北八つの池を巡るのはこれで3度目のことだろうか?
連れのオ-ちゃんは初めてここを訪れてから30数年が過ぎたという。
訪ねたいと切望しながらもそれぞれが許されない事情を抱えて生きている。
今回の僕たちの山旅は、それぞれがそれぞれの小さな目的を携えた旅でもあるのです。
何とか都合をつけて午前3時に麦草峠の車止めに入って3時間の仮眠をとった。
雨池(あまいけ)の入山口には未だに雨ケ池(あまがいけ)という古い標識が残っていた。
シラビソの原生林を抜けてからは広い笹原を快適に進みます。
標高2000m、原生林に抱かれてひっそりと眠る雨池
雨池の魅力、それは紅葉でも水の美しさでもなく、静けさと空の広がりしょうか?
開豁なのだけれど、この静寂に包まれると、、、、
大地に横たわってこの世界に同化することを心も体も欲してしまうのです。
今回の山旅の目的のひとつは、退屈な林道歩きはやめて既に廃道となった旧道を歩いてみることでした。
山地図の上には雨池と双子池を結ぶ登山道が破線となって記されています(最近の山地図には記載がないようですが)
これを地形図とコンパスを頼りに藪漕ぎしながら踏破してみたい、そのための時間はたっぷり準備していました。
時間切れで当日に双子池に辿り着けなくてもビバ-クできるようにとツェルトも、酒と食料もたっぷり準備していました。
と、かなりの覚悟を決めて廃道の入り口を探していると
何と真新しい指導標があるし、藪だらけの筈の廃道もきれいに整備されているではありませんか?
これには少なからず拍子抜けしてしまった訳で、後で双子池ヒュッテで確認してみると
林道が崩壊したため今年から通行止めになった林道の代わりり旧道を整備したのだと、、これで僕の旅の目的がひとつ消え去った訳で、、、
藪漕ぎ不要となると登りも苦も無くシラビソの原生林を快適に進みます。
しかしこんなに鮮明な踏み跡があるということは以前から仕事道として使われていたのかもしれませんね。
オ-ちゃんの45Lのザックには約束を果たすための一升瓶が収まっています。
30数年前、ヒュッテに泊まったオ-ちゃんは小屋の親爺さんと呑み明かし
今度来るときには必ず一升瓶を担いで来るからと約束したのだとか。
30数年前の約束なんて小屋の親爺さんも遠に忘れているだろうにと僕は思うのですがオ-ちゃんは律儀なのです。
食べられるかどうかは皆目見当つきませんが、ただただ可愛いだけでいいのです。
原生林の中のキノコ探しもなかなか楽しいものでございます。
これは初めて目にするものですが苔の花でしょうか?
だとしたら苔も捨てたものではありませんな。
太古の時代そのままの雰囲気、まるでものの怪の世界に迷い込んだような錯覚を覚えます。
熊たちの生きるための営みが至る所に見られます。
冬眠を控えて熊たちも必死なんですね。
果てしなく広がる原生林を抜けて双子池に続く林道へ
双子池は今が紅葉のピ-クでしょうか
ナナカマドの赤、カラマツの黄、しらびその緑、遠くの山の深緑、自然の織り成すグラデ-ションは見事です。
↑と見比べて見て下さい。
風が止んで池の水面が凪ぐと木々も山も空も雲もまるで水鏡、これを見たかったのです。
オ-ちやんがちょっと寂し気な感じです。
一升瓶を抱えてヒュッテの親爺さんに挨拶に行くと親爺さんは思いのほか年を重ねておりました。
横になっていた親爺さんは、いざり足でオ-ちゃんの傍に来て話を聞いてくれたのですが酒を酌み交わした記憶も既に遠のいておりました。
しかも雪に押しつぶされたヒュッテは数年前に建て替えられて昔の面影はかけらもありませんでした。
こうしてオ-ちゃんが温めていた遠い日の想い出と大切な約束は幻と消えてしまったという訳で
ヒュッテの親爺さんも僕たちも歳をとったということですが、それにしても時の移ろいというものは残酷な仕打ちをすることがあるのです。
この日は個室をとってふたり静かに遠い思い出に浸りながら眠りに就いた次第です。
北八つといえども山の朝は早いもので小屋の泊り客の殆どは午前5時半に朝食を摂り午前6時半には出立して行きます。
急ぐ旅でもない僕たちは12時間たっぷり眠ってゆっくり小屋を後にしました。
途中の湧水で水筒を満たし、ラ-メンとオニギリで朝食、この質素な山飯が旨いのです。
山はいつも登ることから始まります。
もう俺たちは高い山はムリかもな、オ-ちゃんの漏らした一言が寂しげに聞こえた。
そんなことはないよ、10分歩いて5分休憩のペ-スなら北アルプスもまだやれるさ、僕の声も寂しげに響いた。
シラビソの原生林を抜けて再び雨池に辿り着いた。
紅葉に染まる木々も、空を映す紺碧の水面も、この静寂の中にあるからこそ一層際立つのかもしれない。
オ-ちゃんが黒曜石の破片を見つけてポケットに入れた。
野辺山あたりの旧石器人が矢じりやナイフ、石器などに用いた原石なのだろうか?
