セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

川奈ホテルで洋食ランチ

2019年03月23日 | +静岡・愛知

さくらの里を散策した後は、森の中を抜けて少し北上し、海の見える川奈ホテルでお昼をいただくことにしました。

クラシックホテルらしい重厚なロビー。シーズンオフなのでゴルフを楽しむ人も少なく、落ち着いたたたずまいでした。大きな窓から庭園と、その向こうに相模湾が見渡せます。階段を下りて地下のグリルで外の景色を眺めながらランチを楽しみました。

マリリン・モンローとジョー・ディマジオが新婚旅行で訪れた時に食べたというオムライス。上にホテルのマークが刻印されています。最近のふわとろ系のオムレツではなく、昔ながらのしっかり焼き上げたオムレツでした。キノコのソースと蒸し野菜が添えられています。

私はクラシックホテルの定番、ビーフカレーをいただきました。写真はカレーを少しかけたところです。こちらも、最近のほろほろに柔らかいお肉ではなく、質感のあるお肉でした。あまり辛くなく、まろやかなお味です。

富士山と大島をあしらったお皿は、帝国ホテルやホテルオークラのインテリアも手掛けた繁岡鑒一(しげおか けんいち)さんのデザインで、昭和30年代から使われているそうです。

食後のコーヒーを楽しんだあとは、外に出てお庭を散策しました。菜の花がきれい♪ 棕櫚の木の向こうに海が見えます。

”岬の見える小道”というロマンティックな道がありました。なんだか赤毛のアンみたい。(アンは”恋人の小径”でした) 河津桜はすっかり葉桜になっていて、かわいい赤い実ができていました。

”陽光” という名のきれいなピンクの桜がちょうど見ごろでした。さくらの里で見た、伊東桜も咲いていました。

お庭からホテルの建物を望みます。空が暗くて残念。円く出ているのはサンパーラーです。

川奈には富士と大島、2つのゴルフコースがあります。こちらは富士コースです。風がありますが、海を眺めながらのプレイは気持ちがいいでしょうね。

館内には、開業からの歩みを紹介するコーナーがあり、写真パネルやポスター、食器類が展示されています。上は昔のダイニングの写真。戦後のGHQによる接収当時の写真などもあり興味深かったです。

***

この後は135号を南下して、赤沢日帰り温泉館に向かいました。海を眺めながら、ゆっくり温泉でくつろぎました。屋内のお風呂も露天風呂もインフィニティ・プールのような造りになっていて、眺めがよく気持ちがよかったです。

これは1階のロビーからの眺め。お風呂は3階と4階にあります。あいにくのお天気ですが、霧に煙り、幽玄な風景でした。

この日はスーパームーンでした。おぼろ月ですが、帰りの車の中からパチリ。

コメント (6)

大室山麓 さくらの里

2019年03月22日 | +静岡・愛知

昨日は伊豆にドライヴに行ってきました。

あいにく一日中曇りがちで、時折小雨がパラついたり、かと思うと青空がのぞいたり、まるできつねとたぬきの化かし合いのようなお天気でしたが、幸い外を歩く時は雨に濡れずにすみました。里山や相模湾の素朴な風景を眺めながら、小さな春を満喫してきました。

まず訪れたのは、伊東の大室山麓にある「さくらの里」です。4万平方メートルの広大な敷地に、約40種1500本の桜が植えられています。染井吉野の開花にはまだ早いですが、秋~春にかけて何かしらの桜が咲いています。特に伊豆由来のローカルな桜にいろいろ出会えたのが、うれしかったです。

早咲き大島桜が満開でした。背景に見えるのは大室山。5000年前の噴火によってできた火山で、リフトで山頂まで登ることができます。緑が芽吹くと美しい山ですが、冬枯れの山もまた趣がありました。

