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山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

ほっこり飯山の旅

2014-10-29 01:05:11 | カヌ-ツ-リング
僕の第二のふるさと飯山を訪ねました。
幼馴染のオ-ちゃんがどうしても釣りをしたいと言うリクエストに応える旅でした。

ここは飯山の寅さんが足しげく通う冬でも釣りができる清流、この日は京都ナンバ-など日本各地からの釣り人多数。
ここで寅さんは50センチを超える見事なブラウンやレインボ-を幾つも釣り上げて腕が腱鞘炎になるほどの釣果を上げている。





釣りの後で鬼無里村を訪ねた。
里の紅葉も鮮やかで美しいのだけれど僕はビ-ルと蕎麦がいい。
名の知れた蕎麦屋は2時間待ちの行列ができていてうんざりする。
探してみると身を隠すようにひっそりと佇む『おに屋』さんに辿りついた。





十割蕎麦、しかも新蕎麦、きりりと角の立った蕎麦は薫り高く満足の喉越し。
それにも増して、娘さんなのだろうか若い二人の花番さんの心地よいもてなしが心に残った。





午後5時前、今日の宿のロッヂに入る。
ぎっくり腰の僕は明日の千曲下りに不安を感じていたのだけれど
訪ねてきたくれた寅さんの『下りましょうよ』の一言に背中を押されて決心をつけた。
ロビ-で一服してから浴衣に着替えて野沢温泉を散策し外湯に浸かって体をほぐした。





ロッヂの夕餉を楽しみにしていた、ビ-ルが喉に染みる、このあと更に4品が供された。





ナメコ、ヒラタケ、ムキタケ、ナラタケ、クリタケ、香茸など具材豊富なキノコ鍋、素材を生かした優しい味わいに思わずほっこり癒される。




とろりとした食感のナメコ、肉厚のヒラタケとムキタケ、ちょっと苦味風味の香茸と様々なキノコの味と食感を堪能した。
カレイとキノコのホイル焼き、アケビのひき肉包み、ブナハリタケの煮物と酒好きにはたまらない酒肴が並ぶ。

 
 



ビ-ルを3本空けたあとはお酒に切り替える。
同宿した方々が引き上げてからも呑み続けた。
どうぞ時間は気にせずに楽しんで下さいというご主人の心遣いに甘えさせていただいた。





天ぷら三種、サクッと揚がったクリタケ、ヒラタケ、ムキタケのジュ-シ-な食感が忘れられない。



 



〆はキノコ鍋の残り汁で作って頂いたス-プ雑炊、加えられたキノコと併せて最後まで優しい味が嬉しかった。



 




朝食は懐かしい釜炊きのご飯、これ絶品でございました。
しかも朝から6品、中でもご主人手作りの『ほうてき豆腐』はふわふわでクリ-ミ-な食感に昇天してしまいそう。
(ほうてきとは、飯山の方言でふわふわの新雪を表すのだそうです)

 
 




午前9時、寅さんと約束した場所に向かいます。
このバイク、なんともいえぬ味わいを醸しているのです。
寅さんが淹れてくれたコ-ヒ-をすすりながら一服、心憎いほどのお心遣いに感謝です。





快晴の千曲に舟を漕ぎ出して、ただひたすらに心地よい浮遊感に酔いしれます。





舟を止めて一休み、あの稜線が信越トレイルの山々だと寅さんが教えてくれました、いずれ歩きたいと思っています。





4年ぶりのプチツ-リング、ちょっとパドリングのあとにまた手を止めて浮遊感に浸る、なんとも贅沢な時間でございます。





湯滝温泉上流の瀬、ここを越えれば千曲の短い川旅も終わります。







カヌ-ツ-リングの後に寅さんが連れて行ってくれたお蕎麦屋さん。





3人前はあろうかという超大盛りの富倉蕎麦、これ常連客盛りだそうで常連客の寅さんに感謝です。
ちょっと太打ちの腰の強い食感を堪能できました。







今までノ-マ-クだった長嶺温泉、この温泉も寅さんに連れて行ってもらいました。
源泉かけ流し、ちょうどいい湯加減、やはり地元の人の強みですね。





広間では大勢の方々が集まってのカラオケ発表会、僕たちもビ-ル片手に楽しませていただきました。

 