ここに寝そべっていると太古の昔から何も変わらずに眠っているこの風景がなぜかとても懐かしく思えてしまう。
また来たいな、やっぱり山も続けたいな、オ-ちゃんの言葉が嬉しかった。まだ老いぼれてしまうには早すぎる!
(旅のおまけ)
今回は仙人小屋に立ち寄ることも旅の目的のひとつであった。
仙人が仕留めた鹿の心臓の刺身、馬刺しとはまた違う食感がビ-ルを熱烈に欲するのだ。
仙人が毎朝採ってくるキノコをふんだんに使ったキノコそば、いっぱいのキノコで蕎麦が見えない。
鹿肉のレアロ-スト
次回はキノコてんこ盛りもキノコのてんぷらと熊肉の焼肉を是非とも食べてみたい。
ピ-クハントもいいけれど、ノンピ-ク登山という山旅もまた素敵ですよ!
連れのオ-ちゃんは初めてここを訪れてから30数年が過ぎたという。
訪ねたいと切望しながらもそれぞれが許されない事情を抱えて生きている。
今回の僕たちの山旅は、それぞれがそれぞれの小さな目的を携えた旅でもあるのです。
何とか都合をつけて午前3時に麦草峠の車止めに入って3時間の仮眠をとった。
雨池(あまいけ)の入山口には未だに雨ケ池(あまがいけ)という古い標識が残っていた。
シラビソの原生林を抜けてからは広い笹原を快適に進みます。
標高2000m、原生林に抱かれてひっそりと眠る雨池
雨池の魅力、それは紅葉でも水の美しさでもなく、静けさと空の広がりしょうか?
開豁なのだけれど、この静寂に包まれると、、、、
大地に横たわってこの世界に同化することを心も体も欲してしまうのです。
今回の山旅の目的のひとつは、退屈な林道歩きはやめて既に廃道となった旧道を歩いてみることでした。
山地図の上には雨池と双子池を結ぶ登山道が破線となって記されています(最近の山地図には記載がないようですが)
これを地形図とコンパスを頼りに藪漕ぎしながら踏破してみたい、そのための時間はたっぷり準備していました。
時間切れで当日に双子池に辿り着けなくてもビバ-クできるようにとツェルトも、酒と食料もたっぷり準備していました。
と、かなりの覚悟を決めて廃道の入り口を探していると
何と真新しい指導標があるし、藪だらけの筈の廃道もきれいに整備されているではありませんか?