早咲き大島桜。染井吉野と大島桜の交雑種です。楚々とした純白の花が美しい。顔を近づけると桜餅の匂いがしました。^^

寒桜はすでに花は終わり、葉桜になっていましたが、マイケル・ケンナ風の木を見つけて思わずパチリ。^^ 右後ろには伊東桜が咲き、その奥には染井吉野の林が広がっています。今はまだ硬くつぼみを閉ざしていましたが、昨日は東京でも桜の開花宣言があったので、来週あたりはきっとみごとな花が咲いているでしょうね。

左手前は寒桜の葉桜。ゆるやかな丘の向こうにピンクの花が見えたので、近づいてみました。

ピンクの愛らしい桜。木には熱海桜と名札がついていました。

その奥には、大きな桜の木がピンク色のみごとな花を咲かせていました。名札を見ると、城ケ崎桜とあります。冬枯れの大室山を背景に、夢幻の美しさに圧倒されました。

頬をぽっと染めたようなピンクが、なんとも愛らしい。

ぐーんと枝を伸ばして。

いつまでも眺めていたい風景でした。

これは大島桜。葉の塩漬けは桜餅に使われることで知られています。

こちらも今が見ごろの美しさでした。

コメント (4)

起雲閣

2018年03月09日 | +静岡・愛知

熱海梅園の後は、車で移動して起雲閣(きうんかく)を訪れました。

東武鉄道の根津家の別邸として知られる起雲閣は、1919年に実業家・内田信也氏によって建てられ、1925年に根津嘉一郎氏の所有となりました。1947年に実業家・桜井兵五郎氏によって旅館として生まれ変わり、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎など、日本を代表する文豪たちに愛されましたが、2000年に閉館。現在は熱海市の施設として公開されています。

美しい日本庭園をぐるりと囲むように、伝統的な日本家屋の本館、和洋の様式・装飾を融合させたレトロモダンな洋館、さらに客室、浴室と続き、なるほど元旅館として運営されたというのが納得の造りでした。どのお部屋からも広々とした庭園が見渡せ、燦々と陽の当たる心地よい空間でした。

玄関のある和風建築の本館は、1919年に内田信也氏によって建てられました。こちらは1階の”麒麟”の間。鮮やかな群青色の壁が目を引きますが、これはのちに旅館を開業した桜井兵五郎氏が塗り替えたものです。桜井氏が加賀の出身であったことから、金沢のお茶屋さんで使われる群青色を取り入れました。

文豪たちが宿泊したという客室の壁は、同じく金沢のお茶屋さんで使われる赤っぽい弁柄色が塗られていました。群青色も弁柄色も、2年前に金沢のお茶屋さんで見て知ったばかりだったので、すぐにわかりました。

本館に続く洋館は、1932年に根津嘉一郎氏によって建てられました。”玉姫”と名づけられているこちらのお部屋はダイニングルームでしょうか。暖炉のある西洋式のデザインですが、天井は日本の神社仏閣のような仰々しい造りになっているのがおもしろかったです。

”玉姫”の間にサンルームが併設されています。床にタイルがモザイクに敷き詰められ、天井と窓は全面ガラス張りのステンドグラスとなっていました。みごとな装飾にうっとりでした。

”玉姫”に続く、”玉渓”の間です。英国チューダー様式を取り入れた山小屋風の造りですが、暖炉の上にはサンスクリット語の装飾があり、オリエンタルな趣がありました。

洋館は、どのお部屋にもみごとなステンドグラスの装飾がありました。

こちらは1929年に根津氏によって建てられたもうひとつ洋館、”金剛”です。

”金剛”には、ローマ風浴室が併設されていました。浴槽が狭いわりに深いのが、日本独特という感じがします。^^

文豪たちが宿泊したという客室をひと通り見学してから、最初の本館にもどって2階に上り、”大鳳”の間を見学しました。ここは太宰治が宿泊したお部屋だそうです。

2階からの庭園と洋館の眺めもすばらしかったです。最後に併設されているカフェでひと休みし、お抹茶と和菓子で小さな旅を締めくくりました。

コメント (4)

