山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

作戦会議

2017-10-15 23:56:25 | 川飯.B級グルメ
岩魚と鮎のシ-ズンが終わりを告げると秋冬の山が始まる。
武蔵境の魚のお店で、山地図を広げて相棒オ-ちゃんと作戦会議である。
午前11時に開店するこのお店は真昼間から満席で中央線沿線の呑兵衛たちには呆れてしまう。

1品目は分厚くてワラジのようなアジフライ、ふわふわな揚げたてが旨い!




今年の秋山はゆるゆるで行こうということになった。
僕は晩秋から初冬にかけてブナの森でナメコを探してみようと考えている。




冬は上高地で冬真っ只中の夜を過ごしてみようということになった。




かれこれ4時間、ロクな話もしていないのに時間はあっという間に過ぎていく。

皆さんは秋と冬、どんな企画を立てているのでしょうか?
コメント (27)
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みずがき逍遥

2017-10-09 18:11:32 | キノコ狩り
今年最後のキノコと決めてみずがきの森を歩いた。
午前6時半、この小さな沢を渡ればこの先にはカラマツ林が広がっている。

       


もうハナイグチは終わってしまったのであろうか?
篭を肩にかけた人たちはみな広葉樹林に入山してカラマツ林を歩いている人は誰もいない。
食べる分くらいは何とかなるだろうと誰もいないのをいいことに隅から隅までのんびりじっくり探してみようか。




数は少ないけれど丹念に探すと可愛いハナイグチにいくつか出会うことができた。
夜のうちに殆どが鹿に食べられた後、林床には芽を出し始めた幼菌が赤茶色の美しい姿を見せてくれる。
この子は恥ずかしそうに草の陰に身をひそめていた。



 
 
 




こんなに茎の太いものを初めて見た、茎も美味しいのだ。




ハナイグチを摘んだあと二つ目の沢を渡って小休止、小さな水たまりにはペアリングのイワナが見えた。




沢からひと登りすると林道に出くわす、樹木更新のために切られた唐松が整然と積まれている。
古い木を切ることで新しい木々が育って世代交代し森が健全に保たれる、恩賜林ゆえに管理が行き届いている。




更に歩いて、この湿地帯を渡れば広葉樹林に変わる。




木々は少しずつ色づき始めて、しばらくすると妖艶な姿に変貌する。




沢山の人が歩いた後でもサワモダシ、ウスラヒラタケ、ムキタケなど数種類のキノコに出逢えた。
これで今夜のきのこ汁の具材も何とか揃えることが出来た。

 

 

 




午前10時半、下山途中の登山道脇にテントを張って山飯の準備を始める。

 


下準備のあとのハナイグチは、色もぬめりも何と美しいことか!




ビ-ルのアテにハナイグチのポン酢あえは外せない、ベ-コンとズッキ-ニもなかなかイケる。
毛嫌いして口にしたことがなかったいたズッキ-ニ、寅さんにごちそうになった川飯のお蔭で開眼した。




ハナイグチにはカルボナ-ラが一番相性がいいと思う。
今回は炒めたズッキ-ニとベ-コンを具に加えて一段と深みが増したように思う。




早めの昼飯の後はテントに籠って『余命10年(小坂流加著、文芸社文庫刊)』を読んだ。
二十歳の茉莉は不治の病に倒れ余命10年と宣告される。
命の期限を突き付けられた人生、何かを始めるにはとても短くて何かを終わらせてしまうにはとても長い。
それでも茉莉は親友と一緒に夢中になれるものに没頭し、恋も、、、、、



僕はこの本を読みながら考えていたことがある、これからの人生は余命1年と思って生きて行こうと。
65年間生きてきて、僕なりに人生は満たされている、家庭を持って息子が生まれ棲む家があり
おじいちゃ~んと言って抱き着いてきてくれる可愛い孫たちを授けてくれた息子と嫁のまこちゃんにも心から感謝している。
孫の花嫁衣装を見るのはムリだけれど、僕は本心から幸せを感じていて、もういつこの世を去っても構わないという境地にある。
だから頑張って生きようとするのではなくて、余命1年と思いつつ好きなことを存分に楽しめる日々を1年々々過ごしたいと心から思う(この本のお蔭かな)





午後4時半、残りのキノコ全部とネギをぶち込んだきのこ汁で一杯やったあと、稲庭うどんを投入して簡単に夕食を済ませた。

 


陽が傾いて長い陰がテントに伸びる頃、近くにテントがひと張り立った、物好きな輩もいるものである。



久しぶりの山泊、これから朝までたっぷり眠って山から木々から大地からたくさんの気をもらいましょう!
コメント (22)
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黒部終焉!

