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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

2025年03月15日 | 映画

アメリカ・ニューイングランドにある名門寄宿学校を舞台に、それぞれ事情を抱え、クリスマス休暇を学校で過ごすことになった3人の物語。

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ (The Holdovers) 2023

この作品、評判が良くて気になっていましたが、latifaさんから「セント・オブ・ウーマン」に似ていると聞き、絶対に私好みの作品に違いない!と確信して、観るのを楽しみにしていました。

実際に観てみると、両作品には多くの共通点がありました。どちらもニューイングランドの名門寄宿学校が舞台で、ひょんなことから家族ではなく変わり者の年配者と長い休暇を過ごすことになった生徒の物語。そして旅を通じて心を通わせていく展開も似ています。

とはいえ、「セント・オブ・ウーマン」では、何といってもアル・パチーノ演じる色男で遊び上手な主人公が魅力的。特に、若い美女を誘ってタンゴを踊る名場面は、忘れがたい強烈なインパクトを残しました。

それに比べると、本作の主人公は(失礼ながら)やぼったい中年の先生。艶やかなシーンもないのですが、観終えたあとに温かい余韻が残る、すてきな作品でした。特に、アンガスとハナム先生の関係が、最初と最後で大きく変わっていた点が印象的でした。

ニューイングランド地方が好きで、アメリカ東部の名門校や大学を舞台にした作品が好みということも、この映画を気に入った理由の一つかもしれません。(「グッド・ウィル・ハンティング」「モナ・リザ・スマイル」など)

この作品の中で、特に印象に残ったシーンが二つあります。

一つ目は、クリスマスパーティーで、アンガスがスノーグローブ(球形のガラスに入ったクリスマスの飾り)をじっと見つめる場面。幸せだった子ども時代を思い出しているのかな、と思いながら観ていたので、その後の展開に驚かされました。

二つ目は、ハナム先生がボストンで偶然、昔の知人と再会するシーン。彼の驚くべき過去が明らかになりますが、これをきっかけにアンガスとの距離がぐっと縮まったのです。

そして、この映画を観ていて、私がとても懐かしく感じたのは、学校のセクレタリーであるミス・クレインです。

アメリカに暮らしていた頃、どこに行っても必ずミス・クレインのような、気配りができて頼りになる女性がいました。息子の学校のことで相談に乗ってもらったり、ボランティアに誘ってくれたり、どれだけ助けられたことか。

その時の経験が、今の私に大きな影響を与えていることは間違いありません。

映画のストーリーとは直接関係はないのですが、アメリカの“よき隣人”としての生き方を改めて思い出させてくれる作品でした。

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