熱海梅園の梅

2018年03月07日 | +静岡・愛知

暖かくよく晴れた週末、熱海までドライブに出かけました。

東名高速が珍しくスムーズだと思ったら、高速を下りてから渋滞に遭いました。>< 熱海に着いたのが11時15分頃だったので、親水公園の駐車場に車を停めて、先に早めのお昼をいただくことにしました。青い空、青い海、水温むマリーナの風景に春の訪れを感じました。

熱海の中心街をお昼を求めてぶらぶらしていたら、あちこちのお店に行列ができていてびっくりしました。11時半からの開店に並んでいるようです。事前に調べていなかったのですが、新鮮な魚介が食べたいなーと定食屋さんの「まさる」さんの列に並びました。偶然ですが、話題のフィギュアのザギトワ選手のわんちゃんと同じ名前ですね。^^

ぎりぎり開店第1弾?に入ることができてよかった。私はランチAの海鮮丼定食をいただきました。新鮮な海の幸がたっぷり♪ 美しい盛つけに感動しました。ぶりのお刺身が白身のお魚のようにきれいです。ランチBのフライ定食も意外と人気がありました。相席になってごめんね~とお店のご主人?も感じよく、おいしいランチを満喫しました。

食事のあとは、車で熱海梅園に移動しました。日本一早咲きの梅で知られるこちらの梅園は、1~2月中旬が見頃とのことですが、今なお遅咲きの梅が咲き誇り、とても美しかったです。梅園はゆるやかな傾斜となっていて、園内にはいくつもの庭園があり、川、滝、橋と変化に富んだ風景が楽しめました。

紅・桃・白と色とりどりの梅の花がみごとなグラデーションを作り、園内を霞のように覆っています。

中でも私が一番気に入ったのが、呉服枝垂(くれはしだれ)というピンク色の枝垂梅。お正月に稲取で見た”雛のつるし飾り”を思い出しました。

白梅もきれい!

梅園の一番高いところには足湯があります。私は入らなかったのですが、とても気持ちよさそうでした。

梅のほかに、ピンクと白の馬酔木(あしび)の花が咲いていて、今がちょうど見頃でした。慎ましやかで、小さな鈴のような愛らしさがあって、私も大好きなお花です。

作曲家の中山晋平さんの移築された住宅や、韓国庭園もありました。1~2月には市内を流れる糸川沿いで、日本で一番早咲きの”あたみ桜”が楽しめるそうなので、次回は少し早めに訪れようと思います。

コメント (4)

伊豆で迎えるお正月 2018

2018年01月02日 | +静岡・愛知

あけましておめでとうございます

東京は穏やかな新年の幕開けとなりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

お正月は大きなバンを借りての恒例の家族旅行で、今年は伊豆・稲取で新年を迎えました。大晦日は雲が空を覆い、途中ではらはらと初雪が舞うほどの寒さでしたが、夜の間に魔法がかけられたのか、元日の朝は日本晴れと呼ぶのにふさわしいすがすがしいお天気となりました。

稲取は伊豆半島の東海岸にあり、海に面した宿のお部屋から、海から上る初日の出を見ることができました。この日の日の出の時刻は6時52分。6時半頃に起きて外を見ると、紺碧の空の下、水平線近くがほんのりと暁色に染まっていました。太陽の気配を濃厚に感じる神秘的な体験でした。

ちょうど太陽が昇るところに雲が鎮座していて、実際に太陽の姿を見るまでに10分ほどのタイムラグがありましたが、その分ようやく見えた時の感動が大きかったです。太陽の光が海に反射してまっすぐ伸びている様子に、モネの「印象・日の出」を思い出しました。新しい年の幕開けにふさわしい心に残る風景でした。