釣り、山、カヌ-、温泉、山菜、キノコ、馬刺し、お酒、僕が求めるものすべてを満たしてくれる飯山。
そしてさり気なくもてなしてくれる寅さんの存在、ふらっと飯山を訪ねてしまう条件が揃いすぎているのが僕にとっては致命的なのでございます。


今回も、のんびりほっこり命の洗濯をさせていただきました。
友のさり気ない心遣いに重ねて感謝したいと思います、ありがとうございました。



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晩秋の千曲

2010-11-24 00:20:24 | カヌ-ツ-リング
テントから這い出したのは午前6時のことでした。

視界はなんと1メ-トル、辺りは真っ白なベ-ルに包まれた幻想的な世界です。
自分が立っている足元さえ薄っすらとしか見えません。
こんな経験は初めてのことで、いま何がどうなっているのか状況がとんと呑み込めないのです。

どんよりと澱んだ意識の中で昨日からのことを反芻してみました。

きのうは土曜日、夕方までの仕事を終えて中央高速をひた走り午後9時過ぎに北信濃に辿り着いた。
月明かりの中で幕を張って寝酒をちびりとやってからモンベルのダウンシュラフに潜り込んで眠りに落ちた。

ということは、今日は日曜日、千曲を下る日に間違いはない。
辺りを覆う白く厚いベ-ルは立ち込めた濃い霧であることがようやく呑み込めて再びテントにもぐりこんだ。




二度寝して8時半、テントから外を眺めると薄くなったとはいえ視界はまだ5メ-トルほど。
こんな状況で舟を出したらホウレイ舟(幽霊舟)に遭遇してしまうかもしれない。
ホウレイ舟に遭遇して追い越されたら二度とこの世には戻れない、何かの本で読んだ記憶が蘇って背筋に悪寒が走った。










さて、この厚い霧が晴れるまでどうしようか?
何年か前に訪ねた『富倉の里』で美味しい蕎麦でもご馳走になろうか。

昨夜は気づかなかったけれど向こうでカヌ-イストがもう一人天泊している。








富倉の里に向かう山道にも深い霧が立ち込めていた。








鮮やかに染まる紅葉よりも、秋はたわわに実った柿の木の佇まいが好きだ。
これこそが田舎の秋を深く感じさせてくれる侘びなのだと思うのです。








おせっかい焼きの『はしば食堂』のおばちゃんは元気なのだろうか?








午前9時、のれんを掛ける時間にはまだ間があるので集落を散策してみました。
豪雪地帯だからでしょうか、軒を寄せ合った家々の屋根の勾配がそれを物語っています。

茅葺に真っ青な屋根覆いがなぜかとってもおしゃれな佇まいに見えてしまうのです。
昔話に出てくるような風格のあるこんな田舎の風情、好きなんだなあ。








キノコが見たくて雑木林を覗いてみようとすると『入山禁止』の立札がそこかしこに立っていました。
キノコを狙って立ち入る人たちが後を絶たないのでしょうか、いいキノコが採れるんだろうなあ!







僕のあとから3人のお客さんがみえました。
ちょっと早いのだけれどおばちゃんに声をかけてみました。
『何時からですか?』『あぁいいよ入って入って』、9時28分のことでした。
『本当は何時からなの?』『特にきまっちゃあいねえんだよ』、この好い加減さが何とも言えず好きなんだよね。








『なんにする、蕎麦と笹寿司しかやってないけどもさ!』
もちろん大盛り蕎麦と笹寿司、それに頼まなくても勝手に付いてくるお采でビ-ルをいただくのがお約束なんですね。









この『富倉蕎麦』はまぼろしの蕎麦と言われておりましてね。
つなぎに牛蒡を使っている蕎麦は滑らかな喉越しが特徴で、
しかもなまめかしい艶とほどよいコシの強さで蕎麦好きを病みつきにさせてしまう訳なんですね。

