15年前の作品ですが、当時観たときはスピード感のある展開と、アイゼンバーグのマシンガントークに圧倒され、一種のハイ状態に。興奮が2週間ほど冷めなかったという、忘れがたい体験をしました。

そんなアイゼンバーグがどんな作品を作ったのか、気になっていました。監督デビュー作『僕らの世界が交わるまで』(When You Finish Saving the World)は知らずに見逃してしまったのが悔やまれます。

意外な組み合わせですが、本作も前作『僕らの~』もエマ・ストーンが製作に参加しているそう。これはやはり、『ゾンビランド』での共演がきっかけでしょうか。エマ・ストーン、よく分かってるな~と、そのこともうれしくなりました。

さて、本作は、ニューヨークに住むユダヤ系のデヴィッド(アイゼンバーグ)と、従兄弟のベンジー(キーラン・カルキン)が、亡くなった祖母の祖国であるポーランドを訪ねるツアーに参加する物語。

冒頭からデヴィッドのマシンガントークに、「この人大丈夫?」と思ってしまうのですが、実は彼は社会ときちんと折り合いをつけて生活している常識人。一方のベンジーは、周囲の空気を読まず、自分の主張を決して曲げない不器用な人間です。

ベンジーは行く先々でツアーの集団行動(といっても8人ほど)を乱す発言や行動をしますが、結果的には彼の自由奔放な言動が人々を楽しませ、魅了し、考えるきっかけを与えていきます。

そんなベンジーを誰よりも気にかけているデヴィッド。しかし彼は、ベンジーに対して「誰よりも大好きで、誰よりも大嫌い」という、相反する感情を抱いています。その気持ちに、私はとても共感しました。

私自身、どちらかというとデヴィッド側の人間なので、ベンジーのような人をうらやましく思う反面、「できればあまり関わりたくないな...」と感じる部分もあるのです。

映画がポーランドを舞台にしていることもあり、ショパンの音楽が多くの場面で使われていたのがうれしかった。ただ、ひとつ欲を言えば... 私はショパンが好きすぎるあまり、音楽のほうに気を取られてしまった部分もあったかもしれません。^^

派手な作品ではないですが、私はこういう繊細な作品が大好きです。

コメント (1)

奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店

2025年02月15日 | +奈良

1月の終わりの週末に、1泊で奈良に行ってきました。奈良市内にある若草山では、毎年1月の第4土曜日に山焼きが行われます。

若草山の山頂にある鶯塚古墳に葬られた霊魂を鎮める祭礼として、若草山に隣接する東大寺・興福寺と奈良奉行所が立ち会い、山を焼くようになったのだそうです。

若草山には以前、ハイキングで登ったことがあります。その際、毎年1月に山焼きが行われていることを知り(当時は神事とは知らなかったのですが)一度見てみたいと思っていました。

***

今年の山焼きは1月25日の土曜日。朝8時頃に東京の自宅を出発し、12時に奈良に住む息子と待ち合わせました。

まずは情緒ある町屋の街並みが残る「ならまち」へ。この日、昼食を予約していた「粟 ならまち店」を訪れました。

築140年の町屋を改装した古民家で、大和牛や大和伝統野菜など、奈良県産の食材を使った心づくしの料理が楽しめます。この日は2階のお座敷で、奈良の地酒とともに「収穫祭御膳」をいただきました。

籠に盛られた、大和伝統野菜を使った料理の数々。白和え、酢味噌和え、さつまいものレモン煮、おひたし、里芋の田楽など、どれも繊細な味付けで、野菜本来の美味しさを堪能できました。見た目も美しく、心躍るひと皿ひと皿でした。

こちらは「大和牛3種盛り」です。右から、しぐれ煮、ローストビーフ マスタードソース、じゃがいもとランプステーキ バルサミコソース。どれも甲乙つけがたい美味しさでしたが、特にローストビーフが気に入りました。

