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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、店舗型レンタル店の残日録。

破戒

2023-03-16 23:14:26 | 邦画
一応私は国文科卒業であるし、一応職業として教壇に立っていたこともありますしで
教職についてる時には同和教育の研修にも参加させられてきましたし
いわゆる封建身分制度下で四民以外の部落民が存在することも知っておりますが
それらは全ていわゆる実際に差別っていうもの自体を、する側される側って言うような経験をしたことありませんけども
 
江戸時代に士農工商の四民以下のいわゆる敢えてここでも差別用語で書かせてもらいますが“穢多”“非人”は髷が結えず、さらに帯を締めることが許されていなかっただけでなく人別帳にも記載されてないって言うことを学問として知っているだけだし
彼らのいわゆる四民が忌避する仕事を一手に引き受けてることで人々の日常生活が成り立っていたことも理解しているんですが
ある意味集団心理として、そう言った人々たちも国民として明治維新以降に戸籍(過去の人別帳)が与えられたものの
差別を受けているっていうのも理解しているのは
こう言った作品を藤村が小説として作品にしてきてるのと
部落民差別というか蔑視を無くそうと運動も知ってはいるものの
こう言った差別に実際遭遇してきてないことから遠いお話としてしか感じていないのも事実ですが
今でも一部ではこの差別意識が根強く残ってることも理解しています
 
なんと60年ぶりの再映画化なんですね
大映の市川雷蔵作品も見てるし、学生時代には原作も一応は読んでいるものの
この作品を今映画化するって言ういうとこには何があったんだろうって思わざるをえませんでしたが
間宮祥太郎を主役に据えたところは
まぁ女性客をターゲットにしてるっていうのもわかります
 
いや実にわかりやすく作ってある作品でしたねぇ
ただやっぱなぜ差別されるのかって言ういう根本原理を理解してないとこの作品の本質は掴めんかもしれないなぁ
って言う思いはありましたが、一本の文芸作品の映画化っていうことだけで見れば
実にしっかりと構築されたプロットだと思える
仇役はそれらしく、慕う生徒もそれらしく、完全なるステレオタイプですね
それだけわかりやすい作品となってるものの
根底に流れている差別主義もステレオタイプに終始しちゃっていたのがねぇ
まぁこう言った差別主義が今日までも未だ続いてるって事を忘れてはならないんだっていう意識を改めて思い起こされた作品だったかな
 
そういう意味でもこの映画を製作した意味があったのかなぁ
 
2022年製作、日本映画、全国水平社創立100周年記念映画製作委員会作品、東映配給
島崎藤村原作、前田和男監督作品
出演:間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、高橋和也、小林綾子、七瀬公、ウーイェイよしたか、大東駿介、竹中直人、本田博太郎、田中要次、眞島秀和、石橋蓮司
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戦争と女の顔

2023-03-16 17:25:00 | 洋画
女性であること。兵士であったこと。女性兵士であったこと。そして、女性であったこと。
印象的な色彩を放つ綺麗な緑のドレスを着て、くるくる回る。すると裾がふわっと広がり、心が弾み、軽やかな気持ちになっていく。それが嬉しくて、楽しくて何度も何度も回る。けれど、その裾の広がりが浮き彫りにするのは女であること、そしてもう女ではなくなったこと。

ベラルーシのノーベル賞作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を原作として作られたロシア映画、原作は日本でも漫画化までされてる作品であるが、よくロシアで映画化したなぁって思える作品だけど
別にロシアを批判してるわけではなく
今次大戦に従軍した二人の女兵士の戦後を描いた作品でして
私には似合わないとは思ったけどセットに組み込む作品がなかったので無理矢理ねじ込んできた作品
一応返却期限が近づいてプレイヤー似入れてびっくり137分もある作品だった

イーヤに扮した女優さんは本当に背の高い女優さんをクレジットできてたものですねイーヤ花傷痍軍人の病院に看護師として勤めていつものの
浅草の後遺症として急に意識を喪失するというPTSDを抱えており
戦友の女兵士のマーシャ野息子を預かって暮らしていたある日
愛情表現としてその子を抱きしめたままPTSDで倒れて子供を抱きしめたことで窒息死させてしまう
 
マーシャはその子供を失った上に、戦地で腹部に爆弾の破片を受けて子宮まで失って帰還してきたためにもう子供を産むことはできない体に
ソ連って日本の銭湯みたいな施設があるようで、イーヤはマーシャの傷を入浴出みつけて全てを知る
そんなイーヤにマーシャは“私の子供を産んで”と迫る。自身のPTSDが原因でマーシャの子供を死なせたイーヤに代理妊娠を迫るマーシャの思いに答え、彼女の主人になろうとするイーヤの葛藤
 
イヤと言えないイーヤとマーシャの二人の歪で互いが絡み合うような関係は見てるこっちにはレズニモ見えるし
イーヤとのマウント取り合うような関係性の中でイーヤはマーシャに言われるまま軍医と子作りのセックスをするがそんな一夜で妊娠するはずもなく
ズルずると二人の関係が物語が進むにつれて友情と言えるのか愛と言えるのか不思議な関係がつづいていき、
さらにソ連の未分違いのお金持ち野童貞クンにマーシャが惚れられて
その家庭に行った時に従軍娼婦と母親に見誤られて
敢えて従軍娼婦であったように振る舞うマーシャ登戸言葉ってイーヤが砲兵だった戦友って言う言っていたことと矛盾してる
こう言った身分差別野ソ連の女性の諸問題を切ないまで見事に映し出していく。女性ならでは視点で描いている見事な作品でした。

第二次大戦後ですから男子兵士ですら、戦争によるPTSDっていうような医療を受けていない中で
女性兵士のPTSDからの回復すらいない時代であるための様々に悲劇をも描いていたのかな
いや、実に重たい作品ではありました
 
見終わって調べたらロシアがウクライナに武力侵攻する前に作られた作品だったのね
監督とプロデューサーはロシアから国外脱出して暮らしながら反戦運動をされてるとか
 
2019年製作、ロシア映画
カンテミール・バラーゴフ共同脚本・監督作品
出演:ヴィクトリア・ミロシニチェンコ、ヴァシリサ・ペレリギナ、アンドレイ・ヴァイコフ、イーゴリ・シローコフ、ティモフェイ・グラスコフ
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