僕は息もつかずに手繰っては啜り手繰っては啜って味も香りも喉越しも感じることなく平らげてしまいました。
『オバチャン、大盛りもう一杯ちょうだい!』
『あんた、もうちょっと味わって喰わねえと旨いかどうかも分かんねだろうに』









もちろん二杯目は少しだけゆっくりと味わって食べてみましたさ。
甘みを抑えた少し濃いめのつゆは辛味大根ととてもよく合うのです。
会津で食べる高遠蕎麦に似た味になるのですな。
鼻腔も舌も口中も大層喜んでくれたのは言うまでもありません。
この富倉の里のお蕎麦は今や知る人ぞ知る『富倉蕎麦』のブランドを成しているのです。








これが『笹寿司』
寿司酢を強めに効かせた上品な田舎の味、これもほっとする懐かしい味なんですね。
今日は持ち帰って千曲に漂いながら舟の上でいただくことに致しました。

はしばのオバチャン、相変わらず口が悪くて人懐っこくておせっかい焼きで
どこにでもいる田舎のおばちゃんそのもの、これがウケているのかもしれませんね。
隣は静岡から『はしば食堂』のお蕎麦を食べるだけのためにやってきた親子3人連れの娘さんでした。











さぁて11時半、深い霧もすっかり晴れて気持ち良い船出の時です。
今回の相棒はインフレ-タブルカヤック、しかも荒瀬のない12キロを旅しようと思います。
なにしろ寒いですからね、ひっくり返ったらエライ目に遭うので絶対に安全な舟とコ-スを選んだという訳でして。









先ずは、何はともあれビ-ルなんですね。
千曲に漂いながら呑むビ-ルは格別なんですな。

初めて千曲を下ったのも冬のことでした。
あれから21年、根なし草のように川面を漂いたくて毎年この千曲を訪れているのです。
60キロ以上も堰のない滔々と流れる大河に漂う浮遊感に魅せられてしまったということでしょうか。









お昼ご飯は、はしばのオバチャンの笹寿司5個。
なんとも優しい味は後を引いてしまいます。
これを食べるとオバチャンの笑顔が浮かんできて振り払っても振り払っても
豪快な笑い声が付きまとって離れないのが不思議といえば不思議です。









あの赤い橋はスタ-トしてから2つ目の橋










観光客用の渡船の渡し場に上陸して一服しましょうか
冬の千曲は川底が見えてしまうほどに澄んだ流れになっていました。
急ぐ旅ではありません、小春日和のなかでのお昼寝、たまりませんなあ。









上境の集落が遠くに霞んで見えてきました。
北信五岳、あの山々にも足を踏み入れてみたいと思っているのですが、、、、、。








あの集落が旅の終わりを告げています。
一人旅の途中で人や人家に出会うとほっとする、いつものことです。







飯山の里も紅葉のピ-クが過ぎてちょっと寂しげな冬枯れの季節が始まっていました。







のんびり走る飯山線のディ-ゼルカ-に出会いました。
2時間に1本なのですが不思議なほどに毎年出会えるのです。
帰りはあのディ-ゼルカ-に乗って車をピックアップに向かいます。








このコ-ス最後の湯滝橋
雪しろで増水した5月なら落ち込みのパワ-がすごくて楽しいのですが減水時の今は剥き出しの隠れ岩がちょっと怖いのです。









あぁ、旅の終わりです。
いつまでもゴ-ルしないようにとパドリングの手を休めていても旅は必ず終わってしまうものなんですね。

冬のツ-リングは物珍しいのでしょうか?
湯滝温泉に浸かった人たちが集まってきて話しかけるのですが
旅の余韻に浸りたい僕にとってはちょっとだけ迷惑でもあるのです。








いつもなら通いなれた『もみじ荘』に向かうのですが
今回は山道を走って『まだらおの湯』を訪ねてみることにしました。
残念ながら露天風呂はないのですが広い浴槽から眺める白樺とカラマツの林にほっとするのです。