左は、粟餅と原木きのこなどの野菜を吉野葛あんで和えたもの。右は、紅くるりという赤大根とブロッコリーの天ぷら。岩塩でいただきます。

右から、大和芋のお味噌汁、片平あかねという細長い赤カブのお漬物、古代米と奈良のお米をあわせて炊いたご飯。

どれも、ほっとする優しい味わいでした。

デザートは、生姜のカヌレと奈良のいちご。奈良といえば柿が有名ですが、最近はいちごの生産にも力を入れているようで、今回の旅ではいちごを使ったお菓子もたくさん見かけました。

コーヒーとともに、ゆったりとした時間を楽しみました。

ならまちには、趣のある町屋がそこここに残っています。何気なく歩いていると、有形文化財のプレートがついている建物もありました。

田村青芳園茶舗」という素敵なお茶のお店を見つけました。店先まで、茶葉を焙煎する香ばしい香りが漂っています。思わず引き込まれ、煎茶を購入しました。

コメント (4)

アプレンティス ドナルド・トランプの創り方

2025年02月11日 | 映画

現アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏の成功までの道のりを描いた作品です。

アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 (The Apprentice) 2024

タイトルの「アプレンティス」には「見習い」という意味がありますが、これはトランプ氏がかつてレギュラー出演していた人気バラエティ番組「The Apprentice」に由来しています。

私はこの番組を見ていませんでしたが、当時トランプ氏が番組内で採用した社員に「お前はクビだ!」(You are fired!) と言って解雇するのが流行語のようになり、日本でも話題になっていた記憶があります。

映画の舞台は80~90年代のニューヨーク。当時のアメリカは景気が良く、まさにイケイケの時代。トランプ氏が着こなす上質なスーツや、当時流行した太めのネクタイといったファッションがとても懐かしく感じられました。

また、日本もバブル真っ盛りで、企業の時価総額ランキングを日本企業が席巻していた時代。ニューヨークを象徴するロックフェラーセンターを日本企業が買収したことも話題になりました。

そのため、映画には日本人のキャラクターもちらほら登場し、当時の音楽やカルチャーもふんだんに盛り込まれていました。懐古趣味も手伝って、個人的にはとても楽しめました。

肝心のトランプ氏の自伝としては、本作の内容に正直それほど驚きはありませんでした。というのも、だいたい知っている通り、想像していた通りのストーリーだったからです。

おそらく映画にできない「闇の部分」も数えきれないほどあるのでしょうが、それらにはほとんど触れず、チェイニー副大統領を描いた映画「バイス」(Vice) のような毒もありませんでした。

やはりトランプ氏が政界から引退し、完全に影響力を失った後でないと、より踏み込んだ映画を作るのは難しいのかもしれません。

人格的にはいろいろ問題があるものの、今のアメリカではこういうパワフルなリーダーが求められているのだろうな、ということが改めて分かりました。

私自身、決して好きなタイプではありませんが、すごいと思うのは彼がたばこも、お酒も、ドラッグも一切やらないこと。

はちゃめちゃな言動が多い一方で、芯がしっかりしているからこそ、ここまでの成功を収めたのかもしれませんね。

コメント (13)

東天紅 @東京国際フォーラム(2024・新春)

2025年02月08日 | グルメ

映画を観た後、東京国際フォーラム7階にある「中国料理 東天紅」でランチをいただきました。こちらのお店は少し離れた場所にある穴場で、ナチュラルテイストの落ち着いた雰囲気の中、洗練された中国料理を楽しめます。

ランチセットはメニューの種類が豊富にあります。私は、さまざまな料理を少しずつ楽しめる「健美御膳」を、夫は「麺飯セット」にしてメインに五目あんかけ焼きそばを選びました。

セットに付いてくる前菜です。鶏ハムや有頭海老など、お正月らしさを感じる4品。LINE登録をするとその場でドリンクがサービスされたので、私はスパークリングワインをいただきました。

こちらは夫のメインの五目あんかけ焼きそば。間違いのないおいしさです。

点心です。ミニミニサイズの蒸籠(せいろ)がかわいい! 焼売と翡翠色の海老蒸し餃子、どちらもおいしくいただきました。

薬膳スープ。しみじみと染みわたるおいしさで、体がぽかぽかと温まりました。

海鮮料理と肉料理がいっしょに運ばれてきました。肉料理は豚肉と野菜の炒め物で、豚肉がぷりぷりとしていてとてもおいしかった! 海鮮料理は海老チリで、チーズが入っています。旅館の一人鍋のように温めながらいただくのがユニークでした。