宿から近い”稲取文化公園 雛の館”で、この地に伝わる”雛のつるし飾り”を見ることができるというので、お雑煮とお節料理の朝食をいただいた後に、ぶらぶらと歩いて行ってみました。公園の入口には、たわわに実った夏ミカン?の木。柑橘類が名産の伊豆ならではの風景です。

雛のつるし飾りは、河津町に河津桜を見に行った時に知りましたが、稲取で江戸時代から伝わる風習で、母や祖母が娘の成長を願い、雛人形のかわりに手作りのつるし雛を作ったというのがはじまりです。一時すたれていましたが、平成5年になって婦人会の手で復刻され、今に伝えられているということです。

こちらの雛の館では、さまざまなお雛様とつるし飾りを組合せて飾ってあり、その華やかさ、愛らしさに顔がほころびました。入口にあった13段の段飾りとしめ縄のように太いつるし飾りは圧巻。稲取と同様、つるし雛を飾る風習があるという山形県酒田市の”傘福”、福岡県柳川市の”さげもん”もあわせて飾ってありました。

基本となる桃の飾りのほか、ほおずき、はと、鯛などいろいろな形がありましたが、それぞれの形に意味があり、娘の幸せを願う家族の思いが込められています。和布の柄の愛らしさ、手作りの温かさに、ほっと心が和みました。1月20日~3月31日は稲取で雛のつるし飾りまつりが開催されるそうです。

公園にはもうちらほらと早咲きの桜が咲き始めていました。(河津正月桜?) 寒空の下、懸命に咲く健気な美しさに心が洗われました。

稲取の海岸です。部屋と露店風呂からは下田の爪木崎まで見渡せて、寄せては返す波の音がずっと聞こえていました。規則正しく続く音は、海の鼓動に感じられました。

12時にゆっくりチェックアウトしてから、下田、天城と通って東京までもどりました。東名の混雑を避けるために、伊豆スカイラインを通り、途中で滝知山園地に立ち寄ると、ちょうど日没直後のマジックアワーでした。駿河湾の向う、西の空がほんのりと茜色に染まり、幻想的な風景でした。

ふと右の方を見ると、ほのかに赤く染まった空を背景に、富士山の薄墨色のシルエットが静かな存在感を見せていました。途中に光が数珠つなぎになっているのは、五合目のあたりでしょうか。眺めている間に、三島の街の明かりが灯りはじめ、ちょうど夕景から夜景へと移り変わるところでした。

コメント (14)

クレマチスの丘(2)

2017年06月01日 | +静岡・愛知

クレマチスの丘(1)からの続きです。今回は変わり種?のクレマチスを中心にご紹介します。

クレマチスの丘 公式サイト

ヴィヴィッドな赤紫色のクレマチス。

矢車草に似たクレマチス。グリーン&ブルーのカラーリングがさわやか。

時計草(パッションフラワー)に似た愛らしいクレマチス。

綿毛のようですが、これもクレマチス。

気品ある純白のクレマチス。

ストロベリーキッスという名まえのつぼ形クレマチス。優美な曲線にうっとりです。

アークティック・クイーンは、北極の氷山をイメージしているのでしょうか。まだ開いていない花びらが、どことなく小籠包にも見えます。全部開いたら大迫力でしょうね。

芙蓉のような大輪のヴィクトリア。花弁に細いストライプがついています。

細い花弁が優美なファルセット。淡く色づいたつぼみも美しい。

出口への通路がクレマチスのバーティカルガーデンになっていました。

お昼は、園内のピッツェリアでいただきました。定番のピッツァのほか、地元の食材を使ったピッツァやパスタが楽しめます。写真は箱根西麓野菜のジェノベーゼ。柔らかい色彩がなんとも美しい。駿河湾産しらすのピッツァもおいしかった!