この『まだらおの湯』の良さ、、、、それはお客さんが少ないことですかね。
午後4時から閉館の9時までいたのですがお客さんは座敷のテ-ブルに3割ほどだったでしょうか。

ここのお蕎麦は江戸打ちよりも更に細切りで浅茹でなので歯触りのよい美味しいお蕎麦です。
でも僕はやはりもう少し、江戸打ち程度の太さが好きかな。









明日は野沢温泉の民宿に投宿して馬刺しとお蕎麦を食べて
まだ4つしか入っていない外湯13湯めぐりをするつもりだったのですが
充分に満喫し、ちょっと疲れもしたので旅を終えることにしました。

野沢温泉の民宿には山菜採りやキノコ採り、釣りにご一緒してくれるオジチャンがいるのです。
もちろん無料ということはオジチャン自身が一番楽しんでいるからなんでしょうね。
来年は必ず一泊してオジチャンと酒を酌み交わし一緒に山に入ろうと思います。








最後に、皆さんに是非お見せしていものがあるのです。
『はしば食堂』にあった貼り絵です。
無造作に画鋲で壁に貼られておりました。

もしや山下清?
サインがないかと隅々まで探したのですが、、、、、
こんな素敵な貼り絵、いったい誰の作品なんでしょうか?

この絵に出会えただけで、僕の旅は充分に満たされた旅になりました。
毎年訪れる飯山、これからは冨倉の里にも必ず立ち寄ってみようと思っています。



























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オッちゃん達は荒野を目指す!

2009-05-10 23:52:52 | カヌ-ツ-リング
僕たちのカヌ-の旅はいつも野宿で始まるのです。

睡眠薬代わりにビ-ルを一滴流し込み、僕たちを待っているであろう桃源郷に想いを馳せながら
安らかな眠りに落ちる。野宿派の僕たちには鬱陶しいテントもタ-プも必要ないのだ。





今回は古くからの仲間に同伴してもらった。
疲れ切っていた僕は一人で遠征する自信が持てなかったので。

ならば疲れる長旅なんてやめたらいいのに、、、
それは僕にとっては死ねと言われるようなもので到底受け入れられるものではないのです。

快晴の飯山、千曲の川原に立つ。
旅の始まりは何故こんなにもワクワクするのでしょうか?
始発駅、少しの衝撃を残して特急列車が静かにホ-ムを滑り出す
あの期待と不安が綯い交ぜになった感じに似て幾つになってもワクワクするのです。





蕩々とゆく大河の流れ、、、、、





そして両岸の牧歌的な風景、、、、、





この変わらぬ千曲に癒されたくてこの旅を続けているのです





遠くに連なる北信濃の山々に今年は雪がない
と言うことは流れ込む支流はドライフライで楽しめそうである





ちょっと上陸して、、、、





ふんわりとした菜の花のジュ-タンの感触を楽しむ
寝そべって頬杖をついてほほえむ、そんな少女のようなことは照れ臭くて出来るはずもない





パドリングの手を止め、何もかも忘れて心ゆくまでこの風景に浸っていたそうなシムちゃん
同業の穏やかな彼ともすでに25年の釣り友、カヌ友である。




この先に待ち受けている荒瀬への突入にちょっと緊張気味のオ-ちゃん
歳月の過ぎ行くのは早いもので建築家の彼とは45年を越えるつきあいになる。




元、元々、ベテランパドラ-達はキャッホッホ-と叫びながら大好きな荒瀬のど真ん中に突っ込んで行き、、、、





木の葉のように翻弄されながらも巧みに三角波を捉えて漕ぎ抜けて行く
そのテクニックとバランス感覚はさすがにひゅうひゅう!なのでありました





昨日までの雨で増水した千曲は例年にも増して波のパワ-が強く
スラロ-ムのようなスリルとおもしろさを楽しむことができました





ほんの2時間の短い川旅もこれで終わりです
またいずれあの頃のように川原で野宿をしながらの長旅に出たいと思います

湯滝温泉に上陸して、、、先ずはビ-ルですよね。





赤米餃子とビ-ルとお蕎麦、お昼の定番でした








そして釣り
本流で45センチのイワナ狙い、な~んて釣れる訳がありません
左側に流れ込む支流を釣り上がりましょう





一歩足を踏み入れるとこんな感じ、山菜の宝庫でもあるのです。
僕たちの桃源郷はそこにあるのでしょうか?
とにかく深い森に身を置くだけで心地よく癒され五感が呼び覚まされてゆくのです