ごはんか豆乳粥を選べるので、私は豆乳粥にしました。濃厚な味わいでしたが、搾菜などのお漬物が付いていたので、さっぱりといただけました。

デザートは杏仁豆腐とココナッツのおだんごでした。

東京国際フォーラムには、毎年年末年始の時期に恒例の干支ツリーが飾ってありました。今年は巳年ということで、蛇のぬいぐるみを並べたツリーが飾られていました。赤・黄緑・赤と黄緑の2色の、3つのツリーが並んでいて華やかでした。

蛇は私がもっとも苦手とする動物のひとつですが、この干支ツリーの蛇はかわいらしかったです。

【過去記事】
東天紅の冷やし豆乳担々麺(2017-07-27)
東天紅 &新しいPC(2019-01-06)

コメント (6)

ビーキーパー

2025年02月04日 | 映画

ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画です。

ビーキーパー (The Beekeeper) 2024

今年初めて観た映画は悪くはなかったものの、私的には今ひとつ物足りなさを感じていました。そこで、何かスカッとする映画はないかな~と探していたところ、見つけたのがこの作品です。

ちょうど有楽町に用事があったので、銀座TOEIで鑑賞することに。劇場の入りがあまりよくなかったので一抹の不安を覚えましたが、ジェイソン・ステイサムのアクション映画にハズレなし! 期待通りにおもしろかったです。

「そうそう、私が求めていたのはこういう映画だったの!」と思わずガッツポーズを決めました。

物語の舞台はアメリカの田舎町です。農園の片隅を借りて、養蜂家として隠遁生活を送っているクレイ(ステイサム)。

しかし、クレイに居場所を提供し、これまで支えてくれた恩人の女性がオンライン詐欺に騙され、全財産を失った末に自殺してしまったことに衝撃を受け、復讐を誓います。

日頃は養蜂家として蜜蜂の世話をしたり、蜂蜜を作ったりとロハスな暮らしを送っているクレイですが、スイッチが入った瞬間、一転して無敵の必殺仕置き人に。実は彼、かつては極秘のスパイ組織に所属していた伝説の殺し屋だったのです。

そして詐欺グループの背後には、とんでもない黒幕が控えていました…。

さらに、クレイの恩人の娘は、実はFBI捜査官。彼女にとってクレイは、母のために悪と戦ってくれる救世主のような存在ですが、FBIとしては彼を好き勝手に暴れさせるわけにはいきません。

そのため、彼の行く先々に現れては邪魔をする展開に、ちょっぴりイライラしてしまいました。最後の最後はわざと見逃してくれましたが…。

シュワルツェネッガーのようにただ情け容赦なく撃ちまくるのではなく、クレイの行動には相手が悪人であっても、安易に殺すことへの躊躇が感じられ、彼の人間としての器の大きさを実感しました。

コメント (10)

Loiseau de France(ロワゾードゥフランス)

2025年02月02日 | グルメ

お誕生日が近いブログ友達のまだ~むさんと、今年もバースデーランチでお祝いしました。今年訪れたのは、飯田橋の東京日仏学院内にあるフレンチレストラン 「Loiseau de France(ロワゾードゥフランス)」 です。

以前ブログにも書いたかもしれませんが、若い頃フランスへの憧れが強かった私は、大学卒業後もしばらくフランス語を習っていました。進歩のほどはさておき、クラスは和気藹々としていて、とても楽しかった!