食事のあとは、ベルナール・ビュッフェ美術館のあるエリアまで散策を楽しみました。片道15分。自然公園に架かる吊り橋を渡ると、林の中を空中散歩している気分が味わえました。自然公園には沢が流れ、子どもたちの歓声が聞こえます。最後にもういちどクレマチスガーデンにもどって、夢の余韻に包まれながら帰途につきました。

【関連記事】クレマチスの丘(1) (2017-05-31)

コメント (2)

クレマチスの丘(1)

2017年05月31日 | +静岡・愛知

お天気に恵まれた週末、以前から憧れていた「クレマチスの丘」を訪れました。富士山のふもとにあり、東名・新東名を利用して都内から車で2時間弱。JR三島駅からシャトルも出ています。クレマチスガーデンのほか、4つの美術館、4つのレストランを擁する広大な施設です。

四季を通じて花々やアート、自然が楽しめますが、特にこの季節はクレマチスとバラの競演がすばらしい。美しく手入れされたみごとな庭園を散策しながら、夢のような時間をすごしました。400枚近く写真を撮ったので、その中から厳選して2回に分けてお送りします。

エントランスへのアプローチにも、美しいクレマチスがお出迎え。

薄紫色のハグレー・ハイブリッドと、濃ピンクのバルバラ。

青色のユーリと、薄青色のエミリア・プラター。

チューリップのようなつぼみが愛らしいハッピーダイアナ。

クレマチスは、白やブルー、パープルの花が多いですが、花びらの形や大きさ、花心の色がさまざまで、その種類の多さと表情の豊かさに驚きました。数種類をセンスよく組み合わせて植えられていましたが、微妙なトーンの違いが生み出すグラデーションの美しさにうっとりしました。

そして緑の芝生のなんと美しいこと。ガーデンにはところどころに屋外彫刻があり、目を楽しませてくれました。左奥に見えているのはヴァンジ彫刻庭園美術館。イタリアの現代彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジ氏の常設作品のほか、開館15周年記念「生命の樹」展と「日高理恵子 空と樹と」展を鑑賞しました。

クレマチスガーデンに続いてローズガーデン、白い花を集めたホワイトガーデンがありました。

アプリコット色の愛らしいバラ。

可憐な白い一重のバラ。

青みがかったピンクのバラは、シャーベットのよう。

虫さんのお食事中にパチリ。ガーデンは木々に囲まれ、小鳥のさえずりが聞こえてきて楽園のようでした。

【関連記事】クレマチスの丘(2) (2017-06-01)

コメント (2)

熱海 MOA美術館

2017年03月07日 | +静岡・愛知

11か月の改修工事を経て2月5日にリニューアルオープンした、熱海のMOA美術館に行ってきました。国道135号から細くて急な坂道をうねうねと上った、海の見える高台にあります。JR熱海駅から路線バスも出ています。

展示スペースを設計したのは、現代美術作家の杉本博司さん。日本の伝統素材と最新技術を取り入れた、シンプルでクールな空間でした。現在、当館が所蔵するコレクションから厳選し、3月14日まで「リニューアル記念名品展+杉本博司『海景―ATAMI』」が開催されています。

リニューアル間もないこともあって、多くの来場者でにぎわっていました。

エントランスを入ると、広々としたロビーから熱海の海が一望のもとに見渡せます。

国宝 紅白梅図屏風 尾形光琳 江戸時代 18世紀

日本・中国の東洋美術を中心に、絵画、書、工芸、彫刻の逸品を所蔵するMOA美術館。その中には国宝3件、重要文化財66件、重要美術品46件が含まれるというから驚きます。特に知られているのは、尾形光琳の「紅白梅図屏風」。美術の教科書でもおなじみですね。

私は2年前に根津美術館の光琳展で鑑賞する機会を得ましたが、早くも再会できてうれしいです。梅の季節に見る紅白梅図はまた格別です! MOA美術館では毎年この時期だけ、この作品を展示しているのだそうです。