イワナを狙って巻き返しや岩陰にフライを落としてもまったく反応がありません





ビ-ルで緩慢になったオ-ちやんも大苦戦を強いられています





フライを沈めて流心を流してみると





オ-ちゃんに来のは体色の濃いヤマメでした
ここはイワナじゃなくてヤマメの溪だったのね?





ならば僕もフィ-ディグレ-ンにフライを乗せてナチュラルドリフト





やっぱりね
ちっちゃいけど体色の黒っぽい綺麗なネイティブ
この上流もすべてヤマメでイワナの棲息は確認できませんでした





釣欲を満たされた僕はひとり山菜の探索へ
ここは一面コゴミ畑、コゴミはあまり人気がないのか皆伸びきっています





遡って行くと、どこから続いているのか忽然と林道が現れ
その林道に沿ってタラの芽がそこそこ、ワラビもそこそこ取れまして





釣りにも山菜にも満たされた僕はいつしか眠りに落ちてしまったようで、、、
とにかく僕はいつでもどこでも良く眠るのです、心地よく眠れる場所こそが僕にとっての桃源郷なんでしょうかね。





目を覚ますと、隣でオ-ちゃんが『野菜これ1本』を飲みつつ
『う~む、いいなあ』とひとり悦に入っている姿がありました。
どうでもいいけど、その暑苦しそうな覆面をかぶるのだけは絶対にやめなさい!





下流でルア-を投げていたシムちゃんが『いやあダメでしたあ』と
ビ-ルでヘロヘロになった足取りでやってきました。
これで○ボは確定、もっと修行を積んでから出直しましょうかね。

さ~てと、ヘロヘロの僕たちはヘロヘロついでにもう一度ヘロヘロになるのです。





いつもの『もみじ荘』へ
温泉につかってさっぱりしたらグビッと一気に生ビ-ル
気の置けない友と飲んで語らい、そして心地よく眠る
ここもまた僕たちにとっての楽園なのでありました





たった1日の短い旅でした





とにかく人生は『楽しまなくっちゃ損』ですね!

いつまでも変わらぬ千曲の流れと古いカヌ友に感謝感謝の一日でございました。
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千曲川 カヌ-の旅

2008-05-05 10:50:54 | カヌ-ツ-リング
ゆらゆらと、根無し草のように川面に漂いながら、そよ吹く風に吹かれてみたい。
男は、そんな叶わぬ夢を見ていた。

世の中どこもかしこも、きらびやかな連休モ-ドだと言うのに、男はひたすら仕事に励んでいた。
沸点に達しつつある男の脳みそは、すでに煮えたぎって気が狂いはじめていた。
おまけに外は『くらやみ祭り』の大太鼓がド~ンド~ンと鳴り響いて気もそぞろになる。
浮足だって、こんな時に仕事なんかやってられるかってんだベランメエ!

お~い、オレをここから出してくれ~い!
誰かこの足枷を外してくれ~い!
一生のお願いだ~、オレを今すぐ解放してくれ~い!

