アメリカ・ニューイングランドにある名門寄宿学校を舞台に、それぞれ事情を抱え、クリスマス休暇を学校で過ごすことになった3人の物語。
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ (The Holdovers) 2023
この作品、評判が良くて気になっていましたが、latifaさんから「セント・オブ・ウーマン」に似ていると聞き、絶対に私好みの作品に違いない!と確信して、観るのを楽しみにしていました。
実際に観てみると、両作品には多くの共通点がありました。どちらもニューイングランドの名門寄宿学校が舞台で、ひょんなことから家族ではなく変わり者の年配者と長い休暇を過ごすことになった生徒の物語。そして旅を通じて心を通わせていく展開も似ています。
とはいえ、「セント・オブ・ウーマン」では、何といってもアル・パチーノ演じる色男で遊び上手な主人公が魅力的。特に、若い美女を誘ってタンゴを踊る名場面は、忘れがたい強烈なインパクトを残しました。
それに比べると、本作の主人公は(失礼ながら)やぼったい中年の先生。艶やかなシーンもないのですが、観終えたあとに温かい余韻が残る、すてきな作品でした。特に、アンガスとハナム先生の関係が、最初と最後で大きく変わっていた点が印象的でした。
ニューイングランド地方が好きで、アメリカ東部の名門校や大学を舞台にした作品が好みということも、この映画を気に入った理由の一つかもしれません。(「グッド・ウィル・ハンティング」「モナリザ・スマイル」など)
この作品の中で、特に印象に残ったシーンが二つあります。
一つ目は、クリスマスパーティーで、アンガスがスノーグローブ(球形のガラスに入ったクリスマスの飾り)をじっと見つめる場面。幸せだった子ども時代を思い出しているのかな、と思いながら観ていたので、その後の展開に驚かされました。
二つ目は、ハナム先生がボストンで偶然、昔の知人と再会するシーン。彼の驚くべき過去が明らかになりますが、これをきっかけにアンガスとの距離がぐっと縮まったのです。
そして、この映画を観ていて、私がとても懐かしく感じたのは、学校のセクレタリーであるミス・クレインです。
アメリカに暮らしていた頃、どこに行っても必ずミス・クレインのような、気配りができて頼りになる女性がいました。息子の学校のことで相談に乗ってもらったり、ボランティアに誘ってくれたり、どれだけ助けられたことか。
その時の経験が、今の私に大きな影響を与えていることは間違いありません。
映画のストーリーとは直接関係はないのですが、アメリカの“よき隣人”としての生き方を改めて思い出させてくれる作品でした。
ご覧になったのねー。
そもそも本作の舞台になったニューイングランドがセレンディピティさんにとって好きな場所だったのですね。
この記事で初めて知ったのですが、今迄にもこちらを舞台にしている映画が数本あって、
「セント・オブ・ウーマン」も同じ土地柄で名門校の寄宿舎だったとは、凄い共通点。
今更ではありますが、思いがけず知れて有意義でした♪
>学校のセクレタリーであるミス・クレインです。
どこに行っても必ずミス・クレインのような、気配りができて頼りになる女性がいました。
ええー!そうなんですね。ミス・クレインとっても素敵な優しい人だなーって思っていましたが、こういう人がアメリカには、リアルに少なからず存在しているのね。素晴らしいなー。
アメリカの“よき隣人”
あ”~! こういうのに凄く弱いです。
心が温かくなるエピソードありがとうございました。
早速のコメントをありがとうございます。
本作は1、2か月前に見たのですが、記事にするのが今になってしまいました。期待通りにとってもすてきな作品でした。ご紹介くださって、ありがとうございました!
ニューイングランドが舞台といえば「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「コーダ」等、好きな作品は数多くありますが、この土地の風景や風土がどういうわけか好きなのです。
ミス・クレイン、”置いてけぼり”になって寂しい思いをしている3人をさりげなくパーティに誘ったり、変人のハナム先生にも他の人と変わらぬ態度で接したり、こういうところがすばらしいなーと思います。
お話を聞いていただいて、共感していただけて、とてもうれしいです。ありがとうございました♪
なんと!セレンさんもミス・クレインの様な方に助けられた人なのね…彼女の様な気配りができるセクレタリーが居てくれたら本当に心強いと思うわ。
宿舎に残った3人は互いの辛い過去を知って初めて互いの心に寄り添うことが出来たよね。
人間の弱さと本来持っている温かさを感じられてとても良い映画でしたね~
「セントオブウーマン」は見た事ないわ~今度見てみようかな☆
アメリカ人の、弱者やマイノリティに対するこういうホスピタリティは、ほんとうに見習うべきところが多いと思います。(逆に強者に対してはとことん戦いますが)
アメリカ時代のこのような経験がずっと心の支えになっていて、帰国してからのボランティア活動や、今の仕事に生かされていることを感謝しています。
>宿舎に残った3人は互いの辛い過去を知って初めて互いの心に寄り添うことが出来たよね。
ほんとうにそうでしたね。見ている私たちにとっても、彼らに対する見方が変わったように思います。
「セントオブウーマン」もとても素敵な作品でしたよ。
機会がありましたらいつか是非ご覧になってみてください。
アメリカで暮らしていらしたセレンさんならではの素敵なレビューですね。
ミス・クレイン、そうだったんですね、そういう女性の存在って心強いですね、
セレンさんが挙げてらした2つのシーン、どちらもとても印象的でしたね。
生意気~!って思ってたアンガスのあの表情、愛おしくなりました。ハナムの過去を知ったシーンでは、秘密を共有する二人にニヤリとしてしまいました。
「セント・オブ・ウーマン」は久々に見返したくなりましたよ!(^^)!
ミス・クレインには、ああ、こういう女性がいたなーととても懐かしくなりました。
その頃の恩返しを、今の自分の立場でしたい、という思いが常にあります。
アンガス、最初は生意気~と思っていましたが、まだ高校生ですもの。まだまだ両親に甘えたい年頃ですよね。彼の心の中を思って愛おしくなりました。
ハナムの過去を知って、彼がなぜ、学校で生徒たちに厳しく当たるのか、その理由が分かった気がしました。ラストの彼はとても穏やかなよい表情でしたね。
セント・オブ・ウーマンのあのタンゴの場面は、今も時々無性に見たくなります。