国宝 色絵藤花文茶壷 野々村仁清 江戸時代 17世紀

作品はほとんどがガラスケースに収められていましたが、低反射の特別なガラスが使われていて、目の前にガラスがあるとはまったく気がつかないほど。うっかり頭をぶつけてしまいそうです。ガラスケースの正面(つまり鑑賞者の背後)は黒い漆喰塗の壁で区切られていて、ガラスへの映り込みがないよう配慮されています。

そして日本の美術館にはめずらしく、紅白梅図屏風をふくめ(杉本氏の作品以外)すべて撮影可能となっていました。黒を基調としたシンプルな空間は美術品を最高の状態で鑑賞できるよう設計されていて、ライティングも細やかに計算されているのを感じました。貴重な日本画や伊万里の名品、漆工芸など、眼福の時間をすごしました。

このほか館内には、豊臣秀吉の黄金の茶室を復元したものや、能楽堂もありました。ここでアルゲリッチのピアノコンサートも開かれるそうですが、特別な体験ができそうですね。

本館から日本庭園に出ると、水の流れに添って紅白梅が植えられていました。紅白の配置は逆ですが、枝ぶりが光琳の絵とそっくり! この前には尾形光琳の屋敷を復元した建物があります。竹林もあって、のんびり散策が楽しめました。

本館のエントランスを出て海の方へと階段を下りていくと広場があり、ヘンリー・ムーアの「王と王妃」が海を眺めるように展示されています。その横になにやら建物の入口があったので入ってみました。

宇宙船のような通路をエスカレーターで下りていくと、ドーム型のホールがあり、天井に万華鏡のプロジェクションマッピングが投影されています。世界的な万華鏡作家、依田満・百合子さんの作品だそうです。刻々と変化する模様はいつまで見ていても飽きない美しさでした。さらにエスカレーターを下りていくと、バス乗り場に出ます。

再び本館の方にもどって、階段の上から海を眺めました。左寄りの向こうに初島が見えます。吸い込まれそうな青い海に心が洗われました。

コメント (4)

伊豆・河津町の河津桜

2017年02月20日 | +静岡・愛知

関東に春一番が吹き荒れたこの日、伊豆・河津町に河津桜を見に行きました。

河津桜まつり 公式サイト

東京は朝からいいお天気でしたが、伊豆は”微雨”という微妙な予報。雨が降ったら行先を熱海に変更することにして、とりあえず出発しました。強風で雲の流れが速く、小雨が降ったり止んだりの変わりやすいお天気でしたが、思い切って行ってよかった。華やかで愛らしいピンクの桜並木に圧倒されました。

河津桜は、大島桜と寒緋桜の自然交雑種と推定され、60年前に苗が発見されました。発見した方のお家の庭には、今も原木が保存されています。河津川の河口から川に沿って、約3㎞にわたって続く桜並木は圧巻でしたが、ほかにも家々の敷地や里山など、あちらこちらで河津桜を目にし、町のシンボルとなっていることを実感しました。

駅の近くはやや混雑していましたが、離れるにしたがって人がまばらになり、ゆったり散策できました。ソメイヨシノよりもピンクが濃く、あいにくの曇り空にも負けない存在感がありました。周囲の山々からは水蒸気が立ち上り、薄もやの中、なんとも幻想的な風景でした。

いかにも”ふるさと”といった雰囲気の、のどかな風景に心がなごみます。

ソメイヨシノははかなく幽玄な美しさがありますが、河津桜の美しさは例えるならば、健やかで愛くるしいお姫様といった感じでしょうか。花期が約1ヵ月と長く、しばらく楽しめるのもうれしい。今後は各地に植えられて、ますます人気が高まるような気がします。

峰小橋まで歩いて折り返しましたが、ここまで歩く人はほとんどいなくて、この風景を独り占めでした。帰りは川の反対側をぶらぶらと...。桜のお菓子や(隣の稲取の名産という)つるし雛など、屋台が並んでにぎやかでした。

コメント (4)