男の口癖が、一生のお願いだ~と言うことを知りながらも、慈悲深い神様は
『一日だけだかんね』とウインクして、このオレを仕事の呪縛から解き放ってくれた。

夜行日帰り、夜討ち朝駆け、脱兎の如く?
まあ、この際なんでもいいじゃないか。
とにかく一日、明日一日だけでも自由の身になれるんだから。

午後9時、中央高速に飛び乗って一心不乱に車を走らせた。
辿り着いたのは北信濃の姨捨SA、午後11時のことであった。



なんてったって解放されたばかりの奴隷っすからね、酒に飢えてます。
なにはともあれビ-ルでカンパ-イということで。
高速道路であろうが、パトカ-がいようが先ずはビ-ルなんですよ。
ついでに焼酎もいっちゃいましょうね、気持ちよく酔っぱらいたいもんね~。
で、やっぱり仕上げはメンマに味玉、モヤシたっぷりの味噌ら-めんっすよね、暖ったまるなあ。



たっぷり呑んで気持ちよく酔ったら素直に眠りに就きましょう。
寝床は北信濃の大地、心を解き放つには何と言っても野宿に限ります。
人間にとって極上の悦楽とは、こういう事を言うのであります。
こうしていると、大地の発する気を受けて心身共に浄化されてゆくのです。

草木も眠る丑三つ時、摂氏1度の冷たい外気を感じながら、心はホンワカと暖まってゆくのでした。

あぁ極楽極楽!
昔むかし、姨捨山に捨てられる姨さんも、お酒と暖かい布団があったら幸せだったのにね。
明日はもう、このまま帰ってもいいなあ、と思うほど心は満たされたのでありました。

ぐっすり眠って疲れも吹き飛んで、SAでお蕎麦を食べて千曲の河原へ。
先客が6名様、横浜の中年カヌ-イストがツ-リングの準備をしておりました。
しばしビ-ルをご馳走になりながらのカヌ-談義、ゴ-ル地点も一緒ということで、これは楽しくなりそうだ。
それにしても、最近のカヌ-イストは中高年だけになっちゃった感じですねえ。

若者よ、もっと冒険の旅に出ようぜ!



6人衆が一足先にスタ-ト、我らはのんびり漂うのです。



今日はちょいと増水気味、しかも追い風、絶好のツ-リング日和です。
暖かい陽差しも嬉しいですねえ、キャッホッホ-。



時間はたっふりある。のんびり行こうぜ!

視界いっぱいに開けたこの風景、これぞ大河の証しです。
この開放感が人の心を解き放してくれる訳ですね。

蕩々と流れる千曲に漂いながら、ビ-ルをあおり
タバコをくゆらせながら命の洗濯をしようではないか。



川岸と川岸を行き来する渡し船。
♪連れて~逃~げ~て~よ~、ついて~お~い~で~よ~♪
ビ-ルを煽りながら思わず一曲うなってしまいました。



千曲に架かる橋は、それぞれに色が違います。
だから千曲のカヌ-ツ-リングは、この橋の色を目印にすればいいのです。



19年来のオイラの愛艇、もう体の一部のような感じです。
しかしまあ、いい男は絵になりますなあ、ってか?





遠く北信濃の山々は、まだ雪を頂いています。
こりゃ支流の沢は、まだドライフライじゃ無理だべなあ。



エッチラオッチラ、、、、、ス-イスイっと、アメンボになった気分です。



ここから10羽ほどの水鳥が水しぶきを上げて飛び立ちました。
たぶん住処があるのでしょう、偵察隊は水鳥の巣の偵察に向かいます。



カヌ-の上のは、ねじりハチマキが正装なのでございます。
隠してあるビ-ルはすでにカラッポ。顔がちょっと赤味がかっておりますが、
これはただの日焼けっすからね。



千曲の風景はどこまでも優しくのどかです。
川岸は、至る所に菜の花の淡い黄色のお花畑が広がっておりました。
そこここで仲良し家族がお弁当を広げて平和な時をすごしているのです。よかですね~!



ラッキ-!
2時間に1本しか走らない飯山線のディ-ゼル列車に遭遇しました。
ここ飯山は、列車までもがのんびりとスロ-ライフを楽しんでいるかのようでした。



今日のコ-ス最後の橋、湯滝橋。
ここの瀬は可成りの落ち込みになっていて、ちょっとしたスリルが味わえるのです。ひゅうひゅう!