当時のフランス語の先生に教えていただいたのが 東京日仏学院 で、ここにはフランス語のクラスのほか、本屋さんやレストランがあり、日仏文化イベントなども時々開催されているようです。

レストランが昨年新しくオープンしたと聞き、一度行ってみたいと思っていたので、まだ~むさんをお誘いしました。

東京日仏学院は、外堀通りから少し入った小高い丘の上にあります。

レストランは広々とした芝生のお庭に面しており、テラス席もあります。寒さの中にも燦々と降り注ぐ冬の日差しが心地よく感じられました。

席はゆったりと配置されていて、周囲を気にせずおしゃべりを楽しめたのがよかったです。窓際のスクリーンに描かれたパリの風景も、気分を盛り上げてくれました。

アミューズブーシュは、チーズを練り込んだふわふわの焼菓子。

蕪のポタージュ は、蕪の白い部分だけを使い、とろりと濃厚な味わいに仕上がっていました。上に添えられた緑色のソースは、蕪の葉と茎をペーストにしたもの。それぞれの風味の違いが楽しめました。

パンはバゲットとカンパーニュ。

メインのお料理は、大山鶏のブランケット。大山鶏(だいせんどり)は鳥取県のブランド鶏、ブランケットはクリーム煮のこと。じゃがいも、にんじん、さやえんどうが添えられ、フランス風クリームシチューといった趣でした。

実は私は、前日の夜にちょうど鶏肉のクリームシチューを作ったばかりで、添えられていた野菜までいっしょでした。もちろん、プロの味と比べるのは失礼ですが、せっかくなら家庭ではまねできないような一皿を味わいたかったです。

追加でお願いしたデザートは、ワゴンで運ばれてきてわくわくしました。

私は洋梨とフランボワーズのヴェリーヌを選びました。洋梨のコンポートの下には、とろとろカスタードとフランボワーズ入りのふるふるゼリー。フルーツの酸味がさわやかで、大満足のお味でした。

予約時に「バースデー」と伝えていたので、お皿にメッセージを入れていただけたのもうれしかったです。

まだ~むさんのデザートは、パリ・ブレスト。ヘーゼルナッツクリームがたっぷり詰まっていて、とてもおいしそうでした。それぞれ、温かいコーヒーとカフェオレをいただきましたが、ガラスの器で供されたのがおもしろかったです。

食通のまだ~むさんには、ちょっと面白みのないお料理になってしまって申し訳なかったですが、たくさんお話できて楽しい一日となりました。

コメント (8)

CAFE GITANE(カフェ・ジタン)@恵比寿

2025年01月18日 | グルメ

この日は、恵比寿ガーデンプレイスに用事があった夫と待ち合せて、その後いっしょにお昼をいただきました。

恵比寿ガーデンプレイス イルミネーション2024

毎年ホリデーシーズンにガーデンプレイスで飾られているバカラのシャンデリア。今年は1月13日までの展示ということで、ぎりぎり見ることができました。

別の角度からパチリ。今年で25年目を迎えるそうですが、その輝きは変わることがありません。まさに「エターナルライツ」と呼ぶにふさわしい美しさでした。

さて、お昼はガーデンプレイスからアメリカ橋を渡り、恵比寿駅方面に向かう途中にあるCAFE GITANE(カフェ・ジタン)を訪れました。以前から前を通るたびに気になっていたお店です。

ニューヨークのノリータ地区(Nolita = North of Little Italy, リトルイタリーの北)にある人気カフェの東京店です。ミッドセンチュリーモダンのインテリア。レトロで洗練された雰囲気がすてきなカフェです。

着いた時はかなり混み合っていましたが、昼食の時間をだいぶ過ぎていたので、すぐに席に案内していただけました。

私は「帆立のロースト ポルチーニ茸のクリームリゾット」をいただきました。外はしっかり、中はミディアムに焼き上げた帆立がむっちりとしておいしい。ポルチーニ茸をはじめ、さまざまな茸が入ったリゾットは、冬にぴったりの味わいでした。

夫は和牛バーガーにしたかったのですが、残念ながら品切れとのことで「黒毛和牛プルドビーフのバオ キムチマヨネーズ キャロットラぺ コリアンダー」をオーダーしました。甘辛味のプルドビーフが絶品で、こちらも大満足の一品でした。

***

こちらのお店では、アボカドトーストとクラシックプリンが看板メニューのようです。カフェタイムだったためか、クラシックプリンを注文する方が多かったのですが、中には写真を撮っただけで、ほとんど残したまま帰るお客さんもいらっしゃいました。

これまでこういうシチュエーションに遭遇することはほとんどなかったので、かなりショックを受けました。

***

ホールスタッフの女性たちは、みな同じ髪型(ポニーテール)とメイク、黒いニットに黄緑色の膝丈ジャンパースカート(制服)といういで立ち。みなさんかわいらしいのですが「ブレードランナー」に登場するAIロボットを思い起こしました。(それを狙っているのかも?)