2017-10-04 01:09:28 | フライフィッシング
9月もどんづまり、釣友寅さんとの道行きが実現した。
3時間半歩いてN谷に辿り着く、大水で両岸が崩壊したのか広葉樹が川岸に迫って以前と雰囲気がまるで変っていた。
(対岸の繁みの奥にある平が寅さんの格好の天場である)





寅さんが提供してくれた笹ずしと十割蕎麦を頂きながらのビ-ル、もうたまらんのです。




一応僕らも釣り師の端くれなので、ちょいとばかり竿をふりましょうかね。
この日は厚い雲がかかって、強風が吹き、冷たい雨が落ちたかと思うとお日様が出ての繰返し。
魚留まで釣りあがりますが水温9度の激渋の中でのドライフライは正直厳しすぎました。




3時間ほど釣って二人で黒部岩魚を仲良く1尾ずつ、これ世界新記録かもねえ?
岩魚の命を有りがたく頂き、水筒に詰めた寅さんの日本酒を1合ずつ、甘い岩魚の刺身とのベストマッチに酔いしれてしまいました。
(この水筒、寅さんの親爺さんが兵隊時代に使ったもので75年経った今もいい味醸していますねえ、孫子に継承できる物っていいなあ)




酒が効いたのか千鳥足で歩く小屋までの道のりは絶望的に遠く感じたものでした。




小屋に入ってしまえばもうこっちのもの、食事もそこそこに佐伯さんを交えての釣り談義に夜の耽るのも忘れてしまいます。




午前5時起床、眠い目をこすりつつ渡船でH谷に渡ります。




40分ほど歩けば懐かしい木橋。




重役出勤の黒部岩魚にお目通りするためには午前11時頃まで待たなくてはなりません。
焚火に温まりながら寅さんが淹れてくれたネルドリップのコ-ヒ-をすすりつつ贅沢な時間を過ごします。




午前11時、水温7度、岩魚の活性は最悪、僕は終日雨具を着て寒さを凌ぎます。
今年の岩魚は中流域までで上流には遡上していないと小屋主に聞いていたのだけれど
他の同宿者の要望を受け入れて僕らは上流に入ります、こんなときジェントルマンを気取るとハズレくじを引くのですねえ。
寅さんがテンカラで先行し僕は後からドライオンリ-で釣りあがります、厳しいなあ!




あれっ、もう釣っちゃった?




寒いけれど黒部ブル-の空の下で竿を振れる幸せ、感じますねえ!




僕は途中からM沢を遡行します。




そして午後1時に合流して川飯です。
この旅で寅さんが担ぎ上げた食材やお蕎麦、酒類でザックは優に僕の2倍に膨れ上がっておりました。
(どうですかこのビリ-缶、焚火に焦がされて漂う風格は寅さんの天泊の歴史さえ感じるのです)




この日、シェフが繰り出したビッグサプライズはイタリアンポトフです。
7種の食材が織りなす鮮やかなイタリアンカラ-は見事なものでした。
料理は五感で味わうものと言いますが、目でも楽しめる料理はなんとも素敵ではございませんか!




ジャガイモに火が通ったら、さあ頂きましょうか。
ベ-コンと野菜類から染み出した出汁と相まって極上のス-プは昇天もの、僕はシェフに心の中で手を合わせておりました。




釣りは刺身のツマのようなもの、のんびりと旨い川飯を味わい、まったり眠る、僕にとって理想の一日が幕を閉じました。




翌朝は、遅めに起きてゆっくり歩いて帰ります。




この日から禁漁、谷では竿を出している輩もおりましたが我らはそんな無粋な釣り師にはなりたくありません。
岩魚はようやく自由で平穏な日々を取り戻し、我らは自由で美味しい川飯を思い出にこの旅を終わろうと思います。




結局、僕の持参した川飯の出番はなく、全て寅さんからのごちそうになるばかり。
この十割蕎麦のゆで汁からできる蕎麦湯の美味しかったこと、シェラカップで2杯も飲み干してしまいました。







終わりに、この旅で出逢った尺岩魚だけを開陳しておきましょう。

これ僕の尺



これ寅さんの尺



これも尺




黒部はもうすっかり秋めいて、ゆく夏を惜しむかのようにモミジが朱の化粧を施して少女からおんなへと色っぽく着飾り始めておりました。

 


シ-ズン終焉で寂しさもひとしおですが、これからも自由という空気をザックに詰め込んで気ままな旅に出ようと思います。
コメント (29)
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