コイツら、一丁前に瀬の中で遊んでますわ。





いよいよ千曲の旅も終ります。寂しいなあ。

爽やかなリバ-ブリ-ズを頬に感じながらの旅でした。
優しい川岸の風景に癒された旅でした。
雄大な北信濃の山々に心洗われる川旅となりました。
川面に漂う心地よさを1年ぶりに体感できた旅でもありました。

旅の終りは、なぜこんなにも寂しさがこみあげてくるものなのでしょうか?



さて、ここでもまたビ-ルで乾杯!
そして昼寝。寝る子は育つの言い伝えどおり、頑強な体に成長してくれて
コイツはアメフトの選手をやっておりました。



そして〆はいつもの『もみじ荘』へ。
温泉にまったり浸かって世俗の垢を流しましょう。



足もみマッサ-ジで顔をゆがめて悲鳴を上げております。
これってアタマにも効くのかしらね?



そしてやっぱり〆はビ-ル、性懲りもなくビ-ルなのです、ビ-ルしかないっしょ。



美味しい山菜の天ぷらと飯山の手打ちそば。
これで幸せの千曲の旅も、ホントに終りを告げるのでありました。寂しいなあ。





菜の花一面の飯山の里とも、しばしの別れです。

千曲の流れと、のどかな風景に身も心も浄化され、精気が蘇りました。

次は飯山の尺岩魚に逢いたいと思います。待っててね!

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千曲川カヌ-ひとり旅

2007-05-05 23:41:17 | カヌ-ツ-リング
川の流れに漂いたくて、千曲川へカヌ-の旅に出ました。
この大河を下る旅は、もう18年間も続けているカヌ-の旅です。今回はいつもの半分の距離、小牧橋から新潟県との県境、西大滝までの25キロを一人でのんびり下ろうと思います。暖かい日で良かったな。



フォ-ルディングカヌ-を組み立てて、さあ旅の始まりです。
ゆるやかな流れの中にも何カ所かはこんな気持ちよい瀬が出現します。瀬のど真ん中に突入し、三角波をしっかりとらえてパドリングすれば沈することはありません。キャッホッホ-!心の中で叫んでしまいます。



快適な瀬を抜けると、またゆるやかな流れが、、、、。水鳥も気持ちよさそうにス-イスイ。人を見ても全然気にしていないようですねえ。



千曲川には幾つもの支流が流れ込んでいます。この25キロの区間でも左岸から9本、右岸から4本の支流が。今回は支流の出合いに上陸してロッドを振ろうと決めていたのです。堰堤のないこの溪を選んだのは大物と出会いたいから。



溪を登って行くと、すぐに林間の素晴らしい溪相が出迎えてくれます。多分、今日も釣り人は誰ひとり入っていないでしょう。千曲の釣り人は、本流で鯉と鱒を狙います。地元の人たちは本流で45センチものバカでかいイワナ狙い、だから支流には見向きもしないわけなんですね。



やはり今回も足跡ひとつ見あたりません。いい流れなのにねえ、、、、、。でも底石はちょっと茶色がかっていてすべりやすいから慎重に。





出ました!でもちっちゃいなあ、22センチ程度のオチビちゃんでした。



千曲の支流はどれもみな太い流れで、とても沢と呼べるような流れではありません。私のホ-ムの丹沢の沢とは流れのパワ-が全然ちがうなあ。



流れのたるみにフライを落とすと、、、、、流れの底から、ふわぁ~っとイワナが浮き上がって、うわぁデカっ、、、。すぅ~っと、流れるフライを吸い込むような感じ。ヤバっ、どうしよう。反射的に合わせを入れるとガッツンと戦車のような重量感が、、、。イワナは流れの底にもぐって定位してしまい、ロッドをあおろうが何をしようがウンともスンとも動かない。それでもロッドをあおり続けていると業を煮やしたのかそのイワナは一気に流れを下り始めて、、、、ググググ-----ッ、、、プッツ~ン、ポワワワ~~ン。その反動で私はよろけて尻餅をつきラインはむなしくダラ~ん。堰堤のない溪を選んで正解でしたね。本流差しの大物、やっぱいるんだよなあ。



緊張感が解けて足がちょっとふるえておりました。大物見~ちゃった、今日はもういいや、帰ろうっと。完敗だったけと良い溪を見つけちゃったぜい。また来るからね。





溪畔にはウルイやウドやセリなどの山菜がわんさか。夏はここでキャンプもいいかな?