ランチの後は、裏通りをぶらぶらしながら、車を停めたガーデンプレイスにもどりました。このエリアには、カフェ風の食器屋さん(若い方たちで大混雑)や、ニューヨークの古い事務家具を集めたようなインテリアショップなどがあり、見ているだけで楽しかったです。

コメント (4)

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ

2025年01月17日 | 映画

レンタルDVD全盛期の2003年、カナダを舞台に映画好きの高校生を描いた自伝的青春映画。カナダのチャンドラー・レヴァック監督のデビュー作です。

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ (I Like Movies) 2022

お正月に久しぶりに映画を見に行こうという話になりましたが、驚いたことに、ハリウッド大作が一本も劇場上映されていませんでした。「どういうこと?!」と思いながら、昔はこの時期に合わせて大作がたくさん公開されていたなあ、と時代の変化を感じました。

いろいろ迷った末に選んだのがこの作品。カナダ映画という珍しさと、自伝的青春映画というジャンルに惹かれ、淡い期待を抱いて観ることにしたのですが、主人公の男の子にまったく共感ができなくて困りました。

後日、この映画がグレタ・ガーウィグ監督の自伝的青春映画「レディ・バード」と比較されているという紹介記事を目にし、「たしかに!」と思い返しました。ちなみに「レディ・バード」を観た後に、私はこんな感想を書いていました。

本作でシアーシャが演じる主人公クリスティンは、気が強くてしたたかで、時に他者への思いやりに欠け、正直共感できないところも多かったです。

それでも自分がイヤ、家族がイヤ、友達がイヤ、自意識過剰で、自信と劣等感のアンビバレントな感情に苛まれる、この時期特有のあれこれは、遠い昔を思い出しつつ、理解できるような気がしました。

まさにこれです! 「I Like Movies」の主人公ローレンスもまた、勉強しないのに絶対的な自信を持ってニューヨーク大学を目指しますが、不合格に終わり、お母さんが見つけたカナダの大学に入学することに。

寮で初めての友人たちと出会う場面がとても素敵でした。コミュニケーションが苦手なローレンスを、先入観なく受け入れる友人たち。おずおずとしながらも、どこかうれしそうなローレンスの様子が微笑ましかったです。

映画を観たのは新宿シネマカリテ。久しぶりに訪れたミニシアター独特の雰囲気にわくわくしました。雑誌の切り抜きをスクラップしてあったり、立体パネルが飾られていたり、俳優の直筆サイン入りポスターが並んでいたり。

手作り感あふれる飾り付けにスタッフの映画愛が伝わってきました。今年はもっと映画館で映画を観たいと思います。

映画を見た後は、伊勢丹のシャネルで新しいリップを購入しました。最近気に入っているベージュ系のピンクです。色の名前は、フランス語でJour(ジュール)。英語でDay、日本語で ”日” という意味です。いい気分で新年をスタートしたい、という願いを込めて買いました。

コメント (6)

Crepes No Ka ‘Oi(クレープス ノカオイ)@自由が丘

2025年01月12日 | グルメ

年末の仕事納めの日は午後休を取り、先にお休みに入っていた夫と自由が丘で待ち合わせ。以前から気になっていたハワイアンクレープのお店でお昼をいただくことにしました。

Crepes No Ka ‘Oi (クレープス ノカオイ)

No Ka ‘Oi(ノカオイ)とはハワイ語で「最高」という意味で、名詞の後につけて「〜は最高」と表現するのだとか。つまり、お店の名前は「クレープは最高」という意味になります。

