@「天下り」=「官僚の定年退職後の就職先」。この小説で思ったのは日本固有の「終身雇用」という規制が失くなり、「定年」という時期をもって退職するという官庁・国家公務員にとっては苦痛ともいえる規則が定着したことによる弊害がここにある。民間では就労者にとってはリストラクチャリングも含め厳しい沙汰もある。が官庁、特に官僚にとっては定年後の就職先が何より優先し、場合によっては自分でこのような組織を作り、収まる人もいる、と言う。特に国内で異様な出来事、災害などが起きると新税と共に新たな組織も作る仕組み等は、「天下り先」となり、国民が是が非とも監視しなければならないだろう。
『ハッピー・リタイヤメント』浅田次郎
定年まであと四年のしがない財務官僚・樋口と愚直だけが取り柄の自衛官・大友。二人が突如転属を命じられたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。戸惑う彼らに、教育係の立花葵はある日、秘密のミッションを言い渡す。それは汚職か、横領か、それとも善行か!?
- 二人が紹介されたJAMS(全国中小企業振興会)は企業に資金を援助した資料、特に不良債権になってしまった資料を保管する役割、実態の仕事は何もない。所謂上司から見た優秀な人材の「口封じ」の斡旋場所であり、上司に対する「反対を避けさせるための避難所」であった。そこは何もこれという役割の仕事はなく、経費は使いたい放題、給与も現役の額と60歳まで保証され、さらに2度目の退職金も用意された心地よい仕事場だった。ある日、不良債権を持ち、時効になった金持ちを訪問すると、利子等も付けて返金することを希望され、その返金額が積り3億円にもなる。その金は所謂行き先がないままの汚職でもない横領でもない「善行」として扱う事を企んだ。発起人でかつ金の仕組みを考えた秘書と2人は、最後上司から横領は罪だと言われ、世間には闇に葬るからと説得を仕掛けながら、分け前を分捕る事を説得した。だが三人は「悪人の金をとるのは罪ではない」と辞職し分け合った。「借金を返さないのは罪、それを放置しておくのも罪、罪を濯いだお金を誰かの懐に収めるのはもっと罪。」
- マッカーサーの5大改革で経済機構の民主化に財閥解体(三井、住友、三菱、安田)と全国83の特殊会社があった。財閥家族も、会社証券保有制限令によって売却された。
- 東京の神輿担ぎ「ソイヤッ、ソイヤッ」となっている掛け声は元々は「わっしょい、わっしょい」、「私っちが背負う」がもじったものだという