溪からの帰り道を歩いていると山菜採りに行くおじちゃんに逢いました。この溪の話を聞くと、やはり地元の人は殆ど入らないとのこと。でもね、最近は熊が出没するのだそうです。あゝ、もうひとりでは入れないよう、グスン。でも来ちゃうんだもんね~だ。



本流に戻って艇を漕ぎ出し、流れに身を任せて漂いましょう。この浮遊感がたまらないのです。がっ、喉乾いちゃったな~、そろそろビ-ルか~?11時だもんね。湯滝橋のカヌ-ポ-トに上陸して一杯やりましょうかね。



カヌ-ポ-トのすぐ上に湯滝温泉があるのです。



ここでいつもの赤米餃子と生ビ-ル、あゝ生き返るう!



この障子の妖しい雰囲気もなかなかでしょ?



ちょっと昼寝して。
さあ、午後の部はこのカヌ-ポ-トから漕ぎ出しましょう。しかし、連休だと言うのに今日は一艇のカヌ-とも出会ってないなあ。どうしてなんだろう?



パドリングの手を休めて、ほろ酔い加減で流れに身を任せて漂う感じ。これなんですよねカヌ-の魅力は。瀬を漕ぎ下る爽快感も勿論ひゅうひゅう、なんですけれどね。



石ころの河原でちょっと休憩です。この艇とのつきあいも、もう18年かな?長いつきあいになりました。川旅の魅力を教えてくれたのもこの艇でした。もう私の体の一部のような存在なんですよ。キャンプをしながらの長旅のときは、後ろのデッキにキャンプ道具を積んで、艇内にも沢山の荷物が積み込めるのです。



穏やかな川旅も終着点に近づいてきてしまいました。あゝもう旅が終わってしまう。

♪夢のような旅だった あすは君も別の町へ 僕も別の町へ
 こんなつらい旅なんて もう嫌だ 旅を終ろ うちへ帰えろう♪ 
 北海道のユ-スで歌った歌の断片をふと思い出してしまいました。



あの沢の流れ込みの河原に上陸です。



ここが今日の旅の終着点。君のお陰で良い旅になったよ、アリガトネ。



カヌ-を解体してザックに収納します。





さあ、ここから列車に乗って車を取りに行きましょう。
待ち時間がたくさんあるので一駅のんびりと歩くことにしました。この飯山線は千曲川にそって国道と寄り添うように走っています。



線路の上を歩いたり田んぼの畦道を歩いたり、、、、。一輌だけのディ-ゼルカ-、こんなのどかな風景がまだ残っているのですねえ。





この列車にゆられて、学生時代に体験した金欠ひとり旅の記憶が蘇ってしまいます。


車でカヌ-をピックアップして温泉に直行する途中に、、、飯山の菜の花畑。
ロマンチック~!なんかドラマのような風景ではありませんか?二人の間にぽつんともうひとり見えません、、、?こんな幸せそうな情景、ずっと続きますように。なんか、ほんわかして、いいなあ。





こんな私はロマンチックよりもビ-ルの方がよかですね、至って即物的なもので、ハイ。今回も最後の落ち着き場所は『もみじ荘』なんですね。この温泉はカヌ-の旅の最後は必ず立ち寄る所で、理由はお蕎麦が美味しいこと、これに尽きるのです。湯に浸かって今日の疲れを癒したら、やっぱビ-ルでしょ。



ビ-ルをお代わりして、肩の力がふっと抜けたら最後は『手打ちそば』ですよね。
そして3時間のうたた寝、ぼくの旅はホンナコツ、ワンパタ-ンですのう。



愛艇との年に一度の川旅、あゝ大満足の一日となりました。



愛艇と千曲の流れ、そしてまだ見ぬ大岩魚、ありがとうね!

長すぎるレポ、最後まで見て頂きましてありがとうございました。



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