お店はペパーミントグリーンの壁とエメラルドグリーンの庇が印象的で、明るい雰囲気。テラス席もあり、ハワイアンリゾートを思わせる空間でした。

朝食系、お料理系、スイーツ系のクレープがあって、それぞれ種類が充実しています。この日は平日だったので、3種類のクレープから1つを選ぶとサラダと飲み物がついてくる、ランチセットもありました。

こちらはプルドポークが入った「アイランドキュバーノ」です。パイナップルジュースで煮込んだ甘辛いプルドポークにチーズが絡み、仕上げにパクチーがあしらわれていました。ボリュームたっぷりで、絶品の美味しさでした。

私はミックスリーフと角切りにしたローストチキンが入った、ヘルシーな「ティキトーチ」をいただきました。ティキトーチとは、ハワイでよく見られるポリネシア風の松明のことです。上にはジェノベーゼソースが添えられ、アクセントになっていました。

クレープは二つ折りで、お雛様の衣装のように折りたたまれていました。そのため、見た目は愛らしいのですが、クレープ特有の薄さがあまり生かされていないのが少し残念でした。

食後にカフェラテをいただきました。ラテアートにすっかり慣れてしまっているので、一瞬物足りなさを感じましたが、むしろこの素朴さがよいと思いました。お味もおいしくて、大満足でした。クレープはどちらもボリュームたっぷりで、おなかいっぱいになりました。

外壁と同じく、淡いペパーミントグリーンの壁がさわやかな雰囲気です。

リゾート気分を味わいながら、おいしくお昼をいただきました。

コメント (2)

アゴタ・クリストフ 「悪童日記」

2025年01月11日 | 

1986年に刊行された、ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフのデビュー作です。

アゴタ・クリストフ 堀 茂樹 (訳) 「悪童日記」
Agota Kristof “Le Grand Cahier”

感想を書くのがだいぶ遅くなってしまいました。本作は、9月に反田さんのコンサートに行った際、オペラシティの熊沢書店で購入しました。気になっていた映画の原作だったので、まずは小説を読んでみようと思い、手に取りました。

***

アゴタ・クリストフは、1956年に社会主義国家となった母国ハンガリーを捨て、西側へ亡命しました。本作は彼女のデビュー作で、フランス語で執筆されています。

少年たちの目を通して描かれる、戦争を生き抜くサバイバルとも言うべき作品です。ただし、主人公の少年たちを純真無垢でいたいけな存在だと想像すると、良い意味でその期待を裏切られるかもしれません。

***

主人公である「ぼくら」は、子どもでありながら、子どもではない。戦争という大人たちの都合で引き起こされた悪行の中で、大人たちの弱さやずるさを冷静に見抜いているように感じました。

ストーリーはまったく異なりますが、私は古い戦争映画「禁じられた遊び」を思い出しました。(訳者解説によれば、本作を読んでジュール・ルナールの「にんじん」に通じると感じる読者が少なくないそうです。)

***

最初は「なんて意地悪なおばあちゃんだろう!」と思っていましたが、小説を読み終える頃には、実はこの作品の中で最もまともな大人だったのではないか、と感じたのがおもしろい発見でした。

主人公のふたりが、周囲の大人たちを冷ややかに見据えつつ、彼らを非難するわけでもなく、自分たちの境遇を悲しむこともなく、ただ生き残るために感情を排除し、頭脳と身体を鍛え続ける姿には圧倒されました。

***

また、この日記が「作文の内容は真実でなければならない」という、少年たちが決めたルールに基づいて書かれている点も、興味深かったです。

でも私は、ただ真実だけを記したとしても、どの部分を切り取り、どのように表現するかはその人次第で、それによって無意識に心の動きを描くことができる、と思いました。それに、読む人がどう捉えるかによっても、解釈は変わりますよね。

***

本作には暴力、差別、貧困、そして性描写も容赦なく描かれています。そのため、私は「よくぞこの小説を映画化したなあ」と驚きました。そして、映画に出演した子役たちへの影響も気になりました。

私は小説だけで十分満足したので、読み終わった時には「映画は見なくてもいいや」と思ったのですが、映画は映画で見た方たちの評価が高いので「やっぱり見てみようかな」と心が動いています。

コメント (4)