これには少なからず拍子抜けしてしまった訳で、後で双子池ヒュッテで確認してみると
林道が崩壊したため今年から通行止めになった林道の代わりり旧道を整備したのだと、、これで僕の旅の目的がひとつ消え去った訳で、、、
藪漕ぎ不要となると登りも苦も無くシラビソの原生林を快適に進みます。
しかしこんなに鮮明な踏み跡があるということは以前から仕事道として使われていたのかもしれませんね。
オ-ちゃんの45Lのザックには約束を果たすための一升瓶が収まっています。
30数年前、ヒュッテに泊まったオ-ちゃんは小屋の親爺さんと呑み明かし
今度来るときには必ず一升瓶を担いで来るからと約束したのだとか。
30数年前の約束なんて小屋の親爺さんも遠に忘れているだろうにと僕は思うのですがオ-ちゃんは律儀なのです。
食べられるかどうかは皆目見当つきませんが、ただただ可愛いだけでいいのです。
原生林の中のキノコ探しもなかなか楽しいものでございます。
これは初めて目にするものですが苔の花でしょうか?
だとしたら苔も捨てたものではありませんな。
太古の時代そのままの雰囲気、まるでものの怪の世界に迷い込んだような錯覚を覚えます。
熊たちの生きるための営みが至る所に見られます。
冬眠を控えて熊たちも必死なんですね。
果てしなく広がる原生林を抜けて双子池に続く林道へ
双子池は今が紅葉のピ-クでしょうか
ナナカマドの赤、カラマツの黄、しらびその緑、遠くの山の深緑、自然の織り成すグラデ-ションは見事です。
↑と見比べて見て下さい。
風が止んで池の水面が凪ぐと木々も山も空も雲もまるで水鏡、これを見たかったのです。
オ-ちやんがちょっと寂し気な感じです。
一升瓶を抱えてヒュッテの親爺さんに挨拶に行くと親爺さんは思いのほか年を重ねておりました。
横になっていた親爺さんは、いざり足でオ-ちゃんの傍に来て話を聞いてくれたのですが酒を酌み交わした記憶も既に遠のいておりました。
しかも雪に押しつぶされたヒュッテは数年前に建て替えられて昔の面影はかけらもありませんでした。
こうしてオ-ちゃんが温めていた遠い日の想い出と大切な約束は幻と消えてしまったという訳で
ヒュッテの親爺さんも僕たちも歳をとったということですが、それにしても時の移ろいというものは残酷な仕打ちをすることがあるのです。
この日は個室をとってふたり静かに遠い思い出に浸りながら眠りに就いた次第です。
北八つといえども山の朝は早いもので小屋の泊り客の殆どは午前5時半に朝食を摂り午前6時半には出立して行きます。
急ぐ旅でもない僕たちは12時間たっぷり眠ってゆっくり小屋を後にしました。
途中の湧水で水筒を満たし、ラ-メンとオニギリで朝食、この質素な山飯が旨いのです。
山はいつも登ることから始まります。
もう俺たちは高い山はムリかもな、オ-ちゃんの漏らした一言が寂しげに聞こえた。
そんなことはないよ、10分歩いて5分休憩のペ-スなら北アルプスもまだやれるさ、僕の声も寂しげに響いた。
シラビソの原生林を抜けて再び雨池に辿り着いた。
紅葉に染まる木々も、空を映す紺碧の水面も、この静寂の中にあるからこそ一層際立つのかもしれない。
オ-ちゃんが黒曜石の破片を見つけてポケットに入れた。
野辺山あたりの旧石器人が矢じりやナイフ、石器などに用いた原石なのだろうか?
ここに寝そべっていると太古の昔から何も変わらずに眠っているこの風景がなぜかとても懐かしく思えてしまう。
また来たいな、やっぱり山も続けたいな、オ-ちゃんの言葉が嬉しかった。まだ老いぼれてしまうには早すぎる!
(旅のおまけ)
今回は仙人小屋に立ち寄ることも旅の目的のひとつであった。
仙人が仕留めた鹿の心臓の刺身、馬刺しとはまた違う食感がビ-ルを熱烈に欲するのだ。
仙人が毎朝採ってくるキノコをふんだんに使ったキノコそば、いっぱいのキノコで蕎麦が見えない。
鹿肉のレアロ-スト
次回はキノコてんこ盛りもキノコのてんぷらと熊肉の焼肉を是非とも食べてみたい。
ピ-クハントもいいけれど、ノンピ-ク登山という山旅もまた素敵ですよ!